ドイツの公的/民間保険のルールとフリーランスの関係について
ドイツの健康保険は本当にややこしい。というわけで自分用のメモとしてまとめました。専門家に確認をとってるわけではないので。自己責任でお願いします。
また、この記事とは別で、ドイツ/ベルリン移住本を販売中なので、興味がある方は販売ページを覗いていただけると嬉しいです。(書籍は弁護士が確認済みです。)
ベルリンスタートガイドブック
書籍の中でも書きましたが、日本人の移住ブログで良く出てくるCareconcept(ケアコンセプト)は、ワークビザ取得の用件を満たしてないので、できるなら選ばない方がいいです。ワーホリでは使えます。
Careconceptを勧めてくる移住アドバイザーの人は注意が必要です。もしかしたら、保険の事をよくわからず勧めてるかもしれません。確認した方がよいでしょう。(ちゃんと理由が説明されてる場合は別です)
Careconceptは旅行保険のようなものに分類されます。治療の時に前払いをする必要があります。ドイツは日本と同程度の診察費用ですが、入院すると30万-150万程度支払いをする可能性があります。
(参考までに、私が6日間投薬治療のみで入院しましたが、約32万円を支払いました。)
また、ドイツはファイナンシャルプランナーの公式な資格がありません。どのような人でもファイナンシャルプランナーと名乗る事が出来るので、これも気をつけましょう。保険の相談は、独立したプロの保険屋(ブローカー)にお願いしましょう。保険ブローカーだけが健康保険会社を推薦することができます。(日本も資格がないと保険を売ったり紹介したりは一切できない。)
ここで、なぜ保険ブローカーに頼まなければならないのか?を解説しています。Insurance brokersのセクションを確認してください。
Public and private health insurance in Germany: how to chose? - All About Berlin
プライベート保険(民間保険)と法定保険(公的保険)
私のざっくりとした結論だと
- 稼いでいる「外国人」のフリーランサーはプライベート保険(45歳まで)
- 50歳を超えると、一気に保険代が値上がりする。家族持ちだとすごい金額が出ていくらしい
- できるなら、一度会社員になって、法定保険(公的保険とも言う)に入る
- 子供がいるなら法定保険
- 収入が低い場合は、いっそのこと数ヶ月無職になって、法定保険に入る(45歳まで/事前にどこかで会社勤めしておかないといけないかも?)
- 55歳以上の人は、法定保険に切り替えることはできない。
- 法定保険の人は、虫歯治療はプライベート保険で追加で入る
年齢が30代で、初めてベルリンに来た場合は、値段的にプライベート保険(民間保険ともいいます)と法定保険、どちらが安くなるのか真面目に検討した方が良いです。地方でも値段が違うようです。
個人事業主の場合はプライベートに入った方が安いことが多いです。
ただし、歳を取るとプライベート保険の値段はうなぎ上りに高くなります。50代ぐらいから保険料アップします。また、55歳以上の場合は、公的保険に切り替えることはできません。ほとんど不可能です。
ドイツの法定保険の原則に注意
Einmal Privat, Immer Privat
(一回プライベート保険に加入したら公的保険に戻れない。)
また、プライベート健康保険は、加入時点で最低2年間の滞在ビザが必要という情報もあるので、いずれにせよ、早めに切り替えてください。(多分保険会社によると思いますが、忘れていて選択肢が狭まるのはばかばかしいので…)
法定健康保険(公的健康保険)GKVとは
政府健康保険システムに組み込まれ、国から認められている保険です。100以上の会社があるようですが、AOK、TK、SBK、BEK、DAKが大きくシェアを占めているようです。
公的健康保険金の内訳は法定年金 /法定健康保険/介護保険/失業保険/社会保障費のようです。
会社員だと、働いてる場合は半分雇用主が払い、もう半分を従業員が払います。フリーランスの場合は雇用主がいません。なので、自分で雇用主分も持つことになります。
聞いた話ですが、ドイツ人以外の外国人も、法定保険になかなか入れず、プライベート保険で対応している人も多いそうです。
法定保険の中でも有名なところは以下。TKのみいろいろ情報を貰えたので記載しておきます。
- TK
- Barmer
- AOK Beitragsrechner - Jetzt Vorteil berechnen! | AOK - Die Gesundheitskasse 保険金の計算ができます。
- DAK-Gesundheit
- BKK-linde(友人が加入してるので記載)
法定保険の中でも、難病や治療、薬のカバーが違います。もし自分やご家族が難病を患っている場合は、保険会社に特定の難病がカバーされてるか相談してください。
TK(テーカー)
おそらくドイツでいちばん人気の健康保険。会社員になるとみんなこれに加入しているような気がします。Teilzeit(パートタイム勤務)だと、断られることがあるみたいです。
今の雇用形態、どのように生活費をもらっているか(それと税金を納めているか)にもよりますが、selbstständig(個人事業)という事であればfreiwillige Versicherung(任意保険)という事でTKにも入れます。
とはいえ、フリーランスのTK加入は恐らく困難です。知人のフリーランス(デンマーク人)がTK加入しましたが、その人は月額70万オーバーをコンスタントに稼ぐ事が出来るひとでした。(国籍がEUというのも関係しているかもしれません。)
ベルリンのほとんどのフリーランスは、恐らく年間を通して月70万を稼ぐひとはほぼいないと思われます。それだけフリーランスの人がTKに入るのは難しいです。
Wer kann sich freiwillig bei der TK versichern? | Die Techniker
Voluntary insurance –Contributions from 2020
(保険金は収入の14.6%)
月の収入が5.212,5€(66万以上)の会社員やフリーランスの場合はTKに入りっぱなしで最高額を納めるか、逆にプライベートに入って安くするかを考える必要があります。
実際のフリーランスでTK加入した人のレビュー
My honest review of Techniker Krankenkasse (TK) - All About Berlin
フリーランスだと健康保険で最大月額815€。(周りのフリーランスを見てると、月の保険金550-800は当たり前という印象です)
フリーランスで給与が高い場合は、民間保険をおすすめします。
ここでTKの保険費用を計算できます。
Beitragsrechner für Selbstständige | Die Techniker
歯の治療は保険外なので、別で入る
TKは歯の治療は適応外なので、別で保険に入る必要があります。民間保険で別契約しましょう。 Zahnzusatz Testsieger Stiftung Warentest 2019 | ottonova
法定保険に入れるか確認する
Public health insurance
こちらで質問に答えていくとチェックできます。ただ、フリーランスで収入が少なすぎたり、外国人事業者だとやはり入れないと思います。
これが、「ドイツではなるべく会社員になったほうがいいいよ!!」と言い続けている理由です。ずっとフリーランスのみだと、45歳以上になった時に保険料が辛いのではないかなと思います。
法定保険は通常加入後18ヶ月経過していれば、解約して他の保険会社に変更可能なようです。(あんまりないとおもいますが)
おまけ: KSK(Künstlersozialkasse)
Wer ist abgabepflichtig :: Künstlersozialkasse
社会保障制度の名称。フリーランスのアーティスト用の健康保険。国が健康保険料の50%を支払います。厳しい審査があり、審査が6ヶ月ほどかかる場合もあります。また、毎年資格を取得していることを証明する必要があります。(自分の技術分野で、ドイツ国内の二つのクライアントから定期的に400€程度の支払いをうけているか?銀行の入金証明書など)
自分で法定健康保険かプライベート保険のどちらかに入る必要はあります。(ここ超重要です。これは保険じゃないです。ブログなどで結構間違った事を書いてる人がおおい)
また、収入が年間の最低基準額である3,900ユーロを下回ると適応されません。
プライベート保険の特徴 (PKV)
法定保険に比べ、治療の時に、良いサービスを受けられます。
- 早めに予約をとれる。
- 病院で選択的治療を受けられます。(個室/部長以上の診察/病院食の選択など)
- 掛け金が帰ってくるなど
ここで、もっと詳しくドイツの民間保険の機能や人気ランキングなどを確認することができます
https://www.private-krankenversicherungen.net/
おおまかな、民間健康保険のプロバイダーリストはこちら
https://www.private-krankenversicherungen.net/anbieter/
子供がいる場合も保険金の出費はばかにならないと思われます。
夫婦でフリーランスだと仮定し、30歳で平均月額を3000€とし、平均の保険金は大人1人で約300-550€程度だと思いますが、子供も保険をかけなければなりません。(200€程度)扶養などを考慮しても、月1000€(10万)前後の保険金がかかります。
(法定保険だと子供は無料で扶養対象になる。予防接種なども補助金対象で無料)
また、年金は含まれていないので、別で個人年金で積立てする必要があります。(フリーランスは年金加入義務がない/無期限滞在ビザを取得するためには最低5年間の年金保険への加入が必要。大学卒業すると2年。)
法定健康保険は高額とはいえ、全て含まれているので適正な値段だと思います。(しかも会社員だと半額負担してもらえます!)
最近良く見るプライベート保険
- Feather - Insurance for expats in Germany (ビザ申請時は利用できるけど、用件を満たしていない。旅行保険みたいなものです)
- Die digitale private Krankenversicherung | ottonova(完全に認可されたドイツの健康保険。ちょっと高め)
- Q&Aで「Mawista、Cigna、Allianz Worldwide Careなどの他のプロバイダーとは異なり、すべての規制要件を満たしています。」と記載されています。
- 保険ブローカーに聞くのが一番良いです。
それでも法定保険に入りたい
Einmal Privat, Immer Privat(一回プライベート保険に加入したら公的保険に戻れない。)とは言いましたが、それでも法定保険に入る方法はあります。
45歳までに無職になる
45歳までに何か月か無職になる事(それでbeitragbemessungsgrenze以下になれば強制的に公的保険に行きます)
これ、最初からフリーランサーの人は出来ない気がするんですが、どうなんでしょう。
結婚相手の扶養になる
扶養の場合は相手の入っている保険に入ることになります。
つまり、自分は稼いでいないのでbeitragbemessungsgrenze(評価上限)以下に自動的になります。(この場合相手がプライベート保険に入ってる場合、相手の保険料が結構上がりますが、公的保険は最高額まで行きそれ以上は上がりません。)
ただし、これは相手が法定保険に入っている場合です。お互いプライベート保険の場合は、ブローカーに相談した方が良いと思います。
荒技:学生になって加入する
どの大学でも専門学校(Fachhochschule)でも良いから一度でも学籍登録してしまえば学生として契約できる。
※大学をやめると保険の値段は上がるけど保険契約の解除はされない。
ドイツ語B2くらいで入学出来る学部を学籍登録だけして(数学部、情報学部など)保険契約したあと、1日も大学に通わなければ勝手に除籍になります。
正直、ここまでドイツ語がんばったら、学校行った方がいいと思います!
(30歳以上の学生だと加入できないとも聞いてるんですが、どうなんでしょう)
情報募集
プライベートや公的保険の、「俺はここ入ってるよ」というものがあれば教えて下さい。
また、間違った情報があれば修正するので、教えていただけますと幸いです。
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