10月に読んだ本でよかったやつ

10月に読んだ本でよかったやつを、多少の備忘録とともに書き残しておくやつです。


広ノ祥人「あまのじゃくな氷室さん5 好感度100%から始める毒舌女子の落としかた」

https://www.amazon.co.jp/dp/4040656660/ref=cm_sw_r_tw_dp_U_x_qjvZDbY4J2JE8

主人公のことが大好きだけどあまのじゃくな性格のせいで冷たい態度をとってしまうヒロイン、氷室さんを中心にしたラブコメの完結編。
なんというか、綺麗にまとめはしたものの消化不良の感が残るのは……私が完全にサブヒロインである雅のほうが可愛いと思ってしまってるせいなのでしょうね……。
運命を捻じ曲げられて、(要するに)金の力で好きな人を奪われてる雅があまりにもかわいそうで、諦めきれてもいない生殺しのエンディングが本当に辛かったです。
氷室さんをメインにした作品と考えても、あれやこれやの誤解やすれ違いが、なんだかんだ口頭での説明ばかりで収束した感じがして、広げた風呂敷のたたみ方としては少しばかり肩透かしな完結編だったかなと。
とにかくキャラクターたちがかわいいという点で魅力的な作品だっただけに、根幹的なところでその魅力を報わせてあげられなかったのが残念でしたね……。


知念 実希人「魔弾の射手 天久鷹生の事件カルテ」

https://www.amazon.co.jp/dp/4101801622/ref=cm_sw_r_tw_dp_U_x_flvZDbFD89GPR

いや、めちゃくちゃおもしろかったですね……。
医療ミステリとしてシリーズも長いので安定して楽しめる信頼感はありましたが、その期待にしっかり応えてくれる作品でした。
廃病院で相次ぐ転落死、という事件の真相はもとより、この事件を解決するために統括診断部が動き出すきっかけにもなった由梨の存在がとても大きかったです。
医療トリックなだけに謎解きパートでの読後感が他のミステリと全く違った趣があるのも楽しい。
統括診断部メンバーに、事実上完全に鴻ノ池も加わっているような状態なのがシリーズファンとしては嬉しいところですね。


伊瀬ネキセ「HELLO WORLD if ー勘解由小路三鈴は世界で最初の失恋をするー」

https://www.amazon.co.jp/dp/4086313294/ref=cm_sw_r_tw_dp_U_x_ymvZDb6SYJ1JA

現在公開中の映画「HELLO WORLD」のifの世界を描くスピンオフ小説、なんですが……いや、これ本当にスピンオフ!!!? ってくらいおもしろくて感動して、ぶったまげてしまいました。
物語の主人公は堅書くん・一行さんの同級生であり、本編のサブキャラクターだった勘解由小路三鈴。
脇役ながら異彩を放っていた彼女はどうして彼ら2人と交流を持つようになったのか?
その背景をスピンオフで描くのですが、物語本編を補完するようなシーンもあったりして、そういう意味でも映画を観てからのほうが楽しめます。
そして何よりも三鈴の心理描写が繊細で丁寧に描かれており、単なる可愛いヒロイン以上の、等身大の、だけど確かに強くて弱くて愛すべきヒロインだったことが伝わってきます。
サブタイトルにもあるように物語の主軸は“失恋”であり、だからこそ読んでいて心が揺さぶられ、三鈴のことがどこまでも愛おしくなるのです。
「HELLO WORLD」本編を観た人は、絶対読んでほしい!
そのくらい、この世界とあの同級生3人をより深く理解し、そしてもっと好きになれる最高のスピンオフでした!
……映画をまだ観てない? 観なさい!!!


駱駝「俺を好きなのはお前だけかよ12」

https://www.amazon.co.jp/dp/4049127962/ref=cm_sw_r_tw_dp_U_x_XnvZDbZNVC299

いよいよ2学期最大のイベント修学旅行が訪れ、西木蔦高校2年生たちは北海道へ。
そしてここで現れる新ヒロインは……ジョーロの小学校の同級生ライラック。
物語の軸になるのはせっかくの修学旅行なのになぜかずっとふさぎ込んでいるひまわり。
個人的にはひまわりに対してもライラックに対しても自分と似たような思うところのある心象を抱いていたため、その2人が前を向いて進んでいけるストーリーは読んでいて心に染み入るものがありました。
やっぱりたんぽぽはとんでもない飛び道具だなあと思う次第です。
そして今巻最大の見どころは、偶数巻、そして修学旅行ということで超強力な見開きイラストが誕生してしまったこと……!
やばすぎ! サザンカなんて姿勢をあすなろもうそんなのアウトやたんぽぽ意外とスタイルいいヒイラギなんつーわがままボディパンジーこれはもうあかんひまわりそれは人死にが出るコスモス麗しいツバキかっっっわライラック美女がすぎる……。
12巻は永久保存版ですよ……。


篠宮夕「氷川先生はオタク彼氏がほしい。1時間目」

https://www.amazon.co.jp/dp/4040733118/ref=cm_sw_r_tw_dp_U_x_ppvZDbEEAPKPW

こ、これは……オタクの理想を詰め込んでしまった先生ヒロインなのでは!?
ストーリーはオタク趣味のキッカケから知り合い、そうとは知らずに付き合い始めた2人が実は高校の教師と生徒の間柄だった、というラブコメです。
この作品のお楽しみポイントは、とにかくオタクである氷川先生がえらい可愛い、オタクに都合がいいくらい可愛い、ということでしょうね。
氷川先生はオタクヒロインであることに加え、学校では鬼教師であるにも関わらず不自然なくらいポンコツさの目立つようなギャップもあり、それをひたすら愛でる作品ですよコレは。


野村美月「“文学少女”見習いの、傷心。」

https://www.amazon.co.jp/dp/4047260304/ref=cm_sw_r_tw_dp_U_x_9pvZDbHXW97E8

菜乃と心葉がもう一度お互いに向き合うこととなる短編と、人の心が生み出した「怪物」をテーマにした長編を収録。
怪物によって心を乱され、怪物よりも恐ろしい人間というものを見せつけられ、読んでいる最中は気分がどんより落ち込むほどのブラックなストーリーでした。
が、読み終わってみれば明るい菜乃の存在や、心葉と再び向き合う覚悟を決めるななせなど、それぞれのキャラクターたちが前向きに進んでいくことができてとても良かったです。
外伝のためか、懐かしい顔ぶれが再登場したりしていて、そこも含めておもしろかったですね。