2022年11〜12月に読んだ本まとめ

2022年11〜12月に読んだ本を多少の備忘録とともにまとめるやつです。
(11月は読んだ本が少なかったので、こちらにまとめました)


渡航「やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。6」

学園ラブコメの陰の部分を煮しめたような八幡にしては珍しく、文化祭実行委員に就任とイベントのど真ん中へ。
しかしながら八幡は八幡でしかなく、陽のイベントにありながら俺ガイルらしさを存分に味わえる巻でもありました。
雪ノ下にとっては非常に大きな成長を感じさせるエピソードでもあり、シリーズの中でも特に重要な1冊になっていると思います。
個人的には川崎さんがたどたどしくもクラスでの立ち位置を得たり、海老名さんが劇監督に就任して絶好調なのが良かったです。
最後の最後、平塚先生がめちゃめちゃ良い先生で、ちょっと泣けました……。


雨森たきび「負けヒロインが多すぎる!4」

今回は表紙の通り屍系ギャル志喜屋さんがメイン回。
志喜屋さんと月之木先輩の確執に迫る物語、なんですが、個人的には天愛星さんがかなり良かったです。
融通の効かない真面目キャラ……だったのが、月之木先輩のBL同人誌を没収したことで開けてはいけない扉を次々開けるわ開けるわ……。
温水くんの鈍感主人公っぷりにも拍車がかかってきて、実に良いドタバタラブコメになってきました。
どの負けヒロインの娘たちもアプローチがいじらしくて本と良い……。
やっぱり八奈見さんあっての負けインだと思いますが、今回はちょっと主張控えめだったかも?


白石定規「魔女の旅々」

魔女のイレイナがいろんな国を旅するお話。
短編仕立てで、ちょっぴりビターめなオチが多めでした。
一方で旅の途中と題して描かれる筋肉三部作は馬鹿馬鹿しくて、その落差もいろんなものを見て回る旅の醍醐味って感じで良かったです。
ちょっぴりひねくれたところがありつつも、なんだかんだ優しいところもあったりするイレイナはかわいかったです。
個人的には花畑で出会った不思議な少女の顛末「花のように可憐な彼女」、滅んだ国で化け物と退治する記憶の無い王女の「民なき国の王女」、が好きでした。
安定した完成度の短編集で、安心して読めますね。


虚淵玄「Fate/Zero4 散りゆく者たち」

暴走するキャスターを共闘戦線で相対する展開は、熱くかっこいいです。
バーサーカーの乱入などノンストップの展開には惹き込まれました。
FGOだけやってるのですが、バーサーカーの宝具演出がああいう感じなのって、そういう……。
キャスター戦終了後も、余韻に浸る暇もなしに暗い展開が立て続けにやってきて、ちょっと疲弊してしまいますね……。
読めば読むほどに、これ誰にも聖杯渡してはいけないのではとすら。
どの陣営も薄暗い背景を抱えているだけに、ウェイバーとライダー陣営だけは平和で安心します。


佐波彗「クラスのギャルが、なぜか俺の義妹と仲良くなった。 「今日もキミの家、行っていい?」」

義妹と仲良くなったクラスのギャルが、自宅に押しかけてくるイチャイチャラブコメ。
ギャルの結愛が好意むき出しで接してくるので、イチャラブ成分が際限なく漏れ出てて癒やされます。
プールにお風呂にお泊り会と妄想の極み展開がてんこ盛り。
結愛とはまた違った経緯から仲良くなる桜咲さんも、その男好きする趣味嗜好の感じからかなり可愛い。
個々のイチャつきはレベルが高いだけに、ひとつひとつのくだりがさらっと流すように終わってしまい、作品全体の盛り上がりが少ないのは残念でした。


竹町「スパイ教室04 《夢語》のティア」

ファーストシーズンの締めくくりとなる今巻は、スパイ少女達勢揃いでの他国侵入作戦。
あちこち同時進行でバトルやピンチが巻き起こり、それを策謀で跳ね除ける展開は熱かったです。
ジビアとモニカがシリアスなバトルを繰り広げる中、ひとりだけポンコツコメディを披露するリリィがかわいかったですね。
物語のメインを張るのは、前巻での失態もあり自信喪失中のティア。
そんなティアの甘さが事態をひっくり返す鍵となる展開で、今回も大いに驚かせてもらいました。
毎度こんな規模の大仕掛けを仕込み続けてるの、本当に凄すぎる作品ですよ……。


武田綾乃「響け! ユーフォニアム 北宇治高校の吹奏楽部日誌」

久美子の1年生編、立華高校マーチングバンド編、を網羅した公式ガイドブック。
北宇治の定期演奏会と、北宇治立華の合同演奏会の様子を描いた短編2本も収録。
吹奏楽部員自ら曲目やら演出やらを考えて行う定期演奏会は、みんなが楽しそうに準備をしている様子がとても良かったです。
作中にはたくさんの曲名が登場するのですが、部員たちそれぞれの好みや個性がよく表れていて、読んでいてこちらまで楽しくなるようでした。
みぞれが楽しそうでよかった。
「吹奏楽部日誌」では吹奏楽部あるあるや楽器紹介など、吹奏楽未経験の人にも興味深い内容でした。


蒼機純「週末同じテント、先輩が近すぎて今夜も寝れない。」

インドア系主人公が、ソロキャンプ好きの先輩に絡まれてキャンプに惹かれていくお話。
準備の楽しさや食事の美味しさなどキャンプの魅力に溢れていて、楽しい作品でした。
孤高の四海道先輩が同じ趣味を共有することで、黒山くんに惹かれていく様子も良かったです。
個人的には文章に引っかかる部分が多く、説明不足だったり展開が早かったりで作品に深く入り込みづらかったかなとは。
キャンプ好きの方なら共感する部分も多いのかと思いますが、未経験だと「なんか楽しそうなことやってるな」くらいでおさまってしまった感じです。


白鳥士郎「りゅうおうのおしごと!17」

怖すぎる。
将棋の未来を見てしまった八一も、絶望に挑み続ける苦行も、棋界の全てを敵に回してしまったあいも、銀子の運命も、何もかもが怖すぎて、震えました。
この巻では、明確にあちこちに絶望が撒き散らされた印象です。
それは将棋そのものであったり、八一と銀子の未来であったり。
しかしその絶望をぶち壊してくれそうな希望もあったりして、どのように転ぶのかまったくもって分かりません。
あいや創多などの若い世代が、碓氷や生石のようなベテランと本気の殺し合いをする様子を見て、改めて年齢問わず真剣勝負のできる将棋のヤバさを実感。


有象利路「賢勇者シコルスキ・ジーライフの大いなる探求 擦(スリー) 〜愛弟子サヨナはぷにぷに天国DX仕様〜」

電撃文庫のギャグラノベってここまで好き勝手していいんだって感動しました。
口絵開いたら1ページ目でいきなりオナホだし、冒頭の1話は種付けが得意なおっさんの回だし、全部がひどすぎる。
全てのボケが全力投球のくせに小技も効いていて、何度も噴き出すくらい笑いました。
そして一番度肝を抜かれたのはレーベルの垣根を超えて大迷惑をかけ始めたくだりですね。
魔王軍配下のサキュバス・ザラシアさんは普通にアホかわいくて良かったです。
金払って汚い地獄を見たければオススメ!


青柳碧人「赤ずきん、旅の途中で死体と出会う。」

「シンデレラ」「ヘンゼルとグレーテル」などの童話を下敷きにしたメルヘンミステリ。
旅をする赤ずきんが探偵役として活躍して、連作短編形式で1冊の作品としてもまとまりが良く、とても好きな作品でした。
魔法の登場するメルヘンな世界観でありながら、原作童話に描かれていた設定を縛りとして巧妙に盛り込んでトリックや謎解きを自然に成立させていて、とてもおもしろかったです。
所々分かりやすいものもありましたが伏線の張り方も丁寧で、読んでいて「なるほど」と膝を叩く場面も多かったです。
かなり読みやすいミステリで良かったですね。



個人的な今月のお気に入り作品トップ5

第1位/賢勇者シコルスキ・ジーライフの大いなる探求 擦 〜愛弟子サヨナはぷにぷに天国DX仕様〜

第2位/りゅうおうのおしごと!17

第3位/赤ずきん、旅の途中で死体と出会う。

第4位/スパイ教室04 《夢語》のティア

第5位/響け! ユーフォニアム 北宇治高校の吹奏楽部日誌