マスフロー千夜一夜物語-note版-第1話

マスフロー千夜一夜物語=マスフローという奇妙な器械の物語



ストーリーテラーを勤めますDecoと申します。
宜しくお願いします。
EZ-Japan の看板コンテンツ「マスフロー千夜一夜物語シリーズ」という、マスフローコントローラ(Mass Flow Controller 略してMFC)という産業用流体制御機器に関する解説、ノウハウを綴ったブログ日本工業出版(株)”計測技術誌”に連載しているお話があります。
2020年1月現在 ブログ版301話 計測技術連載で58話に及ぶコンテンツです。

画像2

そもそもはDecoがこの機器の営業・マーケッティッグ・商品開発に20年以上携わってきた経験、そして道を切り開かれた先人達の知見を形にして残していきたいと思い始めたものです。
今回、note版を始めてみようかな?と思ったのは、ブログ、技術誌以外のアプローチを模索していたからです。
過去にTwitterでも"MFC千夜一夜物語mini”という試みをしてみましたが、140文字に収められるような情報ではない事を知り、放置しています。だって”マスフローコントローラー”だけで12文字取る訳ですから、そりゃ無理です。

今回のnote版で過去のブログ記事をそのまま掲載するのでは芸がありませんので、最新の技術情報へアップデートしながら、ブログでは短すぎ、計測技術誌では長すぎなところの中庸を取った読み物に再編してみようかと思っています。「MFC千夜一夜物語」の新しいバージョンとして、新しい層にお読みいただければなぁという試みです。


宇宙時代の申し子

マスフローコントローラ(Mass Flow Controller 以下MFCと略)を発明したのは誰ですか?という質問に対しての回答は、ネットを検索してもなかなか答が書いてありません。
NASAのアポロ計画ではないか?という説が業界ではまことしやかに語られています。
NASAの公開特許に、熱線式流量計の記述があり、アポロ宇宙船の姿勢制御バーニアの噴射燃料制御に使われていたという説や、いやいや宇宙船内部の酸素使用量を計っていたという説がありますが・・・

でも、これって・・・実は都市伝説なのかも・・・と思うこともあり、はっきりしたことはわからないと言うのが、Decoの見解です。
そもそも熱線式風速計は、それ以前から存在しています。

画像1

熱線式風速計は上図のキングの式を原理としています。
熱バランスの移動をブリッジ回路で取り出す形は、そのまま今の今の熱線式流量計のセンサーに換骨奪胎されたと考えるのが自然のような気もします。

画像3

画像4

おそらくアポロ計画に採用されたのは基本原理である熱線式流量センサー部分だけで、MFCそのものがアポロ宇宙船に乗っていたとは思えないところがあります。今の時代の宇宙開発でも1kg超える荷物を宇宙へ運び出すのにかかるコストは莫大なものがあるそうですから・・・

だ~れが作ったマスフロー?

MFCとしての基本フォーマット(流量測定するセンサーと、流量制御するコントロールバルブを一体化して、外部からの流量設定信号で制御する・・・)を最初に作ったのはおそらく当時のTylan社かUnit社、もしくはBrooks社だと思います。

画像5


これって各社のMFC技術の推移を見ていと、なんとな~く見えて来るんですよね。(異論があったら教えてくださいね。)
どちらも「我こそがMFCの産みの親」と名乗っていましたが・・・
まぁ半世紀前のお話の真偽は特に重要でもないので、名乗り出た全員が親御さんだ!としておきましょう。

Deco個人としては、アポロ計画の一端で誕生したというスト-リーは大好きで、よくお客様との雑談でネタにしています。
だって、夢があっていいじゃないですか?「宇宙」「21世紀」という言葉で夢を語ることができた時代の産物ですから。
それこそ鉄腕アトムみたいに、科学技術の結晶って感じですね。 


そんな夢のある時代に、その出自を持っているMFCに関する四方山話を書いていこうと思います。
「MFCってなんだ?」という方、「MFCを使ってるのだけど・・・」という方、「何を言うか、MFCに関しては私に聞きなさい。」という方、色んな方々が軽い気持ちで読んでもらえたらなぁと思っています。


MFCって何ですか?

マスフローコントローラの事を”MFC”と略記することが多いです。文字数が多いですからね・・・ではMFCって何でしょう? 
以前、ネットで検索してみたところ・・・

・Microsoft Foundation Class マイクロソフトの開発ツール
・麻雀格闘倶楽部       マージャンファイティングクラブ?
・カネボウコスミリオンとファミリーマートのオリジナルコスメブランド
・ブラザーのインクジェットプリンターシリーズの型式 (我が家でもFAX複合型で重宝しています・・・)

画像6

【出典:ブロンコスト・ジャパン(株)】

ほう・・・っと思うものはありますが、肝心のMass Flow Controllerの略称という説明は出てきません。
MFC営業生活25年!(元ネタ=ど根性ガエル! ふるっ!)
なんか悲しいことですよ。
マスフローコントローラとMFCという略語は、かようにマイナーなものなのでした。
実は千夜一夜物語を書き始める動機となったのが、この知名度の低さからなんです。


だって親子、兄弟、友人に「仕事は荷をしているの?」って聞かれて「MFC売っているの」と答えたら???ですよ。
ちなみにこの質問に対する答えは「ガス流量測る仕事しているの・・・」「半導体関係の仕事しているの・・・」 最後にはやけくそで「夢と愛を売っているの・・・」です。

っていうことで、MFCとは何でしょう?から始めましょう。
MFCは前述の通りMass Flow Controllerの略語ですから、このまま英和辞書サイトで訳すと「質量流量制御器」だそうです。
「なるほど質量流量を制御するのだな!」
・・・なんだそりゃ??


「だいたい質量流量ってなに?」ですよね?これは次回のお話です。
長々と書いてきて、今回わかったのは「MFC=質量流量を制御する機器」だということだけです。

でも、敢えて言うならMFCなんて名称自体が全ての誤解の始まりなんですけどね・・・

【あなたにMFCの夜が来る~マスフロー千夜一夜物語-note版-】

いいなと思ったら応援しよう!