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【非現実をリアルに見せる世界観づくり】映画を見て学ぶ:映像構成のヒント③
今回の映画はフリッツ・ラング『メトロポリス』
この映画はSFの原点にして頂点と呼ばれている、まさにSF映画の金字塔。
現代のあらゆるSFから、この作品の何らかの影響が見えると言っても良いでしょう。
SFを作るにあたって、最も難しく重要な点は
“前提条件を観客にどのように理解させるか”。
物語分析でもやったように、映画の冒頭では主人公の日常を描きます。
この日常は観客にとって共通点があればある程、自然と受け入れ、少しの情報で物語の世界観を理解する事が出来ます。
メインの観客が日本人ならば時代劇より現代劇。フランスの日常より日本の日常。
それだけ“観客の現実”に近ければ近い程、わざわざ世界観を説明しなくても、観客は自分の経験と合わせて勝手に情報を付け足してくれるのです。
しかし、SFの世界観は全くの創作。同じ近未来の東京を描いたとしても、各映画、ビジュアルや社会構造などの世界観が全く異なります。その異なった、現実には無い世界を現実のように主人公達が生活をし、その上で物語を進行させていきます。
このような、複雑な前提をどのように冒頭で印象づけて観客に理解させるか。
これはSF映画だけではなく、通常のフィクション映画にも大変需要になっていきます。
それを読み取ってみましょう。
今日の2本目はこちら。ローベルト・ヴィーネの『カリガリ博士』
ドイツ表現主義映画の最高傑作。
この映画は多くのホラー映画やフィルムのワール映画に影響を与えた作品として有名です。
この映画で学んで欲しい事は
“視覚によって如何に心理的効果を与える事が出来るか?”です。
本作の特色は
◯歪んだ美術セット
◯デフォルメされた家具
◯極端にコントラストが強いライティング
◯不自然なメイクと衣装
◯アイリスショットの多用(古い映画でよく見る丸く画面が黒く消えていったり、現れたるする方法)
◯誇張された演技
この映画はメトロポリスとは反対に現実世界を如何に奇妙に演出するかで、観客の不安を視覚的に煽っています。あまりにも有名な映画なのでこれらをそのままアイディアに入れこむのは無理ですが、今でもその独創性から多くの作家に影響を与えている作品。
映画監督の重要な要素”視覚効果“の狙いの基礎を学び取って下さい。
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