ショットサイズには意味がある!フレーミングを学ぼう。
さて、撮影には必ず撮影対象という物があります。
風景や登場人物等のことですね。
撮影対象の事を英語で【オブジェクト/object】と言います。
【フレーミング】とはカメラフレームの中に【オブジェクト】をどの大きさで撮影すかを決める作業の事を言います。
フレーミングには以下の種類があります。
左から順番に【日本語/英語/略し方】を書いておきます。
略は実際にコンテを描く時に頻繁に使用するので覚えておきましょう。
①ロング・ショット/Long Shot/LS
この様に、人物より背景の方が大きく映っているショットの事を言います。
ロング・ショットと後に出てくるフル・ショットの定義の違いは人それぞれなのですが、人物が画面に対して1/3以下の大きさの場合はロング・ショットとみなして良いでしょう。
特徴は一目で登場人物の居場所、場所の持つ雰囲気を伝える事が出来ます。
上の図の様に誰も居ない場所にポツンと登場人物を配置する事で孤独を演出したり、
逆に以下の図の様に人々がひしめき合っていることで、世界の壮大さを演出したりします。
写っている人物が誰なのか、個人が具体的に何をしているのかは、このショットだけでは特定できません。
②フル・ショット/full shot/FS
フル・ショットは上の図の様に人物を頭の先から足の先まで画面一杯に写すフレーミングの事です。
特徴はロング・ショットと同じように、一目で登場人物が何処に居るかを表す事が出来ます。
また、ロング・ショットと違い人物の特定【誰が】と行動【何をしているか】が見ている方にも伝わります。
③ミディアム・ロング・ショット/medium-long shot/M-LS
別名“ニー・ショット”とも言われています。“ニー”とは英語で膝の意味です。
フル・ショットと似た効果を持っていますが被写体に近い分、登場人物の動き等がフル・ショットに比べダイナミックに見えます。基本は膝の少し下あたりでフレーミングします。フル・ショットとM-LSは大した違いが無いように思いますが、膝の下でフレーミングするのには理由があります。基本、人物をフレーミングする時に関節で画面を切る事はしません。理由は収まりが悪い上に、動きが曖昧になるからです。
試しに、膝を境界線にフレーミングし人物が歩く様子を撮影してみると分かると思います。
また、腕の動きを関節を境界に撮影してみましょう。腕の動きが伝わりにくいと思います。
④ミディアム・ショットmedium shot/MS
人物に対して頭の先から腰、太腿あたりにかけてフレーミングするのがミディアムショットです。
ここまで来ると、登場人物の表情が読み取れます。
以下の様に、ここまでのショットは画面の中で被写体を複数配置する事が可能です。
なので、1つの画面で複数の人物の具体的なリアクションを見せる事が可能です。
⑤ミディアム・クローズアップmedium-close up/M−CU
頭の先から胸の当たりまでをフレーミングしたショットです。
登場人物の表情がかなり鮮明に読み取れます。
また、よっぽどオブジェクト同士の距離を近づけない限り複数の人物配置は難しいです。
逆にM-CUで複数の登場人物を写した場合、オブジェクト同士の親密さなども表現する事も可能です。
また、背景の雰囲気は何となくわかりますが、オブジェクトが何処に居るかは特定する事は出来なくなります。
⑥クローズアップ/close up/CU
このフレーミングは最もオブジェクトの表情を印象的に写す事が出来ます。
ここまでくると、繊細な目線の動きや、息づかいなども捉える事ができ、観客に登場人物への共感を促す事が出来ます。
その代わり、場所の雰囲気を伝える事も特定も出来ません。
また、キスシーンの様な具体的に顔を近づける様なシュチュエーション以外で他の人物を配置する事は出来ません。
⑦エクストリーム・クローズショット/extreme close-up/ECU or XCU
ここまでオブジェクトに近くなると、具体的な目の動きしか伝わりません。
よく目は感情を雄弁に語る…と、勘違いされがちですが、実際には目だけでは殆ど表情から感情を読み取る事が出来ません。唯一、明確に表せる感情は“驚き”です。理由は“目を見開く”という動作が良い意味でも悪い意味でも“驚く”と言う感情にしか無いからです。ということは、驚きは表現できても、その驚きの種類まではこのショットからは特定できません。
表情は具体的に特定できませんが、オブジェクトが大きく写しだされると、観客はより、映し出された人物に共感します。それを利用して編集によって“登場人物が考えている何か”を暗示させる事も可能です。
⑧マクロ・ショット/Macro-shot/MS
オブジェクトの一部を極端に大きく写すフレーミングの事です。
ただ単に“マクロ”と言ったり“マクロ・ディテール”などと複数の呼び名があります。
ここまで来ると、これ1ショットだけでは一切の感情を読み取る事は出来ません。他のショットと編集で組み合わせる事によって意味付けしたりします。それを逆手に取り、曖昧にする事により、観客の注意を惹いたり、他のショットと合わせて強い印象を与えたりする事が出来ます。
ちなみに、各ショットのフレーミングの感覚は個人によって多少差があります。
例えばM-LSを膝の上まで…と考える人もいれば、膝の上はMSと考える人も居ます。あと、M-LSをM-FSと表記する場合もあります。(ヨーロッパではアメリカン・ショットとも言います)
また、撮影現場では時と場合により、微調整を必要とします。なので、これらのフレーミングはあくまで目安と考えて下さい。より、具体的なイメージを伝える為に、一般的に字コンテだけではなく、絵コンテを使用していることを覚えておきましょう。
以下にポーランド語でそれぞれのショットが何と言うのかが詳しく説明されています。
興味のある方は見てみて下さい。ポーランド語のみなのですが、写真付きなので分かると思います。
また、こちらは映像付きで、それぞれのショットを解説しています。多少名称が違いますが。参考にしてください。
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