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映画『破壊の日』クラウドファンディングに学ぶ、観客と一緒に映画を作り上げること


豊田利晃監督による映画『破壊の日』。この映画は製作費を第一弾としてクラウドファンディングで集め製作を行い、現在は第二弾として宣伝費を集めています。この記事では、このプロジェクトについて紹介しながら、コロナ禍に映画を制作するという偉業を成し遂げた豊田監督のコメントを紹介します。

第一弾のプロジェクトは公開日だけが決定、映画制作と同時進行

「公開日だけが決まっている
映画製作はクラウドファンディングと共に進んでいく」

という書き出しから綴られた第一弾のプロジェクト。公開時は撮影風景はおろかキャストも公開されていないという状態でした。

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「同時進行」と銘打っただけあって、公開されたアップデートの数は275本。製作の状況をつぶさに伝えることで、720人ものコレクターから14,441,100円もの支援を集めました。その経緯について、第二弾のプロジェクトには、コロナ禍での第一弾のクラウドファンディングのことがこう記されています。

「映画「破壊の日」は新型コロナによる緊急事態宣言の真っ只中に1回目のクラウドファンディングを行いました。結果的に目標金額の50%しか集まらず、さらには感染拡大に伴い、本当に撮影ができるのか、スタッフが集まるのか、撮影スケジュールもずれ込む中公開ができる映画館があるのかというところまで追い詰められていました。

そもそも「破壊の日」公開日である7月24日というのは、東京オリンピックの開催予定日であり、そこには明確なメッセージがありました。それすらも延期になってしまうような状況で、スタッフ・関係者の中から直前まで映画の公開を延期をするべきだという声もありました。そんな中、豊田監督の7月24日にこの映画「破壊の日」を完成させるという、ある種狂気にも満ちた思いだけが私たちを支えていました。」

はじめは困難を極めたプロジェクトでしたが、プロジェクトの最終日にはそれまでの3倍もの支援が集まります。この時のことを第二弾プロジェクトにはこう記されています。


「2020年6月 クラウドファンディング第一弾 終了と共に制作再開

クラウドファンディング終了に向けて立て続けにニュース発表。
キャスト発表第一弾、テーマ曲予定の「日本列島やり直し音頭二〇二〇」リリース発表。
最終日に応援の声が高まり、それまでの金額の3倍まで進む。
720名、約1500万円もの支援が撮影再開に向けた大きな光となった。
とは言え目標金額の50%。全てを映画製作資金につぎこむ。(略)」

この大成功からは、まだ形のない映画にも情熱をもって情報を伝えていけば支援を集められることが学べます。

第二弾のクラウドファンディングで集められた支援で『破壊の日』は伝播していく

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7月24日の公開を皮切りに全国で公開されていく本作は、現在公開中のクラウドファンディング第二弾によって集まった宣伝費でさらに全国に伝播していきます。ここからは、本作とコロナ禍における映画体験によせられた監督のコメントをご紹介しましょう。

——本作に込めた思いとその背景にある社会状況の変化についてどう感じていますか。

「映画は時代と共にあるのは避けられないメディアだと思っています。2020年元旦に企画したものが、コロナによって大きく振り回されましたが、約束通り7月24日に公開し、オリンピックを退けて、破壊の日という我々の祝日が誕生したことを嬉しく思います。重要なのはこれが僕自身、個人の想像力からうまれたということです。それを実現させてくれた仲間たちや応援者に感謝しています。」

——本作のテーマソングである『日本列島やり直し音頭二〇二〇』のやり直しという言葉に込めた思いを聞かせてください。

「『やり直し』という言葉が今ほど迫るときもないかと思います。「くり返すのではなくやり直す」。日本国がやり直しことは膨大にあります。しかし、これは政治の問題でもあり、国のトップが変わってもなかなか前には進まないでしょう。個人的には今、自分たちができることを『やり直し』て、良い方向に時間が進むことを実行しています。僕の仕事的には映画のシステムそのものです。新しい方法論を『破壊の日』では見せることができたと思っています。」

——コロナ禍における映画体験はどのように変わっていくと考えていますか。

「家でネット配信で見るには、パワーのある作品ほどそれに対抗する集中力が保たれない、映画館だと集中して見れる環境である、などがあると思いますが、もう1つは、音響を通じて得られる『映画を体感』することだと思います。映画館は空気清浄機がしっかりしてるし、みんなマスクをして観ています。本来、席をひとつ開ける必要などないと思います。
閉じた密室なので不安があるのはわかりますが、居酒屋に比べたら断然に安全です。
映画業界はセーブ・ザ・シネマと言いながら、配信での上映に移行しています。
『破壊の日』が映画館に行ってみようと思う、そのきっかけになれば嬉しく思います。
そうして、少しずつ観客が戻ればいいと思っています。映画作りは基本的に変わらないと思います。表現の場所や手段は変わっていくし、変わってきました。新しいエンターティメントのあり方を含めて模索しています。それは、また、近いうちに動き出したいと考えています。」

(コメントは豊田監督の原文ママ )

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コロナ禍に撮影、公開されその製作費と宣伝費を支援者から募りながら、いわば観客と一緒に作り上げた作品『破壊の日』。第二弾のクラウドファンディングは8月31日まで支援を募っています。

「映画に救われた奴だけが、映画を救うと俺は信じています。」という豊田監督の言葉どおり、映画に救われたという人はぜひご支援を。


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