カレーを上手に食べられるようになった。
幼い頃にうまく出来なかったことが、大きくなるにつれてこなせるようになる。バランスよく、過不足なく着地させられるようになる。
僕がそれを実感したのは、カレーを食べているときだった。細長い皿に盛られているカレー。ご飯よりもルーのほうが多いように見える。
スプーンでご飯をすくい、その流れに乗ったまま、ルーの下へと滑り込ませる。なんてことはない。この単純な一連の動作を、カレーを食べきるまで続けるだけだ。
10分ほどでカレーを完食する。皿の上には何も残っていない。綺麗さっぱりだ。
小学生の頃なんて、ご飯だけが残ったり、ルーだけが少し余ったりしていたような気がする。ご飯とルーの配分を考えられなかった。
「わーいカレーだー!めっちゃ食うぞー!」というその一心で、ガツガツと食い漁っていたっけな。
でも今は違う。これまでにさんざんカレーを食べてきたことで、知らず知らずのうちに、“ご飯とルーのバランスを考えて食べる”っていう癖が身についているみたい。
それに、最終的にご飯とルーを同時に完食するように、食べ進めるなかで調節しているんだよね。
こんなほんのちょっとしたことでも、大人になったんだなあって実感するよ。
あ、いや、大人でもカレーをうまく食べられない人がいるかもわからんな。
ということは、僕はまだ、大人になったかどうかがわからない訳だ。
大人になるってどういうことなんだろう。
教えて、誰か。
教えて、そこのあなた。