novelWriter その1

VSCodeの小説執筆を支援する拡張機能「novel-writer」の話題ではありません。VSCodeの拡張機能を検索したつもりが、何かの間違いでここに辿り着いてしまった方は申し訳ありません。検索画面にお戻りください。

novelWriterはオープンソースの文章執筆用テキストエディタ

 novelWriter はオープンソースの文章執筆用テキストエディタです。小説執筆用ソフトを使ってみたいと思っている方、あるいは今と異なる制作環境をお探しの方は是非一度読んでみてください。

 さて、何はともあれ重要なのは、何ができて何ができないか、という点ではないかと思います。そこで、できないことを先に書いておきますので、ご自身の求めている機能がない場合は先を読まなくてもよいようにしておきます。

できないこと

  • 文字装飾(強調のみ可)、画像の挿入、作表、外部リンクの挿入といったMicrosoft Wordのようなワープロソフトにできること

  • 縦書き

  • 複数人での原稿作成

  • スマートフォンとの連携

 さらに、現時点での novelWriter 使用時に生じる問題を挙げておきます。

既知の問題

 現時点において、日本語による執筆時に致命的な問題は以下の二点です。

  1. 日本語マニュアルが用意されていない

  2. 日本語で入力する際、IMEの変換候補ウィンドウが入力中の文章を隠してしまう

 1.についてはweb翻訳でどうにかなります。

 2.については novelWriter ソフトウェア自体の抱える問題ではなく、Qt5の不具合によるもののようで、NovelWriter の次期バージョンアップ時にQt5からQt6へ移行すれば改善されるのではないかと考えられています。

図1 IME変換候補ウィンドウ問題。これは中々辛いものがあります。

 下記リンクは中国語のピンイン入力を行っているユーザーからのディスカッションですが、同じ症状は韓国語、日本語でも生じていますので確認してみてください。

※Qt(キュート:クロスプラットフォーム・ソフトウェア開発フレームワーク)が何なのか気になる人は別途検索してください(私には分かりません)。

※現状で使用したからといってシステムがクラッシュするなどといった重大な問題が発生することはありません(少なくとも私は遭遇したことはないです)。日本語で入力する時に使いにくいというだけです。

IME変換候補ウィンドウ問題の回避方法

 一文が短い場合は読点まで一気に入力してからスペースキー(変換キー)を押すと、変換候補ウィンドウに文章が表示されているので、少なくとも入力中は何とかなります。

図2 単語毎、文節毎に区切って入力・変換するのではなく、読点まで一気に入力・変換する

 一文を入力した後、変換キーを押すと未確定の状態を示す点線が表示されているので、矢印キーでカーソルを誤変換部分まで進めてから再度変換キーを押して再変換し、よければEnterキー(決定キー)を押します。

図3 誤変換部分まで矢印キーで移動→再変換→確定

 Windows11の日本語IMEの場合、一度に入力できる文字数制限を超えた時には、制限文字数までを有無を言わせず自動的に変換・確定されてしまいます。これは制限を超える都度文の先頭から順次変換されるのではなく、制限文字数まで一気に行われます。変換候補の確認は全くしてくれないので、意図した通りの変換になるとは限りません。

 一度に入力できる文字数制限が何文字なのか情報がないのですが、私が試したところ、全角ひらがな90字程度の入力で自動的に変換・確定されてしまいました。

 従って一文が長い場合は句点や接続詞、副詞などで一旦区切るといった工夫が必要です。

できること(novelWriterの特徴的な機能)

 入力し辛いのに使用する意味があるのか? そう思いますよね。

 novelWriter は複数のテキストファイルを組み合わせることで文章を作成します。テキストファイルは、章、節、シーンなど好きなところで区切ってそれぞれ別個に記述しておき、最終的にはそれらを統合して一つの文章として出力することができます。

 novelWriter を使用する時に得られる最大の恩恵は、別個に存在する複数のテキストファイル間の関連付けができることです。

 関連付けはソフトウェアが自動的に行ってくれるのではなく、ユーザー自身でメタタグを記述する必要はありますが、ある場面に登場するキャラクターは誰と誰で、場所はどこで、視点は誰で、重要アイテムがこれで……、といったアウトラインの確認が後から一覧できるのは便利です。

どんな人向け?

  • 無料かつ、ひとつのアプリケーションソフトウェアで執筆が可能なものを探している人
    (構成やあらすじはアウトラインエディタ、キャラクターの設定にはスプレッドシート、適宜アウトラインエディタやスプレッドシートを参照しながら本文をワープロソフトで書くものの、最終的な出力はワープロの独自ファイルではなくテキスト(.text)で行わなくてはいけない、などといったことを面倒に思う人)

  • PCにインストールしてキーボードで入力するスタイルの人

 それから、スノーフレイク・メソッド(snowflake method)のような方法で書く人に向いていると思います。

 novelWriter の機能は完全なスノーフレイク・メソッドを再現するものではありませんが、それに準じた使い方ができるというのはnovelWriter公式ホームページでも謳われている通りです。

You can at any point split the individual documents by their headers up into multiple documents, or merge multiple documents into single documents. This makes it easier to use variations of the Snowflake method for writing. You can start by writing larger structure-focused documents, like one per act for instance, and later effortlessly split these up into scenes by their headers.

※太字部分は筆者によるもので原文にはありません
https://novelwriter.io/docs/int_introduction.html

 novelWriter でスノーフレイク・メソッドのような書き方をする時の使い方については次回以降に書いてみることにします。

 なお、ダウンロードは下記リンクから行えます。英語サイトですが、ソフト自体のユーザーインターフェースは完全日本語化されていますし、日本語のテキストファイルを作成することができるのは言うまでもありません。

 その2へ続く

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