実験とはリスクを乗り越えること
10月第1週はノーベル賞の時期です。化学賞は私の崇敬する岸先生が取ってくれないかなと期待していましたが、残念ながら受賞はなりませんでした。今年の化学賞はクリックケミストリーが対象となったのですが、これは合成化学と呼ばれる分野での受賞です。
分子はたとえ同じ原子が同じ順番でつながっていたとしても、鏡像の関係にあるというだけで違う機能を持つことがあります。同じ反応でそのような物質が2種類とも出来てしまう場合、それを精製してから次の反応へと移るため、総合収率はどうしても低くなってしまいます。
そんな合成過程をいくつかの安定で簡単な反応を用いて実現したのがクリックケミストリーです。
「実験」とは?
ところで、英語で実験を意味するexperimentの語源を調べてみると、experi-と名詞形をつくる-mentが合わさったものだと分かります。experi-を更に分解すると、ex-とper-になります。exは様々な語に見られる接頭辞で、「~外に、~先に」といった意味を持ちます。
perは何を意味するのかというと、何かを試したり、リスクを冒すことなのだそうです。リスキーなことをperilといったり、リスクをfearすることも同語源です。
つまり、リスクを取った先の実験に真理を求めるのかもしれませんね。