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安定した公務員の仕事を辞めるための退職届を送り出したあとの感想

前の記事に共有したように、正式に日本政府(文部科学省)の奨学金受給者として正式に認められたから、4月に名古屋に引っ越します。

というのは、ついに仕事を辞められて、2月10日に退職届を送り出した。人生の天王山だと言えるだろう。なぜですか。やっと教授になるという夢の実現に向けて大きな一歩を踏み出したからというだけではない。むしろ、安定した公務員の仕事を辞めることで、シンガポール人の大半が憧れる「標準的で理想的なシンガポール人の人生」を拒んでいるからでもあるのです。

「標準的で理想的なシンガポール人の人生」とは何ですか。日本のように、シンガポールでは社会的な期待に応えるプレッシャーが強すぎる。シンガポール人にとって、成功したいのであれば(というか、社会の成功の定義に従う)、主にプロパティラダーのぼり(始めは小さく手頃なお家から買って、それを売買することにより、徐々にサイズアップして、より大きく豪華なお家を購入すること)を中心とした生き方のテンプレートに従うことが求められます。このテンプレートの一般的なステージは次のとおりです:

  1. 良い大学に入学するだけでなく、卒業するために一生懸命勉強しなければなりません。さらに、大学生だった頃、もしまだ独身なら、彼氏・彼女を見つけることもとても重要です。なぜなら、政府補助金付きの新築公団住宅を購入するには(異性)婚約者が必要で、受け取る補助金の額はカップルの合計収入によって決まるからです。あるカップルが大学生として(つまり、収入が最小限)として申し込む場合、最大限の補助金を受けることができます。

  2. 良い大学を卒業した後、高収入または安定した仕事を見つけなければなりません。できれば両方。このステージでまだ恋人(婚約者になる可能性がある人)を見つけられない場合は、上記の第一ステージで述べた理由により、これまで以上に急いで見つける必要があります。

  3. 婚約者と結婚して購入した新築公団住宅に引っ越して子供を作る。カップルが住宅の鍵を受け取ってから3か月以内に結婚を正式にすることができない場合、住宅を放棄する必要があります。また、すでに支払った金額の一部(補助金を除く)も没収されます。

  4. 新築公団住宅の必須入居期間が終わると、売却して儲けを得て、より高価な公団住宅やコンドミニアムを購入する。シンガポールの不動産市場の至宝とみなされる土地付き住宅を購入できるようになるまで、売買のプロセスを繰り返します。

  5. 模範的な成功したシンガポール人になるために、上記のステージに従うように子供たちに教える。

もちろん、シンガポール人の約80%が公団住宅に住んでいることを考えると、「標準的で理想的なシンガポール人の人生」を成し遂げたシンガポール人は少数派に過ぎないと言えるのです。それにしても、このほぼ達成不可能な目標に向かって努力し続ける限り、仲間たちから「内輪」の一員としてみなされ続けるだろう。

自分の「標準的で理想的なシンガポール人生」の旅は、2月10日に退職届を送り出した時点で正式に終わったとみなすことができます。奨学金申請の採否結果が正式に通知される前であっても、大学院に通うために安定した公務員の仕事を辞めると聞いて、仲間たち、同僚たちがハッとした。「このような安定した仕事を辞めるのは愚かなことだ。」、「本当に貧乏になりたいんですか。」、「どうやってお家を買って、落ち着いて、家族をつくるつもりですか。」といったやる気をなくさせるコメントをもらいました。なんと、部長でさえ、アラサーのときでのキャリアアップ(昇進と昇給)の重要性を繰り返し強調することで、僕がまともに考えていないとほのめかした。前述の例からわかるように、多くのシンガポール人にとって、物質的な快適さを諦める考え(つまり、「標準的で理想的なシンガポール人生」から逸脱する)という考えはきっとバカであって、合理的に考えていないに違いない。人生で何を望んでいるのか常に明確にしている男として、そんな見下したネガティブなコメントはもはや影響を与えません。

はい、安定した仕事、まともな給料、キャリアアップの機会を諦めることになるのはわかっている。はい、落ち着いて家族をつくる計画を遅らせることになるのはわかっている。はい、新築公団住宅を転売して、簡単な利益を得るというゲームをプレイする機会を放棄して、「標準的で理想的なシンガポール人生」に逸脱するのはわかっている。そして全く問題はない。大学院に進学するためにこれらを諦めなければ、決して教授になるという夢を叶えない。もちろん、大学院に進学したからといって、必ず教授になるとは限らないこともわかっている。あまりにも甘っちょろいだと扱き下ろす周りの人々はいつもこれを思い出させます。言えるのは「失敗を受け入れることができる。しかし、挑戦しないことは受け入れられない。」ということだけだ。

皆さんへ、誰もが夢を持っていると信じています。それなのに、持っていないと言うのが一般的です。持っていないと言う人へ、子どもの頃、あるいは熱心な新入生だった頃を思い出してほしい。大きくなったら何になりたかったか。何をしたかったか。何かあるはずだ。さて、なぜその何かを諦めたのか考えてみましょう。社会や「内輪」からの何らかのプレッシャーのせいで、その何かを行うわけにはいかないのだろうか。もしこのプレッシャーに逆らって、その何かを行おうものなら、バックラッシュに耐えられますか。

上の段落で述べたことは、僕が実際に経験した旅です。大学生だった頃からずっと、いつも学術界で働きたかった。「内輪」が「標準的で理想的なシンガポール人生」をスムーズに進めるために、暗号通貨、投資といった手っ取り早い金儲けに熱中している間に、大学院の研究計画書を作成するために、いろいろな学術論文や本を読むのに忙しくしていました。当然のことながら、「内輪」との共通点はどんどん少なくなっていました。実際、永遠の親友だと思っていた人から厳しい批判を受けたこともある(詳細は明かしたくない)。僕はひどい影響を受けたのでしょうか。もちろんそうだったよ!

すると、予想外のことが起こりました。コロナのパンデミックが襲った。あの時、ユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドン(UCL)の教授と、彼の指導の下でUCLに進学するについて話し合っていました。パンデミックによる外国人への資金削減のため、教授は奨学金を得るのはほぼ不可能だと言いました。その結果、社会人になるしかなかった。公務員としての現在の仕事に就いてから、「標準的で理想的なシンガポール人生」を進むことに何の問題もないと分に言い聞かせるようにしています。当初、全ては順風満帆だった。雇用の安定が保証されており、給与も妥当。さらに、仕事の範囲が面白く、上司や同僚も親切だったので、ここで長く働けるだろうと思っていました。恋愛関係の面では、元カノは政府補助金付きの新築公団住宅を購入すること(ひいては、結婚することになる)さえほのめかしていました。その時、ゆっくりと再び「内輪」に受け入れられているのを感じたのです。

しかし、人員不足のため、1年後に離職率が高いことで悪名高い部署に異動になりました。6か月以内に、幻滅し始めました。ストレスが多く、残業も頻繁で、社内政治も横行していました。同時に、同じく公務員である元カノはロマンチックなバレンタインディナーにノートパソコンを持ち込んで働くほど超バリキャリになっていた。すべからくすぐに別れました。2か月後、友だちに会いに札幌に行ったとき、ついでに北海道大学を訪れました。これがきっかけで、これが「標準的で理想的なシンガポール人生」を永遠に諦めて、教授になるという夢を追いかける決意をこれまで以上に固めました。

多くの人が知識の追求よりも物質的な快適さを優先するシンガポールに住んでいるので、夢に叶えることに完全に専念するためには、こうした人々との関わりを断ち切るか、少なくとも減らす必要があると分かっています。明確に言うと、お金を何よりも優先する人が間違っていると言っているわけではない。誰もが人生にはそれぞれ生きがいを持っており、それを尊重します。でも、気を散らすものから心を遠ざけるためには、同じ考えを持つ人たちや支えてくれる人たちに囲まれる必要があります。確かに、かつて「内輪」と思っていた人たちともう話せなくなるのは辛かった。それでも、高い目標を達成するためには、必ず犠牲を払わないではおかないのではないだろうか。ともあれ、これらの人々は連絡を取り合うために努力をしたわけではない。それはともかく、大学院への出願準備ために起きている時間のほとんど(仕事を除く)を費やしたから、過去1年半は本当に孤独な時間だった。外向的な男のわりに、これは問題だっただろうと思うかもしれない。しかし、そうではなかった。応援してくれる(少なくとも軽蔑しない)友人や同僚とだけ連絡を取り合うことで、申請プロセスを通じて集中力を保てて、最終的に奨学金を獲得することができました。

タイトルに述べた話題に戻ると、日本政府(文部科学省)の奨学生の受入通知書を受け取った後、迷いなく退職届を提出しました。人生の新たな段階が始まろうとしています。教授になるという夢を最終的に達成できるかどうかにかかわらず、安定した公務員の仕事を辞めて、「標準的で理想的なシンガポール人の人生」を拒否したという決断を後悔することはないと自信を持って言えます。人生は短すぎるので、仕事がどんなに安定しても、給料がどんなに良くても、仕事が人生の目標に役立っていないのであれば、もっと良い機会が現れたらすぐに辞めることをお勧めします。社会が「正しい道」と考えるものから外れた機会を追求しようものなら、間違いなく批判に直面するに違いない。でも、夢を追いかける過程で誰かを害を与えない限り、振り返らずに前進し続けてください。確かに、途中で「内輪」を失う可能性があるかもしれないが、あなたの目標をサポートして、新しい「内輪」になる真の友達もできるだろう。

最後まで読んでくれてありがとうございました。長文失礼いたしました。最近、感情が溢れてきてしまって、書くことが感情を解放する方法です。感想や経験を共有することで、皆さんに夢を追いかける勇気を与えたい。

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