「休眠預金」は大丈夫? 審査委員長の関連団体に助成金が降りている
1.はじめに
先日「これはナニカの資金源ではないのか!?「休眠預金」に潜む闇 ~資金分配団体編」を投稿したところ、暇空茜さんによるリツィートの効果もあり、それなりに反響があった。そこで、今回も休眠預金ネタである。ただし、WBPC とは関係ない。今回は休眠預金の活用団体である JANPIA の審査委員長についてだ。
以下、red さんの記事である。
上記「休眠預金活用事業の資金分配団体選定に係る不審点について」から、引用する。
なんと、資金分配団体の審査を担う審査委員長が、自身が役員等を務めたことがある団体を資金分配団体として選定しているという。しかも休眠預金事業が開始されて以降、審査委員長の役職は特定人物で固定されているらしい。
実にゆゆしき問題だ。いくら「休眠している預金」とはいえ、国民の預金であることには変わりはない。それでは詳細を見ていこう。
2. 資金分配団体選定審査委員の顔ぶれ
JANPIA の公開資料から、資金分配団体を選定する際の審査委員の情報を抽出した。顔ぶれは以下の通りである。
びっくりである。2019年度に休眠預金事業が始まってから、審査委員の顔ぶれは「ほぼ固定」である。次に、red さんが指摘した「草の根活動支援事業、災害支援事業」における審査委員長である下記人物の団体について、詳細を見ていきたい。
3. 通常助成枠の助成内容
red さんの記事で言及されている以下の団体について、通常助成枠における JANPIA の助成内容を表にした。
公益社団法人日本サードセクター経営者協会
一般社団法人 全国コミュニティ財団協会
公益財団法人 地域創造基金さなぶり
公益財団法人 東近江三方よし基金
公益財団法人 ちばのWA地域づくり基金
結果は以下の通りである。
一般助成枠の合計助成額129.39億円に対して、委員長関連の資金配分団体への助成額は12.37億円で、全体の 9.6% を占める。
4. 緊急助成枠の助成内容
red さんの記事で言及されている以下の団体について、緊急助成枠において JANPIA の助成内容を表にした。
プラスソーシャルインベストメント株式会社
有限責任事業組合まちとしごと総合研究所
公益財団法人東近江三方よし基金
一般社団法人 全国コミュニティ財団協会
公益財団法人 地域創造基金さなぶり
公益財団法人 ちばのWA地域づくり基金
公益社団法人 日本サードセクター経営者協会
結果は以下の通りである。
緊急助成枠の合計助成額58.31億円に対して、委員長関連の資金配分団体への助成額は8.08億円で、全体の 13.9%に上る。
5. おわりに
以上見てきたとおり、資金配分団体の審査委員長が関連した団体には、以下の助成が行われていた。そして、今(2023/02/06)も審査委員長の職を務めているので、事態は現在進行形である。
上記の結果と、ナニカグループへの助成内容をみると、惨憺たる気持ちになる。
休眠預金は、初期の志に立ち戻り、公益のために使ってもらいたいものである。