【MeWSS論文コラム】 論文投稿の楽しみ
原著論文を書くのはやっぱり時間がかかります。
すでにデータも全部出揃っていて、ストーリーも比較的単純で、論文全体をメディカルライターが執筆するという案件のご依頼をいただき、昨年から進めていました。どんなに時間がかかったとしても半年もあれば楽勝と思っていたのですが、作業開始から投稿までに1年以上かかりました。著者の本業が忙しいことは最初から分かっていることですが、今ちょっと忙しいと言っている間に簡単に2−3ヶ月過ぎていることもよくあるので、思ったようには進みません。
苦労した分、やっぱり投稿まで行き着くと、ものすごい達成感があります。
論文投稿後にはヒヤヒヤ・ワクワクのタイミングが複数あって、1回目は投稿した直後に訪れます。投稿原稿に何らかの不備があれば翌営業日にメールが来るので、それが来ないで受け付けられたら一つ目クリアです。最近ウェブ投稿システムは改良が進んでいて、ウェブ上で受け付けられたらその後何か不備が見つかることはほぼないのですが、一部特別な条件を課しているのにウェブに反映していないジャーナルも存在し、編集部で確認後翌日差し戻されていたりします。これに気づかずにいて何日か無駄にした苦い経験があり、投稿3日後くらいまではメールに注意するようにしています。
2回目は、1週間くらいまでの間にrejectの連絡が来ないこと、もしくはウェブ上で審査状況が確認できるシステムもあるので、いずれかの方法で査読フェーズに入ったらしいと知った時です。少なくとも査読に行ったということはそれなりにエディターに認められたということであり、最悪でも査読コメントはもらえるので、この意味はとても大きいです。ここまで行ったことを素直に喜んで、楽しみに査読結果を待ちましょう。
3回目は、お楽しみの査読コメントが送られてきた時です。ボロボロに言われることもあるので、ちょっと怖いところもあるのですが、やはり楽しみの方がはるかに大きいです。特に、これはいい研究だとか、よく書けているとか言ってもらった時の喜びは言葉に尽くせないくらいです。
査読コメントを返す、もしくはその反応を待っている時を4回目とすると、コメントに対してそのまま従うのではなく、ちゃんと説明してこちらの言い分を納得してもらった時に、さらに嬉しい気持ちになります。論破では決してないのですが、誠実にこちらの言い分や理由を説明した上で、申し訳ないけれどもこのレビュアーの意見には賛同できない、と書いてそのまま通った時は、これぞ査読対応の醍醐味!と心から嬉しくなります。
そして最後にアクセプトの連絡をエディターからもらった時です。実はごく最近これら全ての行程を経験して、昨日アクセプトの連絡をもらいました。すでに二人のレビュアーから「よくできている」のコメントをもらっていて、もらったコメントに対してもきれいに対応できた自負があったので、アクセプトの連絡は喜びよりも安心、これでプロジェクト終了という安堵の気持ちの方が大きかったです。やはり一番嬉しいのは、「良く書けている」という査読コメントをもらった時でした。今までの苦労がこれで報われたな、という気持ちになりました。
論文執筆と投稿は、本当に色々苦労がありますし時間もかかります。それでもそれを上回る喜びが必ず待っています。ぜひこの幸せをもっと多くのみなさんに経験していただきたいです。