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Xのタイムラインに流れるぼやきポストを考察する ④
ベンゾジアゼピン系の薬剤の 0.1錠きざみの減薬に意味はあるのか?
とうわけで目に飛び込んできたのは以下のポストと、そのツリーに埋め込まれていた note の記事。
※ note の記事は2023年6月のものですね
僕の減薬外来を「薬剤師さんからの紹介状」を持参して受診された患者さんがいる。
薬剤師さんにベンゾジアゼピン依存・離脱症状の相談をし、僕の外来受診を勧められたのだそうだ。
紹介状の内容も過不足無くよくまとまっていた。
その患者さんを診察した僕の診断もベンゾジアゼピン依存+離脱症状で、この問題に理解のある薬剤師がいることを嬉しく思った。
その薬剤師さん宛ての返書をしたため「マイスリー(10)0.9錠/1×就寝前、マイスリー(10)0.1錠/1×頓服、10日分/10回分」という処方箋を発行した。
しかしその患者さんは翌週、浮かない顔で再診された。
くだんの薬剤師に「こんな細かい調剤はできない」と処方箋を突っ返されたとのことだった。
その患者さんは僕の勤務先の近所の調剤薬局を利用して、大過なく断薬に至った。
「Not In My Back Yard」は至言だと思った。
今回のポストへの薬剤師の皆さんのリアクションは0.1錠単位の減薬に肯定的なものが多いけど以前はネガティブなものが多かったので少し困惑しています。
患者さんはもっと困惑しているかも。
僕の減薬外来を「薬剤師さんからの紹介状」を持参して受診された患者さんがいる。薬剤師さんにベンゾジアゼピン依存・離脱症状の相談をし、僕の外来受診を勧められたのだそうだ。紹介状の内容も過不足無くよくまとまっていた。 https://t.co/FFwwaCVlLQ
— Yukiya Sasaki/佐々木幸哉(精神科医, 製薬) (@YukiyaMEDICAL) November 22, 2024
これはとても興味深い。
とはいっても、私が興味深いと思ったのは “0.1錠きざみの減薬に意味があるのかないのか” の部分ではなくて、薬剤師さんたちの個々の考え方のほう。
というわけで、この流れに乗って私も個人的な感想や考え方を書いていこうと思います。
0.1錠きざみの減薬 ありかなしか
0.1錠きざみの減薬。
“あり” か “なし” かで問われれば、個人的には “あり”
おそらくこういう減らし方がキレイにはまる患者さんっているんじゃないかな…と思います。
これはなにも薬効薬理だけの問題ではなくて、メンタル面も含めてですね。
意味がある・ないのゼロイチ思考にしてしまうのではなくて、意味がある患者さんもいるよね、きっと…ぐらいのマインドです。
これはもう理屈やエビデンスの問題ではなくて、“この患者さんにはこういうやりかたがよさそうだ” といった主治医特有の感覚的なものがあるような気がしています。
薬局の立場として「粉砕は大変だ!」という声があるのも理解できますが、10日分とか10回分ぐらいであれば「いうほどでもなくない?」という感じもします。
なんか以前にも同じようなこと書いている気がするなぁと思っていたら、オニマツ雑感回で似たようなことを書いてました。
内容的にまったく同じというわけではないですが。
レクサプロ 1/4錠についての話題があがった尾久先生の回ですね。
レクサプロに限らず1/4錠とかになるとほぼほぼ粉砕調剤となり、薬剤師的には手間がかかってめんどくさいなぁという、おおやけには表に出しづらい負の感情に対しては共感しかありません。
※ まれに十字型に割線が入り1/4錠に割れる薬剤も存在します。
ただ、私的には「効果があるのか?」といった疑問を抱くのではなくて「効果があるからやっているんでしょ」という認識でした。
実際に國松先生も尾久先生も、理論云々ではなくて「この量でも効果がある人がいるんよね」という感じでしたよね。
ただ、1/4錠にかかる薬局での手間までは認識されていなかったようですが…
“調剤に手間がかかる=患者さんの薬局での待ち時間が長くなる”
という等式が基本的には成り立つため、患者さんの待ち時間という負担を減らす意味でも、1/2錠でも1/4錠でも治療的にはたいして変わらんというのであれば1/2錠でお願いしたいというのが本音だったりします。
個人的に危惧するのは、服薬指導のときに
「量が少ないからどのくらい効果があるかわからないですけど…」
みたいな余計な一言をかましちゃう薬剤師さんがいそうなところ。
こういうのは、
「量が少なくても効果あるケースが割とあるんですよ。薬なんて少ないに越したことはないですからね。副作用の懸念もありますし。いや~、先生よく考えてはるわ~。」
とか言っておけばいいんじゃないかなぁと思います。
調剤を拒否した薬剤師さんについて
これはね、良く言えば “真面目”、悪く言えば “頭が固い” といったイメージを持ちました。
0.1錠は0.1錠であり、それ以上でもそれ以下でもない。
何があっても0.1錠キッチリでなければいけないのであーる!
と、0.1錠に縛られ過ぎてしまった結果がこれなのかな…と。
1日1日を点でとらえてしまうと 0.1錠の均一性を担保することはたしかに難しいかもしれませんが、10日という期間を一つの塊として認識するぐらいの柔軟性や緩さも必要かな…と。
それまでにも間違えて2回飲んでしまった日や飲み忘れてしまった日があったであろうことを考えると、その日に追加した頓服の 0.1錠がたまたま 0.01錠や 0.2錠になってしまっていたとしても、頓服用を追加して服用したという事実が及ぼすメンタル面への影響の前では些末なことなんじゃないかなと思うんですよね。
(ベンゾ減薬に対する認識があまーい!!ということでしたらゴメンなさい)
もちろん、医師の考え方が正確に把握できない以上、調剤に踏み切れないとか責任が持てないという考えもわかります。
でもそれだったら確認すればいいだけじゃないかな?
0.1錠は均一性を担保できないけれど治療する上で問題はありますか?と。
なにもいきなり調剤を断る必要はないように、私なんかは思ってしまいます。
おわりに
ネガティブな意見が多かったという 1年半前と、肯定的な意見が多かったという今回。
この 1年半で考え方が変わるような何かがあっただろうか?と頭をひねってみましたが、う~ん…思い当たる節はなにもなし。
薬剤師全体の意識が変化したというよりかはたまたまですかね、やっぱり。
さて、みなさまはどのように考えましたでしょうか?
おしまい。
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