星野流人の100冊
夏の暑い日が続く中、皆様におかれましてはいかがお過ごしでしょうか。
さて、本日は暑くてとても外を歩けないようなこの熱気の中、エアコンの効いた室内で過ごす時間のお伴の参考になればと思い、今回記事を書かせていただきました。
その名も「星野流人の100冊」。
こちらはわたくしが今までに読んで来た小説作品の中で、特にお薦めしたい作品を100冊(上下巻のものも含めるので、厳密にはもっと多いのですが……)厳選させて頂きました。
ライトノベルから一般文藝まで、今までわたくしが読んで来た作品全ての中から選んでみました。
できるだけ広範囲から選出できるよう、同作家さんの作品は2つまで、シリーズものの場合は初巻のみを選出しております。
……元々、「星野流人の100冊」自体は過去に何度もやっております企画で、端から見れば毎回そんなにラインナップは大きく変わらないのですが、わたし自身が厳選している時間が好きだったりするので、思い立った時にやらせていただいております。
(ちなみに調べたら前回は2015年の夏にやってました)
皆様の読書の参考になれば幸いでございます。
(参考までに、各作品の紹介ナンバーには、Amazonの当該ページへのリンクを貼ってあります)
No.001
「涼宮ハルヒの憂鬱」角川スニーカー文庫
谷川流 イラスト/いとうのいぢ
平凡な日常を嫌う女子高生涼宮ハルヒが、本人の与り知らぬところであらゆる超常現象の中心人物になってしまっているというファンタジー&SF小説。
主人公を取りまく存在が、宇宙人・未来人・超能力者とワクワクさせる設定のオンパレードで、読者の心を掴んで離さない。
好きなキャラクターは、朝比奈みくる。
No.002
「学校を出よう! Escape from The School」電撃文庫
谷川流 イラスト/蒼魚真青
超能力者ばかりが押し込まれた山奥の学園が舞台の物語。
ただでさえハルヒでも濃かったSF色がこちらではとんでもなく強くなっており、正直読み手は選ぶと思う。
でもSFに興味があるラノベ読みだったら絶対にハマると思う。
個人的には2巻の「I‐My‐Me」が、SF作品として考察しがいのあるストーリーがめちゃくちゃ好き。
好きなキャラクターは、縞瀬真琴。
No.003
「キノの旅 the Beautiful World」電撃文庫
時雨沢恵一 イラスト/黒星紅白
旅人のキノと喋るモトラドのエルメスが織り成す、旅の物語。
様々な国を描くことで世情を皮肉ったり、時には血も流れる、読みやすさに反してなかなかにハードな物語が魅力的。
巻数が進むにつれてその旅程が描かれるキャラクター達が増えていき、一冊で様々な味が楽しめる作品集になっていくのが嬉しい。
毎巻趣向を凝らして遊び心を入れてくる作者のあとがきも、楽しみの一つ。
好きなキャラクターは、フォト。
No.004 夜の章/僕の章
「GOTH(夜の章)(僕の章)」角川文庫
乙一
「夜の章」「僕の章」の2冊から成る物語(元々は「リストカット事件」の副題で1冊の単行本だったが、文庫化に際し2冊に分かれた)。
猟奇的殺人事件をテーマに描かれるミステリ。
動物や人間を問わず手だけを切り取って持ち去る事件など、その猟奇性にばかり目が行きがちであるが、読者をアッと驚かせる仕掛けの施されたミステリ作品として圧巻の完成度。
好きなキャラクターは、森野夜。
No.005
「バカとテストと召喚獣」ファミ通文庫
井上堅二 イラスト/葉賀ユイ
科学とオカルトによって生まれた、テストの点数によって強さが変わる召喚獣を用いた学園バトルギャグラノベ。
クラス分けテストの成績最下位のバカ学級Fクラスが、戦略と勇気と根性で暴れ回る様は読んでいてとにかくおもしろい。
バカを追求しきった作品という感じ。秀才の集まるAクラスの生徒やツッコミキャラを含めて、本当にバカしかいない……。
明るく騒がしく、軽快なやりとりでどこまでも楽しく、それでいて大事なところは熱く、エンターテインメントに特化しまくった作品です。
好きなキャラクターは、木下優子。
No.006
「氷菓」角川文庫
米澤穂信
何事にも積極的に関わらない省エネ主義を自称する折木奉太郎が、高校で入部した古典部の部誌にまつわる謎を解き明かす物語。
いわゆる「日常の謎」系の作品であるが、その真相はちょっぴりほろ苦い。
最初にその明かされた真相に気付いた時は、けっこうしっかりと背筋がぞっとしたものである。
好きなキャラクターは、千反田える。
No.007
「半分の月がのぼる空 looking up at the half‐moon」電撃文庫
橋本紡 イラスト/山本ケイジ
A型肝炎で入院した主人公が、病院内で同い年の少女に出会う物語。
剣も魔法も出てこない世界観の、ボーイミーツガール。
不治の病のヒロインとの恋物語だなんて典型的なお涙頂戴かと思うかもしれないけれど、だからこそしっかりと泣けるストーリーであることを評価したい。
そしてこの作品に興味を持つ人がいたならば、とにかく4巻までは読んで欲しい。とにかく4巻がすごい、とだけ伝えておきたいと思う。
好きなキャラクターは、谷崎亜希子。
No.008
「扉の外」電撃文庫
土橋真二郎 イラスト/白身魚
土橋真二郎の、始まりにして、全てがここに詰まっている。
修学旅行に行くはずだったクラスが閉鎖空間に閉じ込められていて、謎のゲームに参加させられるというストーリー。
ゲームを通じて人間の暗黒面を浮き彫りにしていく作品。
これ以降の土橋さんはゲーム系の作品を大量に発表するも、やはり原点はここだったなと思わせるだけの魅力がこの作品にはある。
好きなキャラクターは、蒼井典子。
No.009
「とある飛空士への追憶」ガガガ文庫
犬村小六 イラスト/森沢晴行
「追憶」「恋歌」「夜想曲」「誓約」から成る一連の「とある飛空士」シリーズの第一作。
1万2000キロメートルもの距離を挟み戦争を続ける二つの大陸が、この物語の舞台となる。
「追憶」ではこの1万2000キロメートルの海上を、たった一機の飛空機で皇女を送り届ける任務を受けた飛空士の空戦の様を描く。
飛空士シリーズの全てに共通して言えることなのだが空戦シーンの迫力や臨場感が半端ではなく、読んでいて手に汗握るシーンが幾度も襲いかかる。
今回は都合上シリーズ最初の「追憶」のみを記載しているが、「恋歌」も「夜想曲」も「誓約」もどれも非常に熱く、そして切ない物語が描かれていて、大好きなシリーズである。
好きなキャラクターは、アリエル・アルバス(恋歌)。
No.010
「とらドラ!」電撃文庫
竹宮ゆゆこ イラスト/ヤス
顔は恐いが性格は優しい高須竜司と、見た目は可愛いが気性の荒さから手乗りタイガーと恐れられる逢坂大河。
そんな二人はそれぞれの親友に片思いをしており、互いの恋路を応援する為に共同戦線を張ることに。
読者の心を熱く揺さぶる心理描写や、描かれる恋物語のほろ苦さは超一流。
……恋愛小説にしてはかなりドロドロしている方だとは思いますが、後の竹宮ゆゆこさんの恋愛小説荒らしっぷりを考えると、これでもまだおとなしいほうだった……。
好きなキャラクターは、川嶋亜美。
No.011
「その日彼は死なずにすむか?」ガガガ文庫
小木君人 イラスト/植田亮
一度死んでしまった主人公が、10歳から人生をやり直し、奇跡の欠片を集めることで死なずにすむ未来をつかみ取ろうとする話。
人生やり直し系の作品ですが、やり直しが10歳と小学生であるため、読んでいてやや懐かしい気持ちになったりします。
そして、小学生であっても、そういう色恋みたいなものはやっぱり良いものですね?
単巻作品で、小学生の頃のひょんな繫がりから運命の一日を切り抜けるストーリーは、うまくまとまっていてとてもおもしろいです。
好きなキャラクターは、ソフィア。
No.012
「電撃コラボレーション MW号の悲劇」電撃文庫
電撃文庫記念企画 イラスト/エナミカツミ、とりしも
豪華客船MW号を舞台に、「タコ」「電撃」「30」の三つの要素を盛り込んだ三題噺を電撃文庫でお馴染みの各作家さんたちが執筆。
自由な発想を持つラノベ作家さん達が描き出す短編の数々もさることながら、群像劇の帝王・成田良悟さんがその各自の好き勝手やらかしまくった作品たちをうまく一つのかたちに収束させているのが素晴らしい。
電撃文庫やラノベを愛する人たちに向けた、お宝みたいな作品集です。
No.013
「死神のキョウ」一迅社文庫
魁 イラスト/ 桐野霞
やたらと不幸な事故に巻き込まれやすい主人公・笹倉恭也が、彼を守るという死神・キョウと出会う物語。
ギャグやお色気を交えたドタバタな日常がありつつも、クライマックスではハッと胸に迫るようなストーリーを混ぜ込んでくる。
作者は「CLANNAD」の藤林姉妹のシナリオ等を書いていた人らしく、「なるほど、確かにそういう雰囲気の作品だな」と思った。
好きなキャラクターは、キョウ。
No.014 (上)/(下)
「化物語(上)(下)」講談社BOX
西尾維新 イラスト/VOFAN
怪異にまつわる少年と、少女達の物語。
阿良々木くんと彼女を取りまく個性豊かなキャラクターたちによる軽妙な雑談が何よりもの肝。
それでいていざ怪異がストーリーに絡み始めれば、一気に緊張感が場を支配していく。
時にはメタ的な要素も取り込んでいくなど、恐れ知らずな作品。
好きなキャラクターは、羽川翼。
No.015
「死神の精度」文春文庫
伊坂幸太郎
死ぬことが決まった人間を1週間観察し、その人物の死が妥当であると判断する「死神」の物語。
微妙に受け答えがずれている死神・千葉の人間とのやりとりがおもしろい。
またストーリーにもミステリ的要素が散りばめられており、単なる人間観察物語に終わらない辺りが非常に憎い。
No.016
「マリア様がみてる」コバルト文庫
今野緒雪 イラスト/ひびき玲音
お嬢様学校である私立リリアン女学園では、上級生が下級生を導く「姉妹(スール)」という制度が存在する。
リリアン女学園に通う平凡な女の子である福沢祐巳は、ある日ひょんなことから学園内の憧れの的である「山百合会」の小笠原祥子様の妹になってしまう。
ストーリーや展開で驚かせるタイプの作品ではないが、ただただその素敵な姉妹達の雰囲気に魅了されてしまうこと請け合い。
好きなキャラクターは、武嶋蔦子。
No.017
「バッカーノ! The Rolling Bootlegs」電撃文庫
成田良悟 イラスト/エナミカツミ
禁酒法時代のアメリカを舞台に、裏稼業の世界に生きる者たちと不死の酒にまつわるバカ騒ぎ。
ありとあらゆる立場のキャラクター達が一斉に動き回り、一度に様々な事態が同時進行していく様は読んでいて手に汗握る。
群像劇が好きならば、ぜひとも読んで欲しい作品。
好きなキャラクターは、シャーネ・ラフォレット。
No.018
「神栖麗奈は此処にいる」電撃文庫
御影瑛路
「神栖麗奈」という存在の物語。
ライトノベルでありながらイラストはなく、その不気味な表紙からもなんとなく作品の空気を感じ取ってもらえれば幸いである。
No.019
「俺の妹がこんなに可愛いわけがない」電撃文庫
伏見つかさ イラスト/かんざきひろ
ギャルっぽい今時の中学生である妹が、実はオタク趣味を隠し持っていて……という物語。
冷戦状態にある兄と妹でりながらも、クライマックスで妹の為に奮起する兄の姿は、やはり何度読んでも熱さを感じる。
後のライトノベル業界を席巻することになる「長くて説明を兼ねた作品タイトル」ブームの走りだったように思う。そう思うとこれはまだそんな長くもないが。
この後続々とヒロインが増えていくわでてんやわんやの中刊行されたシリーズ完結編での京介の決断は、賛否両論あれどもわたしはとても良かったと評価している。
好きなキャラクターは、来栖加奈子。
No.020
「ソードアート・オンライン アインクラッド」電撃文庫
川原礫 イラスト/abec
フルダイブ型次世代MMO「ソードアート・オンライン」の世界に閉じ込められてしまったゲーマー達の物語。
少年少女のラブストーリーもあり、強大なる敵との戦いもあり、と男の子がワクワクする要素が盛りだくさん。
後のライトノベル業界を席巻することになる「フルダイブ型ゲーム系小説」ブームの走りだったように思う。
好きなキャラクターは、桐ヶ谷直葉。
No.021
「ギャルゴ!!!!! 地方都市伝説大全」MF文庫J
比嘉智康 イラスト/ 河原恵
「人間以外の多くの女性に愛される」という主人公が、自らの住む街にはびこる地方都市伝説を解決して回る話。
1巻だけを読めば、正直なところ、よくあるちょっとおもしろいラノベくらいの評価の域を出ない。
けれどもこの作品の真髄はシリーズを通して読むことで気付かされる。
シリーズ終盤、それまでのシリーズで描かれて来た、一つ一つはなんてことないようなエピソード達が一気に伏線となって舞い戻ってくる。
スタートダッシュが遅いことだけが唯一にして最大の欠点ではあるのだけれど、もしもこの脅威の伏線回収に興味を覚えたならば、ぜひシリーズを通して読んでみることをお薦めしたい。
好きなキャラクターは、谷崎ライム。
No.022
「クリスマス上等。」MF文庫J
三浦勇雄 イラスト/ 屡那
クリスマスの夜、異世界からやってきたTV局のリポーターから、番組企画の為に同級生の薄幸少女を救って欲しいとたのまれる。
なかなかにぶっ飛んだ設定ではあるが、いざ主人公が動き出してからは、ボロボロになりながら突っ走りヒロインを守る姿がとても熱くかっこいい。
好きなキャラクターは、古都ゆかり。
No.023
「ガーデン・ロスト」メディアワークス文庫
紅玉いづき
女子高生四人の、幸せな安住の地……失いたくない楽園の物語。
四人の女子高生の物語はいずれも生々しくリアルに描かれていて、歪んでいて、でも必死に生きている様子が伝わってくる。
女子ってこういう感じの生き物なんだな……みたいなことを思いながら、読んだりしていました。
No.024
「○×△べーす ねっとりぐちゃぐちゃセルロイド」ファミ通文庫
月本一 イラスト/日高フウロ
廃部の危機にある野球部が、部の存続を賭けて急拵えのチームで甲子園常連校に挑む。
タイトルからして三角ベースの話かと思ったら普通に野球の話だし、ねっとりぐちゃぐちゃセルロイドなんてサブタイトルも読むまで意味分からないし実際読んでも正直なんでそこを拾ったのか分かんないけど……とはいえ、スポ根作品として非常におもしろい作品です。
ラノベではスポーツ作品がやや珍しいだけに、ラノベ的演出がありつつも野球のストーリーでしっかりとスポ根を描いた秀作。
No.025
「僕は友達が少ない」MF文庫J
平坂読 イラスト/ブリキ
友達がいない、学内で孤立した少年少女達が、友達作りを目的とした隣人部を設立する。
1話当たりが短く読みやすく、文字のフォントをいじったり視覚的にも笑わせてくるギャグラノベ。
好きなキャラクターは、楠幸村。
No.026
「初恋彗星」メディアワークス文庫
綾崎隼
同級生4人の彗星にまつわる恋物語。
本筋は切ない恋物語でありながら、そのストーリーの裏に大きなミステリが仕込まれている。
恋愛小説・ミステリ小説のいずれとしても楽しめる作品。
No.027
「アクセル・ワールド 黒雪姫の帰還」電撃文庫
川原礫 イラスト/HIMA
川原礫さんの別作品・SAO同様、こちらもフルダイブ型のゲームをテーマにした物語。
校内一の有名人である黒雪姫と、学内カースト最下層のハルユキという凸凹コンビが微笑ましい。
「加速世界」という特殊な設定を交えたバトルストーリーは非常に魅力的で、少年漫画のような熱さが読者を楽しませてくれる。
いじめられっ子が奮起して精神的に成長し強くなっていくというのは、やはり王道ながら良いものです。
好きなキャラクターは、上月由仁子。
No.028
「ある日、爆弾がおちてきて」電撃文庫
古橋秀之 イラスト/緋賀ゆかり
時間をテーマにした、SFボーイミーツガール短編集。
SFテーマながらそういった部分をあまり意識させないような青春劇として描かれている部分が多く、読みやすい短編集。
「むかし、爆弾がおちてきて」という作品がギュッと胸に迫るものがあって好き。
No.029
「空色パンデミック」ファミ通文庫
本田誠 イラスト/庭
空想上のキャラクター……所謂妄想の世界のキャラクターになりきってしまうという奇病「空想病」に侵された少女が主人公の物語。
しかしながらこの空想病、世界を巻き込むような大きなトリガーにもなっているという、手に汗握るセカイ系小説。
1冊がかりでこの作品ならではの壮大な仕掛けが施されており、シリーズで何度も騙される楽しみがあります。
好きなキャラクターは、青井晴。
No.030 (上)/(下)
「ドグラ・マグラ」角川文庫
夢野久作
日本探偵小説三大奇書の一つにも数えられ、この作品を読んだ者は必ず精神に異常を来すとも言われている怪作品。
自分自身でこうしてオススメ小説の中に置いておいてなんではあるが、その作品の全容を理解しているとは言いがたい。
そしてそれだけ狂った内容でありながらもミステリとしての体裁をしっかりと保っているのもまた魅力的。
好きなキャラクターは、呉モヨ子。
No.031
「ココロコネクト ヒトランダム」ファミ通文庫
庵田定夏 イラスト/白身魚
文化研究部に所属する5人の男女が、何故かランダムなタイミングでそれぞれの人格が入れ替わってしまうという現象に巻き込まれてしまう。
ドタバタな設定から始まって、部員5人の抱える事情がそれぞれ解決していく様は読んでいて心地よい。
そしてシリーズが進んでいくにつれて、ド直球の青春小説として昇華していくのが本当にすごい。
ラノベでありながら主人公たちが完全なるリア充集団になっていくのだもの。
好きなキャラクターは、稲葉姫子。
No.032
「奇想、天を動かす」光文社文庫
島田荘司
浅草で発生した消費税絡みの殺人事件が、調査を進めていくうちに30年前の未解決事件へと繋がっていく……。
1冊でまとまっていることが不思議に思うくらい壮大なスケールの物語で、徐々に徐々に真相に近づいていく感覚は手に汗握りとてもおもしろい。
No.033
「クロノ×セクス×コンプレックス」電撃文庫
壁井ユカコ イラスト/デンソー(2巻以降は 村上ゆいち)
主人公の男の子が、女の子と中身が入れ替わってしまい、その上異世界の時間を操る魔法学校に入学することに……という、設定盛り盛りなライトノベル。
入れ替わり小説としては女の子の身体に入ってしまった主人公がとんでもなく可愛く、わたしはついうっかりここからTSFの新しい扉を開いてしまったほど。
また、時間を操るファンタジー小説としてもクライマックスにはえげつない展開を放り込んでくるなど、非常に読ませる作品。
とんでもなく気になる展開、ばらまいた伏線、たくさんの謎を残しておきながらも、売り上げの問題で打ち切りの憂き目に。同人誌でいいので続きを出してください、という思いでいっぱいです。
好きなキャラクターは、ミムラ・S・オールドマン(in三村朔太郎)。
No.034
「イン・ザ・プール」文春文庫
奥田英朗
伊良部総合病院の精神科医・伊良部一郎の元に訪れた、患者達の物語。
精神科医が主人公、と聞くと身構えるかもしれないが、この作品の主人公である伊良部一郎は底抜けに明るいキャラクター。
心の病をテーマに描きながらも、時にはコメディタッチな展開も交えていき、患者達の心も少しずつ前向きに変わっていく。
好きなキャラクターは、マユミ。
No.035
「青春ラリアット!!」電撃文庫
蝉川タカマル イラスト/すみ兵
全校朝礼の場で公開告白をしたバカと、そんな彼の親友と、そのバカに惚れているというヒロインによる3人の青春小説。
男子学生達のバカで熱いノリを全力でやりきっている、まさに青春小説。
ヒロインこそしっかり存在しているるものの、内容としてはどちらかというと男同士のバカ全開な友情を暑苦しく描いているような気もする。
好きなキャラクターは、長瀬瑞希。
No.036
「陽だまりの彼女」新潮文庫
越谷オサム
冴えないいじめられっ子だった幼馴染と再会し、交際を始める恋愛小説。
甘ったるい恋愛がたっぷりと描かれるが、クライマックスから一気に物語が動き出す。
そもそも甘々な恋愛小説は好きだし、その上でちょっとした仕掛けがあるのも楽しい作品です。
好きなキャラクターは、渡来真緒。
No.037
「二年四組 交換日記 腐ったリンゴはくさらない」集英社スーパーダッシュ文庫
朝田雅康 イラスト/庭
問題児だらけの所属する二年四組にて交わされる、交換日記にまつわる物語。
作中(交換日記)で登場するキャラクターは全て異名や派閥で描かれており、小説であると同時にそれらの登場人物の「名前当て」作品でもある。
一クラス35人のキャラクターが一斉に動き回る群像劇としてもおもしろみがあり、楽しく読むことができる。
No.038
「世界の中心、針山さん」電撃文庫
成田良悟 イラスト/ヤスダスズヒト、エナミカツミ
雑誌掲載時にはそれぞれが独立した短編として描かれながら、文庫としてまとめられた際に書き下ろされる一編の短編を加えることで、一気にバラバラだった短編たちが一つの世界に収束する。
そんな圧倒的爽快感が詰め込まれつつ、個々の短編も個々としてのおもしろさがある、最強の短編集です。
好きなキャラクターは、真白。
No.039
「図書館戦争」角川文庫
有川浩 イラスト/ 徒花スクモ
メディア良化法が施行され、書籍に対する行き過ぎた検閲が行われるようになった日本で、書籍を守る為に軍人のように戦う図書隊が主人公。
表現規制に反抗する物語でありつつ、図書隊員たちの恋物語も描かれつつ。
本編最終章の「図書館革命」は映画化されるほどの重厚なストーリーを持つ長編だし、スピンオフ小説の「別冊 図書館戦争」は恋愛小説苦手な方向けの注意書きが載るほどのダダ甘ラブストーリーが描かれたり、いろいろと楽しみが多い作品。
好きなキャラクターは、柴崎麻子。
No.040
「学校の階段」ファミ通文庫
櫂末高彰 イラスト/ 甘福あまね
ビバ青春のムダ足!
学校の廊下や階段を駆け上がり、そのタイムを競うことに青春を捧げる少年少女の物語。
校内を走り回る、ただそれだけであり下手をすれば迷惑きわまりない行為でありながら、その行為に全力を注ぎ突っ走る姿は、紛れも無く「スポ根」。
好きなキャラクターは、神庭美冬。
No.041
「ベン・トー サバの味噌煮290円」集英社スーパーダッシュ文庫
アサウラ イラスト/柴乃櫂人
閉店間際のスーパーの安くなったお弁当を奪い合うバトルストーリー。
ギャグ設定であり作品としてもギャグラノベに位置づけられてはいるのだけれども、いざその弁当奪取のバトルが始まればそれは熱い熱い戦いの物語。
「腹の虫の加護」や「月桂冠」「半額神」等独自の用語も相まって、たかが半額弁当の奪い合いを、ふとすれば憧れてしまうような世界に昇華している。
氷結の魔女に、湖の麗人に、シーリーコート……二つ名って、かっこいいよね。
好きなキャラクターは、著莪あやめ。
No.042
「フルメタル・パニック! 戦うボーイ・ミーツ・ガール」富士見ファンタジア文庫
賀東招二 イラスト/四季童子
陣代高校に転校して来た相良宗介は、戦地帰りの戦争バカ。
しかし彼は、ある秘密を持つ千鳥かなめという少女を護衛する為にやってきたエリート軍曹なのであった。
ロボットに乗って戦いを繰り広げるバトルシーンや、銃をぶっ放すミリタリー全開なシーンは迫力満点。
長編シリーズでは世界各国を股にかけてシリアスな戦いを続けるものの、日常回を描いた短編集では戦争バカの宗介が巻き起こすドタバタ騒ぎがおもしろおかしく描かれる。
色んな魅力の詰まった長編シリーズです。
好きなキャラクターは、テレサ・テスタロッサ。
No.043
「サクラダリセット CAT, GHOST and REVOLUTION SUNDAY」角川スニーカー文庫
河野裕 イラスト/椎名優
能力者たちが集う街・咲良田を舞台に、世界を三日間分だけ巻き戻す能力と、記憶を保持し続ける能力を持つ能力者コンビを主軸にした物語。
様々な登場人物の持つ能力達が合わさることで、思いもよらぬ展開に突入してくストーリーが魅力的。
好きなキャラクターは、野ノ尾盛夏。
No.044
「武士道シックスティーン」文春文庫
誉田哲也
宮本武蔵を心の師とし勝利至上主義の磯山香織と、日本舞踊から転向して楽しむことがメインの西荻早苗。
そんな相反する二人の剣道少女が、高校生になって出会うところから物語が始まっていく。
二人の少女が剣道を通して成長し、ライバル心から友情へと昇華していく様は本当に読んでいて「青春」を感じます。
好きなキャラクターは、磯山香織。
No.045
「ゴールデンタイム 春にしてブラックアウト」電撃文庫
竹宮ゆゆこ イラスト/ 駒都えーじ
記憶喪失で高校生以前の記憶を持たない多田万里。
そんな彼が晴れて大学デビューした先で出会ったのは……万里の大学でできた初めての友人を追いかけて入学して来たという、やたらめったら自己主張の激しい美人なお嬢様。
竹宮ゆゆこさんお得意の多角形恋愛小説で、ストーリーが進んでいくほどにどんどんとドロドロ真っ黒。
登場人物全員が心を傷だらけにして苦しむような、そんな昼ドラも真っ青な恋愛劇なので……手を出すならば、覚悟して欲しいと思います。
好きなキャラクターは、加賀香子。
No.046
「子ひつじは迷わない 走るひつじが1ぴき」角川スニーカー文庫
玩具堂 イラスト/ 籠目
学園生徒の悩みを解決に導く「迷わない子ひつじの会」と、その「迷わない子ひつじの会」から謎解明の為の助言を求められてしまう少女の物語。
基本は謎解き小説であるのだが、解き明かされた真相を受けて動き回る主人公のなるたまの突っ走りっぷりを楽しむ作品。
遊び心が非常に多く含まれた作品で、楽しく読むことができる。
好きなキャラクターは、佐々原三月。
No.047
「蒼穹のカルマ」富士見ファンタジア文庫
橘公司 イラスト/森沢晴行
空から襲いかかる怪物・空獣(エア)を狩る機関「蒼穹園騎士団」に所属する女騎士・鷹崎駆真。
そんな彼女が大好きな姪っ子の授業参観に参加しようとするも……次から次へとトラブルに巻き込まれてしまう、というコメディタッチの作品。
シリーズを通してぶっ飛んだ設定のストーリーが多く、3巻からは学園編、4巻からは魔王編、5巻からは魔法少女編が始まるなど、そのバラエティ豊かな展開の多さが感じてもらえるのではないかなと思います。
好きなキャラクターは、鳶一槙奈。
No.048
「“菜々子さん”の戯曲 Nの悲劇と縛られた僕」角川スニーカー文庫
高木敦史 イラスト/ 笹森トモエ
3年前の事故で寝たきりになった主人公が、“菜々子さん”の語る断片的な情報から、3年前の真相を推理する物語。
考えることしかできない主人公の語りは特徴的ながら、真相に向かって推理が二転三転していく様はとてもおもしろい。
好きなキャラクターは、習志野菜々子。
No.049
「OP-TICKET GAME」電撃文庫
土橋真二郎 イラスト/植田亮
コンプリートすると女子のおっぱいが揉めるという、「おっぱいチケット」を巡るゲームに挑む男子高校生達の物語。
土橋さんのゲーム小説といえばプレイヤーを精神的に追いつめていくようなブラックな要素の強い作品が多いですが、こちらでは女子のおっぱいとパンツの真理に迫るというバカてんこ盛りのギャグラノベ。
好きなキャラクターは、速水千種。
No.050
「[映]アムリタ」メディアワークス文庫
野崎まど
天才と称される女性映画監督の手掛ける、自主制作映画にまつわる物語。
物語はミステリであり、SFでありつつ、オカルト。
ジャンル分けは極めて難しいが、極上のエンタメ作品であることには変わりない。
好きなキャラクターは、最原最早。
No.051
「アイドライジング!」電撃文庫
広沢サカキ イラスト/ CUTEG
各企業の科学技術を結集して作られたバトルドレスを身にまとい、アイドル達が戦い合う新時代のエンタテイメント「アイドライジング」の物語。
メインとなる部分がバトルである為戦術的なおもしろみが感じられ、女子主人公ながら熱さがあるのも良い。
好きなキャラクターは、ハセガワ・オリン。
No.052
「キャッチャー・イン・ザ・トイレット!」双葉文庫
伊瀬勝良
学校の女子トイレでの自慰行為にふける主人公が、同じクラスの地味な女子にその行為がバレてしまい……というストーリー。
性的描写が多く陰湿なストーリーながらも、読み進めていくにつれてしっかりと青春小説に昇華されていく。
好きなキャラクターは、須川麻衣子。
No.053
「AURA〜魔竜院光牙最後の闘い〜」ガガガ文庫
田中ロミオ イラスト/mebae
夜の高校に忍び込んだ主人公の元に現れた、青の魔女。
……しかし彼女は中二病に罹患した、単なる痛い女子高生に過ぎなかった。
中二病やそれに類する症状に一度でも罹患したことのある読者には痛々しいほどに突き刺さる、学内カースト小説。
好きなキャラクターは、大島弓菜。
No.054
「赤×ピンク」角川文庫
桜庭一樹
廃校になった小学校で行われている、非合法のキャットファイトに参加する女性格闘家たちの物語。
主人公の女性達はいずれもどこか壊れていて、心に傷を抱えながらも不器用に戦い続けている。
青春小説としては生々しさが強いが、読んでいて心が揺さぶられる良作。
好きなキャラクターは、ミーコ。
No.055
「オブザデッド・マニアックス」ガガガ文庫
大樹連司 イラスト/saitom
ゾンビ映画好きの主人公が臨海学校で訪れた島で本物のゾンビパニックに巻き込まれてしまう。
ゾンビ要素の非常に強い作品ではあるが、その中身は学園カーストを描いた作品であるため、ゾンビ作品を期待して読むと肩透かしを喰らうかも。
好きなキャラクターは、いずな。
No.056
「ぷりるん。〜特殊相対性幸福論序説〜」一迅社文庫
十文字青 イラスト/ま@や
個性豊かなヒロイン達に振り回されっぱなしの主人公。
しかしながら中盤以降、歯車が壊れたかのように絶望へと転落してしまう……。
暗い雰囲気ながらも完成度が高く、青春小説としてとてもおもしろい作品。
好きなキャラクターは、小野塚那智。
No.057
「ゴールデンスランバー」新潮文庫
伊坂幸太郎
首相暗殺事件の犯人に仕立て上げられた男が、ひたすら逃げ回る物語。
物語の要所要所に隠された伏線がストーリーが進むにつれて回収していく様は読み応えがあるし、単純な逃走劇としてもドキドキさせられる。
好きなキャラクターは、樋口晴子。
No.058
「も女会の不適切な日常」ファミ通文庫
海冬レイジ イラスト/赤坂アカ
「もっと学園生活を豊かにする善男善女の会」通称“も女会”の部活ハーレム日常系作品。
……で、ありながらストーリー中盤で世界観は一気にガラリと変わり、オカルト方面へと舵を切る。
“不適切”な状況から足掻き、抜け出そうともがくストーリーがおもしろい。
好きなキャラクターは、ちだね先輩。
No.059
「阪急電車」幻冬舎文庫
有川浩
片道わずか15分のローカル線に乗り合わせた人たちの、オムニバス小説。
1冊の本にたくさんの人間ドラマが入っていて、読後感はとてもやさしくあた。
同じ電車に乗り合わせた同士で、登場人物が交わっていく様も読んでいておもしろみがある。
No.060
「正捕手の篠原さん」MF文庫J
千羽カモメ イラスト/八重樫南
毎話見開き2ページで完結する、野球部ラノベショート作品集。
女の子でありながら男装してエースピッチャーを張る少女と、その周辺の愉快な仲間たち野球部を主人公に楽しげな日常を描く。
好きなキャラクターは、深見月夜。
No.061
「さよならピアノソナタ」電撃文庫
杉井光 イラスト/植田亮
音楽評論家を父に持つ少年と、音楽界から突然失踪した天才ピアニストの少女のボーイミーツガール。
音楽に関する蘊蓄もあり、非常に読ませる作品。
好きなキャラクターは、神楽坂響子。
No.062 (上)/(下)
「タイム・リープ あしたはきのう(上)(下)」電撃文庫
高畑京一郎 イラスト/衣谷遊
時間移動現象「タイム・リープ」を描いた作品。
単なるタイムトラベルものではなく、意識のみが一週間の間の過去と未来を行ったり来たりする「タイム・リープ」物の作品で、濃密なストーリーが破綻無くまとまっているのは、読み物としてものすごくおもしろい。
好きなキャラクターは、鹿島翔香。
No.063
「レンタル・フルムーン 第1訓 恋愛は読みものです」電撃文庫
瀬那和章 イラスト/すまき俊悟
貸本屋の店員の女の子と主人公が、“世界の設計図”を補修する物語。
とにかく登場するキャラクターがことごとく残念で、まさにラノベという雰囲気の楽しい作品。
好きなキャラクターは、藤崎芳乃。
No.064
「少女には向かない職業」創元推理文庫
桜庭一樹
中学生のふたりの少女の、思春期の揺らぎを描いた作品。
年頃の女の子の軽い文体で、とてつもない痛みの籠もった想いがダイレクトに伝わってくる。
No.065
「All You Need Is Kill」集英社スーパーダッシュ文庫
桜坂洋 イラスト/ 安倍吉俊
異星人からの襲撃に応戦すべく戦場に向かった少年が、戦闘の中でタイム・リープに巻き込まれてしまう物語。
戦闘シーンの迫力は元より、タイム・リープから脱出する為にはどうすればいいのか……という作り込まれたストーリーが非常におもしろい。
ハリウッドで実写映画化されて話題になっていたけれど、あれ今思い返すとストーリーめちゃくちゃ変わっていたな……。
好きなキャラクターは、リタ・ヴラタスキ。
No.066
「ボンクラーズ、ドントクライ」ガガガ文庫
大樹連司 イラスト/白味噌
特撮マニアの男子高校生が、部活動で特撮を撮ろうとする話。
男二人だけで大好きなヒーローのごっこ遊びをしていたところに、本気で特撮を撮ろうとやってきた女子が一人加わった三角形の人間ドラマが描かれるのですが……。
青春の、そしてヒーローの、輝かしくない一面を切り取る、s
好きなキャラクターは、宮内桐香。
No.067
「神様のメモ帳」電撃文庫
杉井光 イラスト/岸田メル
街に蔓延る新種薬物と、その毒牙に巻き込まれてしまった同級生。
ニート達を統べるニート探偵アリスにより、事件の真相が暴かれていく……。
重い要素を取り扱った作品ながら、すっきりとした読後感で楽しめる。
好きなキャラクターは、ミンさん。
No.068
「灼熱の小早川さん」ガガガ文庫
田中ロミオ イラスト/西邑
空気に流されて堕落するクラスの中で、唯一空気を読まずに正義をかざし続ける小早川千尋さんと、そんな彼女を観察する飯嶋直幸の物語。
田中ロミオさんの描く“空気”を読んで動く人間の姿が、気味が悪いほどにリアル。
一歩間違えば奈落の底へと真っ逆さまに落ちていってしまいそうな、危うさのあるヒロインの物語。
好きなキャラクターは、小早川千尋。
No.069
「プシュケの涙」メディアワークス文庫
柴村仁 イラスト/也
夏休みに、校舎の四階から飛び降りて自殺した一人の女子生徒を巡る物語。
物語は二部構成で、前半では自殺を巡る顛末をミステリ仕立てで描き、後半では死んだ女子生徒にスポットライトを当てて物語が紡がれる。
読んだ感想としては「この構成はズルい」。この作品の胸が張り裂けそうになるようなやり切れなさは、読まなければ分からないだろうと思う。
好きなキャラクターは、吉野彼方。
No.070 (上)/(下)
「天地明察(上)(下)」角川文庫
冲方丁
江戸時代前期を舞台に、囲碁棋士で天文暦学者の渋川春海が新しい「暦」を作り上げる物語。
生涯を賭して暦を作り上げるという一大事業を成し遂げていく様は、読み手の心を強く打つ。
No.071
「アニソンの神様」このライトノベルがすごい!文庫
大泉貴 イラスト/のん
ドイツから留学して来たアニソンが大好きな女の子が、日本の学校でメンバーを集めてアニソンバンドを結成する話。
アニソン好きのアニソン好きによるアニソン好きのための物語といった感じで、とにかく実在のアニソンが大量に出てくるので、アニソンが好きな人ならばまず楽しめるはず。脳内再生による補完込みで。
好きなキャラクターは、九条京子。
No.072
「名探偵の掟」講談社文庫
東野圭吾
探偵の天下一大五郎と大河原警部が様々な謎に挑む物語。
で、あるのだがこの物語の肝は彼ら探偵や警部が、自分たちが物語の登場人物であるということを把握しているということ。
そんな状況下で密室殺人事件、ハウダニットやフーダニットといったミステリ好きにとってはお約束といってもいいシチュエーションの数々をいじり倒していく。
コナンや金田一などでも、とにかく推理物に触れたことがある人ならば絶対にそのおもしろさが伝わるはず。
No.073
「独創短編シリーズ 野崎まど劇場」電撃文庫
野崎まど イラスト/森井しづき
野崎まどの描く、独創的すぎる作品を多数収録する短編集。
とにかく収録されている作品全てが奇抜すぎるアイデアの元に描かれており、読んでいると脳みそがザクザク刺激されているような感覚がある。
もはや小説でもなんでもないような笑わせに来ているだけのような作品もあるけれど、その自由さを含めてとにかく楽しい作品。
No.074
「ビブリア古書堂の事件手帖 栞子さんと奇妙な客人たち」メディアワークス文庫
三上延 イラスト/越島はぐ
本が大好きなビブリア古書堂の女主人・栞子さんが、様々な古書にまつわる謎を解き明かすミステリー。
古書の知識を十全に生かすのはもちろんのこと、驚異的洞察力でどんなヒントも逃さない推理シーンは圧巻。
好きなキャラクターは、篠川栞子。
No.075
「のうりん」GA文庫
白鳥士郎 イラスト/切符
農業高校を舞台に巻き起こる、パロディや下ネタギャグのオンパレード。
キャッチーな情報であるそれだけを取り出すと単なるギャグラノベに見えるかもしれないが、その真髄は確かな取材により裏打ちされた”農業“の描写にある。
農業や畜産といったテーマや、あるいは“農業高校生”というテーマでそれぞれの現状や問題点、美点などを余すところなく伝えてくる。
好きなキャラクターは、中沢農。
No.076
「"葵" ヒカルが地球にいたころ……」ファミ通文庫
野村美月 イラスト/竹岡美穂
「源氏物語」を下敷きに描かれる、現代日本の恋物語。
目付きが悪く不良と勘違いされている少年と、恋多きプレイボーイながらもある日突然の事故でこの世を去ってしまった少年……の幽霊が、彼の生前の心残りを解消していく物語。
ヒカルを巡る恋物語でありながら、友達のいなかった是光とヒカルの友情の物語でもある。……もちろん、帆夏の恋物語でもある。
好きなキャラクターは、式部帆夏。
No.077 (上)/(下)
「Another(上)(下)」角川文庫
綾辻行人
夜見山北中学校3年3組は、呪われたクラスである。
1998年の春、このクラスに榊原恒一が転校して来たことを機に、物語が動き始める。
死者が続出するおどろおどろしいホラーでありながら、その内包される要素はミステリでもある。
後から「あっ!」と思わされる伏線の数々には、脱帽するしか無い。
好きなキャラクターは、赤沢泉美。
No.078
「ソードアート・オンライン オルタナティブ ガンゲイル・オンライン ―スクワッド・ジャム―」電撃文庫
時雨沢恵一 イラスト/白星紅白
『ソードアート・オンライン』のファントム・バレット編の舞台となる、銃の支配する荒廃した世界ガンゲイル・オンラインをテーマにしたスピンオフ作品。
スピンオフ作品ではあるもののSAOの読了の有無に関わらず、とりあえずフルダイブ型のバーチャルゲームの中でドンパチを繰り広げる話、と思ってもらえれば大丈夫である。
作者の大好きな銃の描写がこと細かく描かれており、その上でド派手なサバゲーを繰り広げるストーリーはとにかくおもしろい。
好きなキャラクターは、フカ次郎。
No.079
「儚い羊たちの祝宴」新潮文庫
米澤穂信
ラスト一行で世界がひっくり返る。
そんな衝撃的なミステリ作品を集めた短編集。
個人的には収録作品の中でも特に「玉野五十鈴の誉れ」が秀逸だと思う。
ラスト一行であっと思わされるし、背筋もぞっと凍り付くような恐ろしさを味わえる。
No.080
「中古でも恋がしたい!」GA文庫
田尾典丈 イラスト/ReDrop
泣く子も黙るヤンキーである綾女古都子が、エロゲ好きの主人公・新宮清一に惚れてしまい、エロゲヒロインのような容姿になって彼に迫る話。
……まあ、オタクの妄想詰め合わせセットみたいで恐縮ですが、実際何も言い訳ができないレベルで妄想が詰め込まれているので……。
とにかく主人公に甲斐甲斐しく世話を焼く姉御肌ヒロインの古都子がかわいい上に、その後登場するライバルヒロインもことごとく可愛い……という、
好きなキャラクターは、綾女古都子。
No.081
「むかし僕が死んだ家」講談社文庫
東野圭吾
7年前に別れた恋人の記憶を取り戻すため、「幻の家」を訪れた二人の男女の物語。
物語の大半をこの二人の登場人物と、「幻の家」に限定されているだけに、登場する要素の一つ一つが非常に大きな意味を持ってくる。
ミステリとしての完成度が高く、全体を包み込む薄気味悪い雰囲気も相まってお気に入りな作品。
No.082
「クトゥルフ神話TRPGリプレイ るるいえあんてぃーく」ログインテーブルトークRPGシリーズ
内山靖二郎 イラスト/狐印
普通の人間がおぞましい神話的生物に挑むこととなる、クトゥルフ神話TRPGのリプレイ作品。
シリーズが長期化しているのにも関わらずほとんど同一の探索者を使用し続けているため、キャンペーンシナリオとしてすごくおもしろい。
ダイスの目が運命を左右するシナリオも多く扱っているだけに、計算では描けないストーリーが完成していることもある。
好きなキャラクターは、日野睦。
No.083
「エムブリヲ奇譚」角川文庫
山白朝子
迷子癖のある旅本作家の和泉蝋庵が、旅先で迷い込み出会った不思議な物語を描くオムニバス作品。
ぞっとするような恐ろしいエピソードが多い中で、時折ふとあたたかいエピソードも入っているなど、様々な物語が楽しめる。
No.084
「絶深海のソラリス」MF文庫J
らきるち イラスト/あさぎり
水使いと呼ばれる能力者を育てる学院に教官として訪れたミナトと、その生徒たちによる軽妙なファンタジー学園ストーリー。
能力は一流ながらも性格に難があるクロエをいなして操縦する様は、見ていて微笑ましくとても楽しい。
……しかし物語は後半、一気に絶望へと叩き落とされる。
好きなキャラクターは、クロエ=ナイトレイ。
No.085
「世界は密室でできている。」講談社文庫
舞城王太郎
流れるような特徴的な文体で描かれる、密室の物語。
最初はなかなかにとらえどころの無い自由な展開が続くが、終盤になると一気に物語が一つに収束していく様は読んでいて心地よい。
No.086
「給食争奪戦」電撃文庫
アズミ イラスト/すきま
どこにでもあるような小学校の、どこにでもいるような小学生達の、ほんの些細な、でも彼らにとっては一大事の物語を収録した短編集。
小学生時代の懐かしさがありつつ、物語本筋もおもしろいので、読み応えのある作品。
No.087
「SとSの不埒な同盟」ダッシュエックス文庫
野村美月 イラスト/ふゆの春秋
ドSな男とドSな女が、恋愛共同戦線を張って共に恋の成就へ努める恋物語。
お互いにドSな性癖を分かっているからこそ開けっぴろげなフェチを解放する、なかなかに「分かってる」人向けな作品かもしれない。
好きなキャラクターは、美園千冬。
No.088
「天久鷹央の推理カルテ」新潮文庫nex
知念実希人 イラスト/いとうのいぢ
病院内に持ち込まれた原因不明な奇病や不可思議な事件を、抜群の頭脳を持つ医師である天久鷹央が解き明かす。
医療ネタが満載の医療ミステリとしておもしろいのはもちろんのこと、個性豊かなキャラクターたちの楽しげなやりとりもまた魅力の一つ。
好きなキャラクターは、鴻ノ池舞。
No.089
「万能鑑定士Qの事件簿」角川文庫
松岡圭祐 イラスト/清原紘
面白くて知恵がつく、人の死なないミステリ。
主人公は高校までは万年学年最下位の成績ながら、上京してから広範囲の知識を身につけた女性鑑定士が主人公。
鑑定士が主人公ながらも、ほんの小さなヒントから日本を揺るがす大事件を解決する様は確かにミステリ小説。
好きなキャラクターは、凜田莉子。
No.090
「マグダラで眠れ」電撃文庫
支倉凍砂 イラスト/鍋島テツヒロ
錬金術師達の蔓延る時代を舞台に、果てない夢を目指し進む若者達の生き様を描き出した作品。
剣も魔法も主役ではないファンタジー作品という意味で、支倉さんの代表作「狼と香辛料」にも通じるものがある。
奇特な存在でありながら一途に夢を追い続ける錬金術師である主人公達の様子は、ただ読んでいるだけでもおもしろみがある。
好きなキャラクターは、イリーネ・ブルナー。
No.091
「りゅうおうのおしごと!」GA文庫
白鳥士郎 イラスト/しらび
弱冠16歳にして将棋界最強の称号である竜王の座に就いた主人公・九頭竜八一の元に、弟子にして欲しいと小学生の女の子が押し掛けてくるところから物語が始まる。
将棋に人生を捧げることを決めた者たちの、熱い熱い戦いの物語。
将棋知識が無くとも、この熱い想いは万人共通のものだと思うので、ぜひ読んで欲しい逸品。
好きなキャラクターは、供御飯万智。
No.092
「WILL」集英社文庫
本多孝好
葬儀屋を営む森野の元へ舞い込む、死者にまつわる不思議な出来事の数々を描いたお話。
姉妹作である「MOMENT」を読んでいると尚良いかもしれないが、今回はこちら単品で推させていただくことに。
好きなキャラクターは、森野。
No.093
「虹の歯ブラシ 上木らいち発散」講談社ノベルス
早坂吝
史上最もHな探偵……様々な客と援助交際している女子高生が、主人公であり探偵役も務める。
シリーズとしては長編の「○○○○○○○○殺人事件」が第1作ですが、「虹の歯ブラシ」は短編集であり様々な客に焦点を当てた作品がたくさん収録されているため、よりHな探偵感が強く、こちらの方がお気に入り。
もちろんHなだけでなくミステリとしても、バカミスから本格派まで色んな味が楽しめる。
好きなキャラクターは、上木らいち。
No.094
「六花の勇者」集英社スーパーダッシュ文庫
山形石雄 イラスト/宮城
魔神復活を阻止するべく、運命の神に選ばれた6人の勇者が集結する……はずが、なぜか現場に現れた勇者は7人。
勇者の中に1人、裏切り者の偽物がいる……。
魔神復活を阻止するというファンタジーの世界観でありながら、裏切り者は誰なのかというミステリ要素も持つ作品。
好きなキャラクターは、フレミー・スピッドロウ。
No.095
「俺を好きなのはお前だけかよ」電撃文庫
駱駝 イラスト/ブリキ
可愛い系幼馴染、クール系生徒会長、といった美少女達に囲まれながらも、主人公・ジョーロのことが好きなのは眼鏡で陰気な女だけ。
人間関係こじらせ系の恋愛ラノベですが、とにかく読ませる工夫が随所に施されており、読み物として非常におもしろい。
好きなキャラクターは、真山亜茶花。
No.096
「暗黒女子」双葉文庫
秋吉理香子
お嬢様学校の誰もが憧れる存在だった少女が死んだ。
そんな彼女の死をテーマに描かれる短編小説の朗読会、という設定の物語。
少女達の暗黒面がどす黒く描かれており、読後感の後味の悪さは秀逸。
No.097
「キミは一人じゃないじゃん、と僕の中の一人が言った」ファミ通文庫
比嘉智康 イラスト/はっとりみつる
多重人格を持つ主人公と、同じく多重人格を持つヒロインによる、多重人格ラブコメディ……であるのだが、その裏には隠された真実があった。
長期シリーズで実力を発揮して来た比嘉智康さんだったが、この作品では1冊目から見事な完成度を発揮。
好きなキャラクターは、一色華の実。
No.098
「あまのじゃくな氷室さん 好感度100%から始める毒舌女子の落としかた」MF文庫J
広ノ祥人 イラスト/うなさか
主人公のことが心の底から大好きだけど、外面が冷徹クールで毒舌なあまのじゃくな少女がヒロインと、そんな彼女の心の声が聞こえるようになった主人公による恋愛小説。
初手から両思いのため速攻ゴールイン不可避かと思われたが、読者の度肝を抜くレベルのヒロインのあまのじゃくっぷり、こじらせっぷりが見所。
好きなキャラクターは、砂城雅。
No.099
「JKハルは異世界で娼婦になった」早川書房
平鳥コウ イラスト/shimano
異世界転生した女子高生が、剣も魔法も持たずに娼婦になる話。
異世界ファンタジーの王道ともいえる世界観を描きながらも、その王道に乗ることができずに娼婦に身を落とした少女の、それでも全力で生きていく姿が見所。
それでありながら、設定の奇抜さだけでなくストーリーのおもしろさでも攻めてくるのがとても良い。
好きなキャラクターは、ルペ。
No.100
「六人の赤ずきんは今夜食べられる」ガガガ文庫
氷桃甘雪 イラスト/シソ
特殊な秘薬を作ることのできる赤ずきんと、赤い月の夜にその赤ずきんを食い殺すべく襲いかかる巨大な狼の物語。
狼から逃げ惑うパニック作品のみならず、赤ずきんの中にいる裏切り者を発見するミステリでもあり、最後までハラハラが続くため読み応えは十分。
好きなキャラクターは、ツバキずきん。
以上となります。
長々とお付き合いいただきまして、ありがとうございました。
おまけ。
選出作品のレーベル内訳
27作品 電撃文庫
9作品 角川文庫
8作品 ファミ通文庫
7作品 ガガガ文庫
6作品 MF文庫J
5作品 メディアワークス文庫
4作品 角川スニーカー文庫 集英社スーパーダッシュ文庫
3作品 講談社文庫 GA文庫 新潮文庫 文春文庫
2作品 一迅社文庫 富士見ファンタジア文庫 双葉文庫
1作品 幻冬舎文庫 講談社ノベルス 講談社BOX 光文社文庫 このライトノベルがすごい!文庫 コバルト文庫 集英社文庫 新潮文庫nex 創元推理文庫 ダッシュエックス文庫 早川書房(単行本) ログインテーブルトークRPGシリーズ
……およそ1/4が電撃文庫から選んでいるのか……どんだけ電撃文庫作品好きなんだ、俺は……。
まあ、ラノベ読みだし、多少はね?