「桜目付字」頁を頑張って解読?
桜目付字が好きすぎて、ハンコを作っちゃいました(笑)
それでは、『勘者御伽雙紙』にある、桜目付字の頁を頑張って解読してみますね。最初は、原文に忠実に!次は私なりの意訳を書いてみました。
文中の( )は、どうしても自分では読めないので、どなたか分かる方がいらっしゃればご連絡を頂ければとても嬉しいです。
●原文のまま
右の桜目付は( )五枝の一枝ごとに
「さくら木の ふみやいずれと
おぼろけも はなにありしを かずへてぞうる」
という歌をつくって各葉にある字は数え取らず花にある字を数えとる也。 数の取りようは下より最初の枝を一と定め次の枝を二と定め三の枝を四と定め四の枝を八と定め五の枝を十六と定むる也。
相手に一字、目を付けさせてその字は枝ごとに花にあるか葉にあるかと問いて、その人が例えば「ず」の字を目付なれば一の枝にて葉に有るという給い数を取らず、第二の枝にて花にあるという給を二と覚えていて、また三の枝にて葉にあるといい給い数を取らず、四の枝にて花にあるという給を八と覚えて五の枝にて葉にあるといい給いて数を取らで、さて右の二と八を合わせて十と成るので、和歌の十番めの字になる故、「ず」の字なりといふなり。あるひとが他の字を目付なれば、一、二、三の枝には葉にありて花になし、四の枝、五の枝にては花にある故、四の枝の八と五の枝の十六を合わせて二十四となり給い右の和歌より二十四番目は「を」の字に当たる故「を」の字と思ふといふ( )
●私なりの意訳
桜目付とは、相手に、「さくら木の ふみやいずれと おぼろけを はなにありしを かずへてぞうる」の和歌の中から1つだけ好きな文字を念じさせて、それを当ててみせるというものである。
当て方は、和歌の31文字を葉と花にちりばめた桜の5つの枝の絵を下から順に相手に見せて、念じた文字が、花にあるか、葉にあるかを5回尋ねる。花にあると言った時だけ、特定の数を加算していく。特定の数とは、1番目の枝から順に1.2.4.8.16である。例えば、相手が「ず」を念じたとしよう。「ず」は、第2と第4の枝は花にあるので、2と8を足して10となり、相手の選んだ文字は、10番目の文字と特定されるのである。また相手が、第4と第5の枝は、花にあると言ったとしよう。相手が選んだ文字は、8と16を足した24番目であると特定できるのである。同様にして皆でこの目付字ゲームを楽しむことができるのである。
いかがでしたか?1.2.4.8.16って、二進法の重みの数ですよね。
コンピュータの時代の今でこそ、二進法ってたまに聞くことがありますが、江戸時代にすでに二進法の概念があったなんて超驚きですよね!
次回は、その二進法の概念が、実はもっと前の時代の書物に記されていたのです。その書物『簾中抄(れんちゅうしょう)』について触れてみますね。