【MeWSS論文コラム】 Predatory Journalsに関するコメント

 the Lancet Volume 405, Issue 10476p362-364February 01, 2025に”Predatory journals: what can we do to protect their prey?”という共同コメントが掲載されました。

https://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(24)02863-0/fulltext

 どうやら著名なジャーナルに見せかけた誌名、サイトを作成して騙す手口があるようです。このコメントは以下の組織の共著なのですが、高IF医学系ジャーナルだけでなく、インド、ニュージーランド、韓国、チュニジアなどの雑誌も入っていることから、被害にあった雑誌が共著していると想像しました。どうやら手口はより本物の詐欺に近付いているようで、投稿料を支払っても結局どこにも掲載されなかったという事例もあるようです。
 
Annals of Internal Medicine、National Library of Medicine、Medwave、PLOS Medicine、Deutsches Ärzteblatt (German Medical Journal) and Deutsches Ärzteblatt International、JAMA and the JAMA Network、New Zealand Medical Journal、Bulletin of the World Health Organization、The Lancet、The BMJ、Nature Medicine、New England Journal of Medicine、The National Medical Journal of India、Secretary of ICMJE、Journal of Korean Medical Science、La Tunisie Médicale (Tunisia)

 Predatory journalは、著者に直接連絡して論文や総説の執筆を依頼します。自分の論文が掲載された直後など、みなさん一度は経験があるかと思います。掲載されたのが有名雑誌でなくても、英語でなくても、それは来ます。私自身共著で書いた日本語の総説に対して、「この内容でも他の内容でもいいからうちの雑誌にも書いて欲しい」と依頼された経験があります。
 どの雑誌でも掲載前にオープンアクセス費などの費用が発生することは珍しいことではなく、それが多少高めでも信じてしまうかもしれません。しかし雑誌から依頼があって、それを受けようかともしお考えの場合は、Lancetのコメント記事にも書いてあったように、必ずご自身で確認してください。例えば既存雑誌の姉妹誌を騙っているような場合は、その雑誌社の公式サイトを見るとか、周りの同僚や先輩に訊いてみるとか。周りに知っている方がいないのであれば、editorとして名前が掲載されている人にメールで問い合わせてもいいです。
 Predatory journalsはどんどん消えて新しいものが現れてくることから、完全リストを作るのは難しいそうです。以前このコラムでもご紹介したチェックリストもぜひご参照ください。