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初めて脚本を書く君へ【物語を分析する】①

さて今まで『客観的に作品を見る』ということを何度も書きましたが、
そもそも”客観的に作品を見る”と言う事はどういう事なのでしょうか?
それは、 【物語を正しく理解する事が出来るか?】と関係してきます。

例えば『さらさら』と聞いて、どんな情景を思い浮かべますか?

○砂がさらさらとこぼれ落ちる。

こういう状況を思い浮かべるのではないでしょうか?

○岩がさらさらと転げ落ちる。

間違ってもこんな風な情景を思い浮かべる人は居ないと思います。

これは、言葉の持つ意味を多くの人が共有し、理解しているからです。

物語にも同じように”こうすれば人はこう思う”といった、いわゆるスタンダードな形があります。こう言った、共通認識を理解すると言う事は客観的に物事をとらえる為の重要な要素になります。

『なぜ、自分はこの人が優しいと思ったのか?』
『何故ここが、暗い怖い場所であると思ったのか?』

まず、物事を分析するにはこういった疑問を持つ事から始まります。
そして、何処のどの部分でそれが表現されていたのかを探します。
これは、自分がオリジナル作品を書く時に

『どうやってこの人が優しいと思わせるのか?』
『どうやって、ここが暗い怖い場所であると思わせるのか?』

という表現をするときの大きな参考になります。
物語を分析すると言う事はその方法を知ると言う事なのです。

物語を分析しよう


映画分析。

実は映画分析は私の最も苦手とする事です。
自分は割と本能的に何が良いとか悪いとかいう のを取捨していたりするので、改めてしろと言われると『どうやって??』って言うのが先攻しています。それもそのはず…日本で読める映画分析の書物という のは『文学』の部類に入っており、きちんとした分析になってない事が多いです。特に日本の映画知識人の映画分析は一部の方を除いて分析ではなく評論やら文学的形容とか、映画監督に必要な部類ではない事が多いです。なによりも、映画分析というのをしっかりと授業カリキュラムに入れている学校と言うのはあるのでしょうか?少なくても私はポーランドに来てからそれらを学びました。

映画分析が正しくできると言うのは
映画がどのように構成されているのかを知る=映画の作り方を知っているということなのです。
(だからといって、映画が作れるかというのは別問題なのが映画監督の難しいところ!)
映画分析、それは映画の作り方を知る上での重要な要素なのです。

ということで、映画分析をしてみましょう。

私の教授、FIlip Bajon曰く『最近の若い作家はシチュエーションを描けない』という事を嘆いておられます。もちろんシチュエーションの無い映画は世の中沢山あります。ただ、描かないと描けないは大きな違いであることを知る必要があります。

ではシチュエーションとは何でしょうか?
辞書にはこうあります。

シチュエーション〖situation〗
1境遇。立場。状態。
2事態。形勢。局面。
3小説•劇•映画などで、筋を展開させるために設定された状況。

映画においては【いつ、だれが、どこで、何を】が明確である事を示します。
現在の映画は複雑になっておりワザとそれを曖昧にする事で観客を引きつけると言う手法が沢山あります。しかし、それが成立するのはきちんと映画上のどこかで
【いつ、だれが、どこで、何を】を明確に種明かししているからなのです。

シチュエーションが何か分かったところで、次回から具体的な分析方法を紹介します。

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