米国は何故こんなにも多くの世界紛争に関わるのか。
第二次世界大戦後の主な戦争を見てきたが、その殆どに米国が関わっている。直接関与しなくとも裏で関わっている。そして、その相手は常に関節的であるが旧超大国のソビエト社会主義共和国連邦、略称ソ連である。
ソ連が崩壊してロシアとその他の国に分かれて以後は、ロシアは暫く影を潜めていたが、最近、クリミア併合、ウクライナ侵略と再び馬脚を現している。中国やロシアの様な独裁国家が、侵略を繰り返すのは世の常である。しかし、米国のような自由と民主主義を標榜する国が、何故この様な血生臭い出来事に関与するのか。
第二次大戦後、米国の国際的な成果は、二つの負け太り国家を達成した事である。二つの負け太り国家とは独国と日本である。戦争に負け都市は焦土と化したが、両国とも戦後の復興は奇跡的に目覚ましく、世界屈指の工業国家と成った。色々異論はあるが、これに米国が貢献したのは、疑いようの無い事実である。両国とも親米であるが、日本は比類なき親米国家である。大戦であれだけの死闘を、お互いに繰り広げた事を考えると驚きである。
しかし、今世界中で反米の国は多い。例えば、中南米のキューバ、ボリビア、ベネズエラ、エクアドル、ニカラグア、エルサルバドルは反米色が強く、親米国はメキシコ、コスタリカ、コロンビアのみである。東南アジアでは、ベトナム、フィリピンで以前は反米色が強かったが、今は薄まりつつある。
西南と中央アジアでは、パキスタン、アフガニスタン、中東では、イランとイラクが際立った反米国である。一般に、アフリカと中東諸国の多くが反米傾向にある。殆どの国にとって米国への輸出は、自国の経済発展には欠かせないのに、どうして反米意思が高まるのだろうか。
反米国家は大抵途上国である。少なくとも先進国ではない。これら途上国の発展過程で、米国との関係にある傾向が見られる。それは、米国との経済関係が深まる時は、大体において汚職や贈収賄などの政治腐敗が極まり、国民間の不平等や格差が著しくなる時である。
古い順で行くと、キューバの前大統領オスバルド・ドルティコス・トラドは米国との経済的結びつきを強めたが、贈収賄、汚職、縁故政治に塗れた、腐敗政権と不平等社会を作った。人々の怒りと不満が頂点に達した時、ソ連の支援を受けたカストロが登場し、共産社会の貴賤無しの完全平等社会的夢物語りを訴えて、左翼革命を成し遂げてしまった。
イランは、米国の傀儡者パフラヴィー2世が経済は発展させたものの、独裁者として強権的政治、汚職に贈収賄、反対する者への弾圧や投獄拷問で、国民の不満を買い、ホメイニにイラン革命を起こされて、イスラム教主体の国家になってしまった。
フィリピンでは、米国の支援を得けて帝国日本と戦った英雄、マルコス大統領が経済を発展させたものの、これまた、汚職、贈収賄、縁故政治により国民の不満を買い、革命により米国ハワイに逃亡を余儀なくされた。フィリピンは左翼化はしなかったが、米国と仲は険悪になり、後に米軍基地は撤収する事になった。現在は息子のマルコス大統領の下、米国との関係を取り戻している。
その他の国も大体が上記三つに似たり寄ったりで、米国との関係を深めた後、独裁者や左翼政権によって支配された反米国家になった。では、米国は反米国家となる国々に、どのように関わって来たのだろう。これは次回としよう。
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