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30代独身男、職業デザイナー。いきなり猫を飼う。(ラガマフィン編)
僕が犬を飼う理由は前述した通りであるが、実は猫にも理由がある。
僕はこの年でもう両親がいないのだが、先日母の七回忌を迎えた。
母は猫が好きだった。ここら辺を述べると少し長くなるのでざっくりと。
母がまだ独身の時に、”ゾロ”という名前の黒猫を飼っていたらしい。その後父親と結婚し、妊娠した際に、父親の母、つまり僕のおばあちゃんに捨てられたらしい。
それが悔しくて仕方なかったらしい。(当時は嫁姑問題がひどかったらしい)
その後父が8歳くらいで死んだ。母は一人居酒屋を始め、再婚もせず女手一人で僕と姉を食わせてくれた。
その後9歳くらいの時に、母親の妹、つまり叔母が家の離れで暮らし始め、母親に代わりご飯等を作ってくれた。僕からすると第2の母、乳母みたいなもんだ。
その叔母が連れてきた雄ネコ当時3歳、キジトラの”よたろう”がいた。
よたろうは長生きした。
23歳の時、僕が呑んだくれて朝方帰った。
ベッドにはよたろうがいた。
僕がベッドに入ると、よたろうはムクッと起きて、「ウニャオーン」と2回鳴き、ぱたっと倒れ、目の前で眠るように逝ってしまった。
それがトラウマになり、「もうネコはいい」となっていた。
母が死ぬ前に交わした言葉の中で、
「ネコをどこかでもらうなり買うなり、ネコをもし今後余裕ができたら飼ってくれ。ネコは後から恩を返すんだよ。ゾロに謝らなきゃならんね…」
という約束があった。
その後、前述の通りナユタとネロの”犬”を飼ったのだが、最近7回忌を迎え、あの約束がどうしても忘れられなかったのである。
なので早速、里親募集に応募したり、及び里親保護の団体に行ったりした。
しかし立ちはだかるは
”独身、一人暮らしの超えられない壁”
里親募集の要項に
「独身不可」「一人暮らし不可」「男性不可(←これは未だになんでかと思う)」
辛い、辛いよ母ちゃん(泣
半ば諦めかけた時に後述する2匹との出会いが決まり、ふとなんとなく里親募集を見ていたら、家から近くの場所の人がラガマフィンの里親を募集していた。その条項が”単身可”だったのである。
ダメ元で応募したら、「今夜来てくれるならいい」とのことで、結構な夜中に、ケージがないため、衣装ケースを持って引き取りに行った。
わずか引き取りに関する時間は5分もなかった。お互いの身分証を確認し、ケースに元の飼い主さんから入れられたラガマフィン。受けとる血統書等の書類。
こんなもんなん?説明とかないの?
「使ってた猫砂もらえますか?」と聞いたら「捨てた」との事。とりあえずもう何も言わず引き取ろうとその場を後にする。
鳴き声も少なく、ラガマフィン君を引き取り車にて家に到着。
初めて抱いた時に「こんなに軽いんだ」というのと「えらいくしゃみする子だな」「爪長いな〜」と思っていた。
朝一、近所の動物病院に連れて行った。
「この子、月齢の平均体重の半分しかありません、あと、肺炎、腸炎患っています!大人しいのはこのためなんですよ、大人しいじゃなくて死にかけてるんです!」
なんてこった。
ここから3日間、療養食を6回に分けて与える、毎日病院に行き点滴する、家に帰り時間を空けて5回、点眼、点鼻の薬の投与。ほぼ徹夜である。
幸いこの子は食には貪欲だった。ご飯は必ず残さず食べてくれた。
隔離したケージの中で、猫語は分からないが「生きたい」と思ったのだろう。
4日目の点滴の際。
「もういいですよ、後は毎日薬を欠かさずにして様子をみてください、頑張りましたね〜」という言葉と、毎日言われていた「名前決まりましたか?」「まだ決めていないんですよ」(前の名前が漢字なのだが、どう読めばいいのかわからない、いわゆるキラキラ名前だった)が、
「この子マイクロチップ入ってるので、名義切り替えないとなので…名前決まりましたか?」と院長さんに言われた。
とっさに出た言葉が
「あっ…じゃあよたろう2世で!」
「2世は必要ですか?笑」
「必要です!」
というわけで、雄ネコ、2015年9月10日生まれ、ラガマフィン、よたろう2世、通称よたろうがここに新たに生まれた。我が家の3男坊である。
もう少しで体重がOKになるので、去勢しなければなのであるが。それまではモリモリ食って太ってもらいたい。
長く生きろよ、よたろう。
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