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色のメッセージを受け取る #4 色の力を借りる

人は無意識のうちに、色の力を借りようとする。色の勉強を始めてから、自分自身の体験にハッとすることがある。

私には黄色の服を好んで着ていた時期がある。色の意味を深く学ぶ前のことである。その期間は、職場(大学院)のある委員会の取りまとめ役を務めていた時期と重なる。その職場は女性教員の比率が1割で、男性優位の環境。自分自身が、同僚から信頼されているとは思えず、不安を抱えながらの船出だった。加えて、感じの悪い、いわゆる「いけず」な男もいる職場だ。私は、そんな同僚たちの意見を取りまとめて、提出した議案を成立させなければならない。当時の私には、なんとも気の重い職務であった。

そんな時期に、最初に私が意識的にやったことは、パンツ派からスカート派への転向だった。スカート姿の方が、男性の支持を得やすいと考えたのである。そして同時に、よく着ていたのが黄色の服である。当時は、黄色に「明るい・楽しい」「人気者」というキーワードがあることは露知らず、無意識に黄色の服を選んでいた。黄色のコートもお気に入りだった。そのコートを着て街を歩いているときに、ある女性から「素敵なコートですね。どこのブランドですか?」と聞かれたことがある。今思い返しても、黄色は注目を浴びる色なのだ。

ピカチュウに代表されるように、黄色は人気者のキャラクターの色である。当時の私は、苦手な男性同僚の中で、「人気者」になろうとしていたのかと振り返ると、失笑を禁じ得ない。それで、私の黄色の服は、職場で威力を発揮したのだろうか。

実は「人気者」という黄色のキーワードに関連していそうなことを、私は任期中に一度だけ経験している。それは、私が所属していた大学院の研究科に入学する学生数が急増したことである。その研究科の入学者数は、例年、定員を満たすことがなく、いわば人気のない研究科だった。ところが、私の任期中に一度だけ、入学者数が定員に達したことがあった。もちろん、様々な要因が重なって、学生数が急増したことは承知している。

でももしかしたら、私が選んだ黄色が威力を発揮したのかも、と想像をたくましくしながら昔を懐かしく思い出すことも、なんだか楽しくてわくわくする。

これも黄色のなせる技(わざ)だろう。

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