限界集落に冬が来た。
「強い寒気が南下する影響により、明日は全国的に冬日となるでしょう。とくに、北日本は積雪や吹雪に十分に注意してください」
いつもは外れがちな天気予報が、久々に的中したような気がする。ふと思い返した気象予報士のお姉さんの顔は、こころなしか自信に満ちているように思えた。
温度計が示す部屋の気温は6.4℃。室内だというのに、吐く息が白い。窓から外を見やると、あたり一面が真っ白に染まっていた。とうとう来てしまったよ、長く厳しいこの季節が…。
市街地から遠く離れた限界集落の冬は、いっとう厳しい。市街地よりも気温が低いぶん、雪が降る機会と量がとっても多いんだ。
本格的に雪が降り始める前に、家屋や樹木を木の板などで囲う「冬囲い」が必須だ。これをしないと、家屋が雪で圧壊しかねないんだ、マジで。窓ガラスはとくに要注意。
冬が本気を出したら出したで、さらに大変になる。田舎ってば、無駄に敷地が広い家が多い。だから、車を出すためには、毎日早朝から雪寄せをしないといけない。うちの場合は、午前4時ころから雪寄せを開始している。
くわえて、道路の雪寄せも重要だ。冬は、一晩で車が通行できないくらいには積もる。ひどいときには、1日で30~40cmほど積もるなんてことも。だから、除雪車が早朝から雪寄せをしに来ているんだ。
ちなみに、除雪車が通ったあとは、雪面がスケートリンクなみに滑りやすくなっている。小学生のころはよく、スケートみたいに滑りながら登下校していた。それに、過去に何度か、滑って転んでいるバイカーを目撃したことがあるよ。
いずれにせよ、雪が降ると「ああ、冬がやってきたんだな」って心の底から実感する。
物悲しいような、侘しいような…。ちょっぴりおセンチな気分に浸るのが楽しいのってあるよね。
北国の冬は、やっぱり過酷だなあ…。
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