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JapEn 20th 感想

今年もJapEn 20thが公開された。

初めてJapEnが公開されてから20年目。
ペンスピナーにとってクリスマスは家族や恋人たちが至上の憩いを過ごす日だけにとどまらず、その年を象徴する日本ペン回し界至上の作品であるJapEnの公開を楽しむ日でもある。
だからクリぼっちのみんな。大丈夫だ。私もそう思うことにしてる。

私も例年通り、この時だけは他にどんな予定が生まれようとも後に回す。ペンスピナーだけに。
JapEnはリアルタイムで観ることも醍醐味の一つ。この国に、いや、この世界に同じように歴史的瞬間に立ち会うべくスタンバイしている同志たちがいると思うと胸が躍る。

とは言え、今作にかける想いはこれまでのJapEnとは違っていた。なぜなら、この瞬間のために17年間の集大成を目一杯に注ぎ込んだからだ。
そんな老輩の全身全霊は、果たしてどのようにして17年間の研鑽に応えてくれるのだろうか…。


ありがとう。

本題に入る前に、JapEn 20th制作に関わる全ての人に感謝と労いの意を申し上げます。
この作品がここまで来れたのは、ひとえにこの20年間JapEnと言う炎を絶やさずに繋いできた全ての人の弛まぬ尽力に他なりません。
そして今回、出演という形ではありますが、その一員となれたことを心の底から誇りに思います。
この素晴らしい伝統を絶やさないように、私自身にできることを考え、行動できたらなと思いました。
改めて、JapEn 20thに携わる全ての方々、本当にありがとうございました。

それでは感想へ。

編集

本作の編集者はLotus氏である。
ここ数年は、Lotus氏の編集によるCVが年に一度くらいのスパンで公開されている。
彼の編集は秀逸であり、毎年Lotus作品にだけ精を出す隠居系スピナーも多い。

2024年も例に漏れず、撓(しおり)と言う作品が公開された。そしてこれを見た私はついこのようなことを口走ってしまう。

「もうこれJapEnじゃん」

今年のJapEnはこれを超えることができるのか、そう思ってしまうには十分なほどの名作である。
そしてそんなJapEnの編集者が何を隠そうLotusさんだった。約束されたJapEn成功の片鱗が、ここで少しだけ見えたような気がした。

そして公開。
まず初手で聴こえてきたMintJamに震えた。
20年目の節目にして、Rivalのスピンオフ的サウンドが私を包み込んだ。
正直Never mindは知らなかったが、聴けばMitJamだとわかる。鼓膜が覚えている。

燃え上がる炎を想起させる赤、情熱の色がロックなバンドサウンドにぴったりハマる。
JapEn→日本旋転板→MintJamの流れが好きすぎて何回も観た。
編集に癖はない。疾走感のある楽曲に合わせるかのように、小気味良く展開が入れ替わっていく。

Lotus氏の思惑はわからないが、とにかく「かっこいい」と感じた。昨今のオシャレ編集に若干飽きてきていた自分には、CV史で言えばクラシックに該当するような今作のコンセプトが、かえって新鮮に映った。

まさに20周年に相応しい素晴らしい演出だと心底思った。

出演者

出演されたみなさん、誠におめでとうございます。
共に並んだ者として大変恐縮ですが、感想を述べさせていただきます。

VAIN

常連組からの出演。
あまりよくわからなかったが、いつも通りと言う感じで流石の貫禄だなと思った。
〆は私の方が上手い。

KoVi

天才。天才という他ない。
この人を見ていて上手すぎると思わなかったことは未だ一度もない。
正直何をやってるのかあんまりわからなかったが、視覚的な違和感の連続がどんどん気持ちよくなっていく体験だった。
例えるなら高級フレンチのように、パッと見ではよくわからないが食べてみると美味しい。未体験の味だが不思議と調和がとれている。そして味わいきる暇もなく次の料理が置かれる。そんな感じ。
Twirl的なトリックを使っていて、AiMo技だなんだと言われているが、確か初出はfel2framのはず。積極的に採用したAiMoさんの印象が強いかもしれないが、単純に未開拓のジャンルなだけだと僕は思う。
3バクから流して2バク→24キャッチのところ気持ち良過ぎる。
全体的に好みのFSだった。お見事。
〆は私の方が上手い。

TUv4

全くわからない。
固有進化系って競合が居ないので本当に有利だなと思う反面、求められる期待のハードルが「自分超え」しかないのがキツいところだと思う。
わかるのはフィンクロの部分の接続が滑らかすぎることのみ。
あとは切り返しにこだわりを強く持っているのではないかと言う推察をしている。
他にわかりそうなところはなかった。奇妙さの塊。
このままMy Way突き進んでください。
〆は私の方が上手い。

ps-728

古参エモ枠からの出演。
賛否両論あるようだが私は好きな方だった。
「全然回ってない」的な意見があったが、個人的には楽しく観れた。
ペン回しと言う範疇ではなく、パフォーマンスと言う領域に拡大して解釈することで腹落ちした。
何をやっているかはあまりわからなかったが、全盛期のBanzを彷彿とさせるガチャガチャ感はなんか癖になる。疾走感とかリズミカルとかの類いだろうか。
特に〆は私にはできないと思うしけっこう印象的だったが、私の1122の方が上手い。

Meves

〆が上手い。
後日詳しく解説します。

Nanafushi

ジャパモの権化が登場。
相変わらずわからない。ひたすら滑らかに技が展開されていくのを眺めていたら、一箇所とんでもない動きをして元の位置に帰ってきたのはたまげた。
解析してもできないのがジャパモの憎いところ。ナナフシと言う一つのスタイルを確立して数年経つが、技の印象が先行することで悩むことがたくさんあったと思う。
そんな暗雲から抜け出したか?と思わせるようなFSだった。そもそもまだジャパモでそこまでアイデアを生み出せること自体が天才だと言わざるを得ない。
緩急の少ない薄味のスタイルにさまざまな方法で味付けを加えていくのに関心した。
〆は私の方が上手い。

Muren

バケモン。※褒め言葉です。
あんまり一人でCVを観て声を出すタイプではないが、Muren氏のFSを観た時は「おぉ」とつい漏らしてしまった。
パワー+1P2Hなぞなおさら門外漢なわけなので正直よくわからなかったが、本気度はビリビリと伝わってきた。
見応え抜群。「こなし」も素晴らしい。そしてなんと言っても〆はえげつなかった。流石に勝てない。
JapEn15thのoZoneさんを彷彿とさせる交互連打は圧巻。
Laku氏曰く〆以外にも随所に両手系のスゴいポイントがあるらしいが、私から言わせてみればこの〆の破壊力はジャンル無知でも太鼓判を押すのに十分な理由になると確信するほどだった。
天晴れ。MVPです。

Jiv.

両手系の技巧派。
もちろん全くわからないが、両手ならではの使い方をしていることはなんとなくわかる。
使う指の数が単純に倍になるのだから、私の脳のキャパでは絶対に不可能だろう。
さらに左右の手は対照であることから右の順回転は左の逆回転となり、受け渡しの時に自動的に回転方向が(手にとって)逆転する。脳トレにも程がある。
両手の可能性をまだまだ感じさせるFSになっていたと思う。
〆もかっこいい。私といい勝負。

Rai

上手い。
やっていることは全てわかるが、一つ一つの練度が高いと感じた。
Rai氏のペン回しにかける思いの強さは肌で感じるほど、そのままFSに反映されているような気がする。
バランスも良いし、環境も綺麗だし、抜かりなく整えられた隙のないFSだと思う。
〆は私の方が上手い。

Iteza

最高に好きです。
この鍛錬の賜物みたいなゴリゴリ質量系ペン回し、たまらなく好きです。
Iteza氏の得意なラインで構成されてはいるが、その全てが固有性を持っているため、誰にも真似できないFSに仕上がっている。
5軸にいったと思ったら2バクやってたり、ぽーんと放ったペンを45キャッチしてシメバクしていたり、見せ場となるムーブメントも多々ある。
古参スピナーがこうして第一線で戦える様子を見ると、私もまだいけるんだと思わせてくれる。
眼福です。共演できて本当に嬉しいです。
〆は私の方が上手い。

AiMo

本当に意味がわからない。
一番再生したのはこの人の部分。
色々観て「ほーこうなっていたのか」と思う反面、こんなオーダーをこの速度、キレ、円軌道でこなしている実力に空いた口が塞がらない。
「そうはならんだろ」と繰り返し思わされる情報量の多いFS。
彼からもJapEnにかける情熱を感じた。
それにしてもこの人はどんどん進化していくな。無尽蔵のペン回し愛に感服いたしました。
〆は私の方が上手い。

tetora

スタンディングのパワータイプ。
元動画見ると始動付近かなり良かった。
よく見るとけっこう凝ったトリックやってて意地を感じた。
特に〆に気合いを感じた。あんなんできる気がしない。


さいごに

最高の年だった。
JapEn 20thには、私が居た。
何度観ても同じだった。確かにそこにMevesがいる。
必死で撮り、提出後も何度も見返して見飽きていたそのFSが、何故か新鮮に見えた。
なんとなく、画面の向こうにいる自分は生き生きしているような気がした。

この20年目と言う節目に出演できたことを心から嬉しく思う。
本作にかけていた想いは、これまでのものとは大きく異なっていたからこそ、喜びもひとしおである。
そんな私のFSについてはまた別の記事で話そうと思っているので、興味がある方は是非。

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