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『人生の転機と髪』

同世代の二人の起業家、㈱ミッションロマンチック代表の森本萌乃さんと㈱Jocy代表の鈴木みずほさん。同じ時代を生きる彼女たちが見ている、今と未来とは? 二人の“人生の転機と髪”をメインテーマに、対談が実現。二人の歩んできた道、髪に対する考え方・捉え方の共通点や違いなどに迫ります。

ーーー同世代の女性で、起業家。共通点の多いお二人ですが、それぞれどのような理由で会社を立ち上げたのでしょうか?

森本 私は新卒で広告代理店に入ったのですが、働いているうちにtoBではなくtoCをやりたいという気持ちが大きくなりました。toBのように大きなインパクトを与えることよりも、自分がお客様を持って、誰か一人を確実に幸せにする仕事がしたい、と。それで、気が付いたときには起業していた感じです(笑)。鈴木さんは?

鈴木 私は小学生の頃から起業を志していました。代々経営者の家系で、当然の如く父親の会社を継ぐと思っていた。それが普通だと思っていたんです。だけど、私が中学生3年生くらいのときに父の会社の経営が傾き、生活が一変しました。そんななか、模索を繰り返し、もがく父親を見て、会社を経営するってこんなに没頭できる、面白い職業なんだな、と強く感じました。だから、「29歳までに絶対起業しよう」と心に決めて生きていました。

森本 小学生って、すごいですね。鈴木さんの事業は美容室のサブスクリプションサービスだと思いますが、それを選んだ理由とかってあるんですか?

鈴木 実は、起業のアイディアを考える前に会社を辞めてしまったんです。会社を辞めてから、いざなにしようってときに、自分が欲しかったサービスにしようと思い、美容室の定額制サービスにたどり着いた。髪がキマっていると、とても自信がつくと思うんです。だから、美容室を日常的に通うライフスタイルを提供することで、女性の人生に彩りを提供したかった。

サービスTOP

森本 人ってアイディアがあってもなかなか動けないんですよね。”あったらいいのに”ってみんなが思っていることなのに、何故このサービスはないだろうって考えると、多分手間がかかるうえに儲からないからなんです。私はきっと欲張りなタイプなので、あったらいいな、を実現して儲けたいですね(笑)。

鈴木 そうですね。森本さんの事業は書籍を通じて“出会い”を届けるサービスですが、なぜ本と出会いなんでしょうか? 

森本 マッチングアプリを使っているときに、プロフィールやスペック、盛られた画像を見て、”スワイプする出会い”って嫌だな、と思って。恋の始まりとしてすごく疑問を持ったんです。恋愛ってマーケティングじゃない。アルゴリズムに頼らないマッチングサービスが欲しい、と感じました。私、映画『耳をすませば』が大好きなんですが、主人公のせいじくんとしずくちゃんが図書館で偶然出会い、恋が始まるというストーリーなんですね。そんなふうに出会いって偶発的で、もっとロマンチックなものなんじゃないかなって思うんです。でも、そういったサービスはなかった。だから私が作っちゃえってことで、いろいろと考えました。結果、本と出会いにたどり着きました。まず本選んで、買う。その本の内容次第で、この人とこの人は合いそう、とかけ合わせるマッチングサービスです。コロナ禍以前は、本を読んだ2ヶ月後にお食事会を開催して、出会うというものでした。しかし、なかなか大人数でのお食事会などは開催が難しい今、サービスの設計を少し変えることにしました。

サービス紹介

鈴木 確かに今の状況下では開催が難しいですよね。新サービスではどのように変わるのでしょうか?

森本 まず、出会い方をリアルからオンラインに移行しました。マッチした相手とはビデオチャットで会うことになります。さらに新サービスでは、1ヶ月単位で出会える設計にしました。まずは1ヶ月目、1冊目の本が一緒だった人と出会う。毎月本を読むことで、どんどんその人のデータが溜まっていくから、5ヶ月目には5冊同じ本を読んだ人が出てくるかもしれない。偶然が重なることで希少性が生まれる出会いの確立を使って、出会いそのものが素敵に演出されていくサービスになる予定です。

ーーー本と出会いって新しいですね。森本さんと鈴木さんはまったく違う雰囲気ではありますが、ヘアスタイル・髪色がとても印象的です。お二人にとって髪とはどんな存在ですか?

森本 髪をすごく念入りにケアしているとか、プライオリティを置いているわけではないんですが、髪を明るくするに至ったには理由があります。これは広告代理店にいた頃の話なんですが、社内にたまに髪色が奇抜な人がいたんですね。その人たちって、覚悟を決めて髪を明るくしているんだろうな、って思ったんです。髪を明るくすることで、自分にプレッシャーをかけている。髪が明るいのに仕事ができなかったら、「仕事できないくせに髪色は明るい」って思われちゃうじゃないですか。でも仕事ができる人だったら、髪色なんて気にされない。それがかっこいいな、って。私も髪で左右されないくらいの人間になったら、ブリーチしようって決めました。

鈴木 髪って、人の印象を決める大事な部分ですよね。意識していないうちに、他人にインパクトを与えている部分だと思います。森本さんは金髪のイメージが強いですが、それがとてもマッチしているし、森本さんのキャラクターにもとても合っているなと思っていました。

森本 ありがとうございます。髪色が明るいと、朝鏡で顔を見たときにすごく明るい気持ちになるんです。あとはファッションにも自分なりのルールができて、トレンドに流されなくなりました。なんだか髪が引っ張っていってくれた気がします。でも実は、今ブリーチをお休みしているんです。もう5ヶ月くらい経ったかな。髪が伸びていくことで、ブリーチしていた部分がどんどん下がっていく。このブリーチ部分がアゴより下に行く前に、ローンチしたいと思っていて。今は髪が”砂時計”的な存在になっています。

萌乃さんスクショ

鈴木 髪の毛が砂時計の役割って、おもしろい! 森本さんがブリーチを再開したときは、新サービスがローンチされたということですね(笑)。

森本 本当にそう。金髪になったら察してください(笑)。新サービスをローンチするまでは、”髪の毛を振り乱して頑張るとき”だと考えています。そんなムラも愛してあげたいというか。鈴木さんは私の髪色とは対照的で、キレイな黒髪ですよね。やはり髪にはこだわりが強いんでしょうか?

鈴木 もともと髪にプライオリティが高いです。髪がキレイだと自信を纏うことができるから、常に髪をキレイに保つことは心掛けています。とくに実感したエピソードがあって……。前職ではプレゼンをする機会が多かったのですが、私、プレゼンがとても下手だったんですね。そんなとき、美容室に行ってからプレゼンをしたら、見事成功したんです。髪型がキマっていることでプレゼンで流暢に喋れている自分に気が付き、それ以降必ずプレゼン前には美容室に行く習慣がつきました。その習慣を続けてから初めて月間MVPを取り、年間MVPも取ることができました。セットしてもらうことの重要性を知りましたね。

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森本 髪ってそれくらい、自分のモチベーションや気分を上げてくれるものなんですね。

鈴木 前回、ヘアライターの佐藤友美さんとの対談でも話したことなのですが、髪って”出会いを操作できる”と思うんです。どんな人にモテるかも髪で操作できる。たとえば、前髪を作ってふんわりした髪型にすれば、正統派な人にモテる、とか。なりたい自分を作る上で髪型はとても大切だと思います。これも実感したエピソードがあって……。今まで私は、好きなことで起業しているので、あまり辛いと感じることはありませんでした。しかし、昨年末、とても辛い時期がありました。サービスにも、未来にも、自分自身にも、すべてに自信を失くしていた時期でした。そんなときに、さとゆみさんのセミナーに参加したんです。セミナーで、心にフィットする髪型を手に入れることで、なりたい自分を導いてくれるという話を伺って、翌朝髪をバッサリ切って、ショートにしました。髪をショートにすることで、自分への自信を取り戻したかった。”凛とした、自分の信念を貫く自分”が欲しかった。結果、ショートにして大正解でした。今まで悩みがふわっとどこかへ消えましたね。髪は自分や人生をデザインできる力があると実感しました。

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ーーー髪が人生をデザインする……興味深いですね。お二人はどんな経営者を目指しているんでしょうか?


森本 私、ディズニー映画に出てくるプリンセスが大好きなんですね。なぜかというと、プリンセスっていつも機嫌がいい。どんな劣悪な環境でも、です。あと、自分が欲しいと思ったものは、自分で取りに行く。たとえば、アリエルは脚を手に入れるために、海の魔女に声を差し出す。ベルだったら、お父さんを助けに行き、助ける代わりに野獣と住むことを選択する。そんなプリンセスたちの、人生における選択に興味があるんです。私のサービスはまだローンチする前なので見えないことも多いですが、問題が起きたときはいつも「ディズニープリンセスならどういう選択をするか」で決めることにしています。人生に気持ち悪いところを残さず、解決する人間でありたいですね。

鈴木 プリンセスならどうするか……おもしろい発想ですね。そんなふうに考えたことがなかったです。とても素敵。私は、ロールモデルという言葉が嫌い。みんなが主人公であってほしいから、誰のマネもしない人でありたい。誰かを参考にした人生とか、なにかのレールに乗るのではなく、自分で切り開く人生を歩みたいですね。そして常にワクワクしていたい。常に自分の選択にワクワクしたい。死ぬまでワクワクしていたい。今は、経営者のスタートラインに立ったことにワクワクしていています。仲間が増えていくこともモチベーションになっています。社員はファミリーで、同じ世界に同じミッションを持って生きることができる人たち。それに対してもワクワクしています。

森本 今この瞬間をワクワクする環境作りをすることってとても大切。私はまだ一人ですが、メンバー(社員)が増えることで生まれる楽しさもありそうですね。

ーーー今後、お二人がチャレンジしていきたいことを教えて下さい。

森本 私はすごく飽きっぽい性格なんですが、”絶対にロマンチックから逃げない”こと、ロマンチックという自分の軸をブラさないことを目標にしています。気持ちがあちこち行きやすく、飽きっぽい性格なのに、ロマンチックには一度も飽きていないんです。理屈のないこと、偶然と偶然が続くことを大切にしながら、それが自分のエゴにならないように、ロマンチックをビジネスにすることを目指しています。

鈴木 とてもわかります。私も3年前からチャレンジしてきた、「美容室が日常にあるライフスタイルを提供すること」「髪がキマることで人生が彩る体験を届ける」ということを、まだ成し遂げられていません。コロナの影響でライフスタイルも変わりつつある状況だからこそ、今までとのやり方を変えてチャレンジしづづける価値があると思っています。納得がいくまで突き詰めていくこと。経営者としても考えさせられることが多かったです。本当にこのビジネスを続けていっていいのか、とか。人々のライフスタイルも変わったし、自分の信念ではじめたサービスが世の中にどう受け止めてもらえるか。アジャスト方法を模索していています。世の中の流れを汲み取って、それをブレイクスルーすることによって、次のステージに行くことができると考えています。

ーーーこれから転機を迎える女性、起業を考えている人にメッセージをお願いします。

森本 「私がアドバイスなんておこがましいですが……他人と人生に期待しないことですかね。人生っていいことがありそうだけど、自分がなにかを起こさないと人生でいいことは起きないということを自覚すること。あとは自分の機嫌は自分で取ることかな。

鈴木 すごくわかります。起業してからよりそれを実感しました。

森本 自分で自分の機嫌を取れるようになると、いつも楽しそうだねって思ってもらえるんですよね。その思考になったらとても生き方が楽になると思う。あと、この世界に自分しかいないと思った場合でもやりたい、ということをやる。ゲームに参加するんじゃなくて、ゲームを作ることですね。それは本当に自分がやりたいことかどうか考えることも大切。

鈴木 自分が本当に成し遂げたいことがあるのならば、誰に何を言われようとも、自分自身を一番信じてやり抜いたほうがいいと思います。投資家からスケール性を求められるけど、どうすればいいですか?ってよく聞かれるんですが、本当にやりたいと思ったことを見つけたことは素晴らしいことだから、自分を信じてやり遂げて欲しい。自分のことを本当に信じきれるかどうかが熱量のバロメーター。森本さんもそれがオーラで出ていて、自分が信じているサービスだっていうことがとても伝わります。

森本 まずはやりたいことを見つけること。別に起業しなくたっていい。たとえば”この人についていこう”って、乗っかることだって素晴らしいことだと思います。

鈴木 そうですね。起業が身近になり、起業する人が増えたけど、安易に起業を勧めたくない。

森本 本当にそうですね。私は”これ以外を信じられない”と思ってやっているけど、そうじゃない人も肯定したいし、応援したいんです。無理に会社を辞めなくていい。起業してわかることがたくさんあるんですよね。

鈴木 自分自身を信じたいと思っても、自分を信じきれなくなることがある。髪型は自信をくれるエッセンスだから、うまく活用してほしい。これからなにかに挑戦しようと思っている人、挑戦中の人は、ぜひ挑戦する心にフィットする髪型に変えてみてはいかがでしょうか? どういう自分に見られたいか、ということをイメージして髪を切ることはとても大切です。

森本 私も次美容室に行ったら、「ロマンチックに見られたいです」って言います!

■プロフィール

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森本 萌乃
株式会社MISSION ROMANTIC代表。1990年東京生まれ。2013年に新卒で電通に入社した後、外資とスタートアップへの二度の転職を経験、パラレルキャリアにて「本棚で手と手が重なるようなロマンチックな出会い」をデザインする会社、株式会社MISSION ROMANTICを2019年2月創業。現在は自身の会社に一本化し、2020年中に「オンライン書店×出会い」の新サービスローンチに向けて目下準備中。

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鈴木 みずほ
株式会社Jocy代表取締役
美容室定額サービス「MEZON」を運営。大学卒業後、不動産ベンチャーに勤務。その後、サイバーエージェントグループで5年半、大手企業と事業提携を行い新規事業企画・開発に従事。新規事業ギネス更新。
2017年10月、株式会社Jocy設立。

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