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どこまでも、どこまでも。
電車で旅をするときは、先頭車両に座ると決めている。だって、線路を眺められるから。
先頭車両の車窓からまっすぐとのびる線路を、何も考えずにただただ眺め続ける。
この線路の先には何があるのだろうか?どこまでも続いているのだろうか?などと考えることもない。
ぼんやり、ぼんやりとした時間が流れる。気づくと30分ほどたっているなんてこともざらにある。
遠くに明かりが見えてきた。駅のホームだ。電車が速度を落としはじめる。ホームにゆっくりと近づくにつれ、おぼろげだった人々の姿が徐々に鮮明になってくる。
仲睦まじそうに寄り添う老夫婦や、参考書をじっと見る受験生らしき高校生たち、会社帰りだと思われるスーツ姿のサラリーマン……。
電車がゆっくりと停止する。ドアが開くのとほぼ同時に人々が降車し、それに続いて先ほどの人たちが乗車してきた。
彼らを一瞥した僕は、すぐに先頭車両の線路へと目をうつす。
そしてまた、何も考えずにぼんやりと、線路を眺め続けた。