見出し画像

これは「第二の赤い羽根」?郵便局年賀寄付金の配分先団体を調べてみた

1.はじめに

昨年秋に始まった、暇空茜さんと 「共産党と強いつながりのあるcolabo代表仁藤夢乃さん」とのバスカフェ タイヤ バトルは、現在、厚生労働省を中心とした「疑獄」へと発展しつつある。また、年明け早々には、「赤い羽根」が、村木厚子、奥田知志両氏を中心とする「ナニカ」グループの「公金チューチュースキーム」の原資となっていることも判明し、世間を騒がせている。

今回私は、WBPC周辺団体に配分されていた「郵便局年賀寄付金」においても、赤い羽根同様の事態に陥っていないか、インターネット上の情報を基に調査してみた。

2.郵便局年賀寄付金とは

この年賀寄付金は年賀状や年賀切手に予め付加されており、われわれ消費者が購入すると、利益の一定額が寄付金にプールされる仕組みになっている。
郵便局のHPをみると、2007年度が最も古い情報で、2022年度の寄付金の情報までが公開されている。

https://www.post.japanpost.jp/kifu/topics/index.html

寄付金は、一般枠と自然災害や特別なテーマなどの特別枠に分かれており、一般枠は、申請団体800~1000に対して、200前後の団体が審査を経て選ばれている。審査にパスするのは、概ね申請数の1/4~1/3である。

寄付金の総額は、事業を開始した2007年度は、総額6億円4000万円に上ったが、年賀状を使用する人口が減少した影響で、2022年度は、総額2億9500万円ほどになっている。


寄付金の配分は、各団体からの申請を審査委員が審査をして決定され、総務大臣の認可を受けて確定となる。この寄付事業の目的と意義について、日本郵政はプレスリリースで以下のように述べている。

便事業株式会社では、寄附金付の年賀葉書及び年賀切手をご購入いただいた皆さまの善意の 寄附金を配分原資として、社会福祉の増進を目的とする事業等を支援するために、同事業を実施す る団体への寄附金の配分を行っています。


3.配分先団体と金額について

ではその寄付金を受ける配分団体に「ナニカ」グループは存在するのだろうか。私は2010年度(助成決定年度。団体への配分は翌年度に行われる)から2022年度までの寄付金の配分先団体を調べた。

「ナニカ」グループかどうかの判別は、「アカい羽根募金の闇」関連で公開されていた、@cyokuri さんの資料や、自身の調査、寄せられた情報を基にしている(kkzzさん、我竜105さん、ありがとうございます)。また申請資料における各団体の「使途内容」を以下のキーワードで抽出した結果も含まれている。

  • DV

  • 貧困

  • 困難を抱える

  • 困窮

  • 農福

  • SDG

  • 障害者就労

  • 社会の課題

  • エンパワーメント

  • フードバンク

  • 男女共同参画

  • 入居支援

  • 連帯保証

  • 外国人

  • 権利擁護

  • 社会的インパクト

  • 難民

配分額は、2012年以降、500万円が上限になっている。
背景黄色は、ナニカ認定された団体である。無色は現在のところナニカ認定はされていないが、将来的に認定される可能性のある団体である。

2011年~2013年の配分団体とナニカ


ここでは、「シーズ・市民活動を支える制度をつくる会」の名前がある。NPO法の改正(改悪?)を推進し、後の「ファンドレイジング協会」「NPO会計税務専門家ネットワーク」「セイエン」「まちぽっと」の母体となる組織だ。他には、村木厚子さんと関係の深い、駒崎弘樹氏の「フローレンス」、入管法反対などの政治運動が盛んな「ヒューマンライツ・ナウ」、後の「抱樸」奥田知志氏とつながる団体(「ワンファミリー仙台」「かごしまNPO支援センター」)も見える。
また、仁藤夢乃さんの内縁の夫である稲葉隆久氏の出身母体「カタリバ」も名を連ねている。colaboの貸借対照表を作成したとされる矢崎芽生公認会計士が関係した団体の名前も複数ある。

2014年~2016年の配分団体とナニカ

駒崎氏の「フローレンス」がここでも登場している。
DV被害相談で、東京都の事業を委託している「全国女性シェルターネットワーク」、AV法制定・入管法反対の「しんぐるまざぁず・ふぉーらむ」、矢崎銘柄の団体も目立つ。これらの団体は、各年度で、満額の500万円の寄付を受けている。

2017年~2019年の配分団体のナニカ

休眠預金の資金配分団体である「まちぽっと」、「ファンドレイジング協会」が登場、どちらも矢崎銘柄である。奥田氏とつながりのある団体も目立つ。また、「ジェンダー・ベイスド・バイオレンス相談支援員養成」を推進する「全国女性シェルターネット」はここでも登場し(三度目)、同じく相談支援員を養成している「フェミニストサポートセンター・東海」も登場する。他に「ヒューマンライツ・ナウ」(三度目)など、女性団体への寄付が目立つ。

2020年~2022年の配分団体とナニカ

入管法に反対する「POSSE」が二度、選ばれている。2020年以前と比べて、配分先団体に変化が見られる。

ナニカの寄付金配分額ランキング

それでは、2011年~2022年において、ナニカグループの寄付金配分額のランキングをみてみよう。
1位は、駒崎氏の「フローレンス」である。4度の配分で1800万円。500万円の満額回数は3回である。村木厚子さんとの絆の深さのせいだろうか。3年連続で寄付を受けているのは、一般枠と特別枠を使いこなしているからである。
2位には、フェミニズムで政治色の濃い「ヒューマンライツ・ナウ」が続く。こちらは3回の配分で1500万円。3回とも満額の500万円である。すごい。
3位以降は奥田銘柄がならぶ。6位には、入管法反対の急先鋒「POSSE」が入った。

表の「満額回数」は、配分額が MAX の500万円に達した回数を指す。
上記表に掲げた団体に加え、「日本フィランソロピー協会」(2012年)、「シーズ・市民活動を支える制度をつくる会」(2013)が、一般枠500万円の配分を受けており、ナニカグループは、2011年~2022年の間、総計12度の満額配分を受けている。

4.寄付配分の条件は?選考プロセスは?

2020年の公募資料によれば、この寄付事業の流れは以下の通りである。
審査は「外部有識者により申請内容の審査を行う」とある。1000件近い申請内容をわずか1-2ヶ月で絞り込むのは大変だと思う。

次に審査のポイントだ。こちらも2020年度の公募資料からの抜粋である。
先駆性(先駆性が高く発展性のある事業)、社会性(社会的ニーズ)が重要にみえる。各団体の使用用途にケチをつける気はないが、先のランキングでみる、「ヒューマンライツ・ナウ」、「全国女性シェルターネット」、「POSSE」の活動に、それだけの意義があると評価した審査員がいたということは特筆しておきたい。

では、審査員は誰だろうか。残念ながら現在確認できるのは、2007年度の審査員と、2022年度の審査員だけである。

こちらが2007年度の顔ぶれだ。赤い羽根でお馴染みの「中央共同募金会」、パブリックリソース財団の前身である「パブリックリソースセンター」の人物がメンバーに名を連ねている。

こちらは2022年度の審査員と、事業の評価委員である。
WBPC問題に興味を持たれている人にとっては、見慣れた団体(「日本フィランソロピー協会」「キリン福祉財団」「CSOネットワーク」)や審査員の名前があるかと思われる。

2008年から2021年までの審査委員の情報は掴めていないのが残念である。


5.結論

年賀寄付金には、赤い羽根のWBPC(若草プロジェクト、BONDプロジェクト、ぱっぷす、colabo)は登場しない。また、配分金額の上限が赤い羽根に比べて少額(500万円)なこともあり、ナニカグループの存在は目立たない。

赤い羽根からWBPCへの助成額
・colabo 約3000万円
・ぱっぷす 約3300万円
・BONDプロジェクト 1422万円
・若草プロジェクト 2000万円

しかしすでに見てきたとおり、WBPCは登場しなくとも、その周辺に控える、急進フェミニズム・AV新法制定・入管法反対・困難女子支援法を推進している「全国女性シェルターネット」「ヒューマンライツ・ナウ」、WBPCの裏方的存在である「シーズ・市民活動を支える制度をつくる会」「ファンドレイジング協会」「NPO会計税務専門家ネットワーク」「まちぽっと」など、顔ぶれは豪華だ。

また、代表が村木厚子さんとつながりの深い「フローレンス」は、選定回数4回を誇り、配分金額もナニカグループトップの1800万円である。

現時点での結論:「年賀寄付金」は、赤い羽根ほど露骨ではないが、ナニカグループに対して一定の便宜が図られたようにみえる

6.さいごに

今回挙げたナニカグループの大半はNPO法人である。しかしながら、「⑤宗教活動や政治活動を主たる目的とするものでないこと」、「②営利を目的としないものであること」といったNPO要件をクリアしていることに疑問を持たざるを得ない団体がNPOを名乗っていることに、違和感を覚えた。われわれの年賀状を原資とした「年賀寄付金」が、正しい団体に配分され、適切な使われ方をすることを願うばかりである。

いいなと思ったら応援しよう!