さいならさいなら
なんか自分なりに生活を送っているうちに文章を書かずに2ヶ月くらい過ぎてしまって、上手な文章の書き方どころか何を書けばいいかさえ分からなくなってしまった。
自分には生活というものの形がてんで分からず、最近は生活の輪郭をなぞろうと自傷のようにピアスをあけたりODしたり海外に住んだりタトゥーを入れたり筋トレしたり白湯を飲んだり鳩に餌をやったり猫の眼球を舐めたりしていたのですが、先月はホストクラブで働いていました。
スカウトされてなんとなくホストになって、テキトーに1ヶ月働いてたんですが、どうにも自分はホストクラブには適さない人間みたいです。
ホストクラブの先輩たちはみんなかっこよくて話が上手で、女の子の扱いも上手でした。
僕なんてのは、暗くてサムい、ただのサブカル大学生なので、どこからどう見てもホストクラブという場には馴染んでいなかったし、「なんでホストやろうと思ったの?」と毎日のようにお客様達に尋ねられました。
ホストクラブというのは不思議な場所です。
ホストクラブはよく「夜のディズニーランド」だとか「毎日がエイプリルフール」だとか言われていますが、全くもってその通りです。周りを見ると嘘をつくのが上手い人ほど売れているようでした。女の子たちもそれを分かっているのにホストのために働いてお金を使ってくれていたのでした。
僕は変に生真面目で、大事なところで嘘をつけないのでホストなんかよりも役所の職員とか銀行員とかの方がずっと向いているんだと思います。あとシンプルにコミュ障すぎて1度もお客様と話が弾みませんでした。
ホストの仲間達はイケメン揃いで、変な人たちばかりでした。ギャンブラーにセックス依存性、元全国レベルのアスリート、休職中のエリートサラリーマン、全身タトゥーの人、詐欺で捕まってた人、YouTuber、麻薬密売人、リスカ跡だらけのメンヘラ、童貞、挙げるとキリがありません。
彼らに共通していたのは、みんなお金が好きで女の子が大嫌いということでした。
僕は、お金にはあまり興味はありませんし好きな女の子もいますので、やはりホストには向いていなかったみたいです。
ということで、4月1日、エイプリルフールに楽しい嘘をつく間もなく僕はホストを辞めました。
お姫のみなさんさようなら。ホストのみなさんさようなら。好きなあの子もさようなら。お兄ちゃんお姉ちゃんさようなら。お父さんお母さんさようなら。犬さん猫さんさようなら。みんなみんなさようなら。
外では雨が降っていて、部屋は暗くて寒いです。