一番優しいと思った人の行動。
私ね、こんな優しくできる人がいるんだ〜って思ったことがあって。
とその人は言いました。ヨガをするたびに繊細なお話をしてくださる方。
その方は重度の喘息があるのですが、ヨガスタジオに初めていらした時に
「私がこんなところに来られるようになるなんて」と言いました。
それまではパーソナルレッスンをしていたのです。ヨガと言っていいのかわからないほどの、ゆったりとした動きと呼吸法だけ。
立って筋力を使うのも最初は難しかった。初めて、その方が私にパーソナルレッスンのお申し込みを下さった時、相当な勇気だっただろうと思う。
でも「突然閃いた」そうです。ヨガ、私にやれるかしら?って。
ご病気は紙一面にぎっしり並ぶほどお持ちで、尚且つ喘息。これは、これはマンツーマンから始めましょうとお伝えしました。
二階から降りる力もないと。1年、近所のスーパーに何度か行っただけだと。
それくらい重症な方が、「ヨガをやろう」と思いついたのです。すごいことです、希望があります。
最初の日は呼吸とゆったり動くだけで終わったのです。
あああーとその方は仰いました。
「私は今まで絹糸一本の呼吸で生きてきたんですね!!呼吸が大きくできる今、そのことに気がつきました!!!」と。
「これが呼吸なのか、これが、、吸える、吸えます!!」と。
絹糸一本ですよ、それが何十年も続いていたんです。細い細い糸くらいしかない呼吸で命を繋いできたんです。こんなに病気もあるのに。私は蜘蛛の糸を思い出しました。
それから「吸える」という感覚に目覚め、その方は、お散歩をし、電車に乗り、何年かぶりに桜を見、新幹線に乗って旅行をし、もう2度と無理かと思っていた船にも乗船しました。
「また海に来れた!」と。
呼吸ができるからです!!と。
もちろん病気が治ったわけじゃありません、それでも毎日が急に寝たきりの人生を取り戻すかのように煌めいて幸せいっぱいになったのです。
桜が綺麗!
ここまで歩けた!
呼吸が吸える!
食事が美味しい!
食べられる!
あの人に会えた!
日常の一つ一つが全部幸せで、この全てを新鮮に味わいつくし、全部私にメールがきます♪ 私も、一緒に日常の細やかな全てが幸せに思いました。
そのような人生が煌くきっかけにヨガがお手伝いできたことはとても嬉しいことでした。
その方が言ったのです。
「私ね、こんなに優しい人がいるんだ〜って思ったの、そんなことができる人がいるなんてすごいと思う、あ〜〜って思った人がいるの」
「私の歩幅に合わせた人がいるのよ、自然に」
歩くと喘息で苦しくなってしまうのでゆっくりゆっくりしか歩けないその方に自然に歩みをゆっくりにして一緒に歩いた人がいたそうです。
その人が、この全ての日常の一つ一つに感謝と幸せを感じられるこの方の選ぶ一番優しい人、なんだと。私は胸が鷲掴みになりました。
皆さんにとって優しい人ってどんな人ですか?
寄り添えることの力を知りました。ふとそれが自然にできること。
私なんて6歳の娘に「お母さん。早い!!」といつも言われます。だって幼稚園遅れるし、学校遅刻するし。子どものためを思っての急ぎ足。
その言葉を聞いた日、私は娘と並んで歩いてみました。暑いし、すぐ帰って宿題しないといけないし、、という思いを消して。ゆっくり。
もうスキンシップも少なくなった1年生の娘が、私の手をギュッと握ってきました。
手を繋いで歩いたのいつぶりだろう。