2024年5月に読んだ本まとめ

2024年5月に読んだ本を多少の備忘録とともにまとめるやつです。


カミツキレイニー「魔女と猟犬2」

めちゃくちゃおもしろいダークファンタジー。
魔法を操る敵が反則級に強くて、こんなんどうやって倒すんだよと心が折れるほどの圧倒的絶望感。
1巻は全編絶望が支配していましたが、今巻はようやく状況を打開していく光が見えた感じです。
キャンパスフェローの魔女集めのふたり目は、雪の孤城にたったひとりでいる雪の魔女。
今回も交渉が難航する……どころかまたしてもいきなり大ピンチの戦場に放り出されてしまうわけですが。
色々文句を言いつつも、カヌレのために戦ってくれるテレサリサがかわいかったです。
3巻への物語の繋げ方が抜群にうまい。


竹岡葉月「おいしいベランダ。 2人の相性とトマトシチュー」

2巻序盤にして、特に駆け引きもドキドキも無いまま、不意打ち気味にお付き合いが始まりました。
あまりにも唐突の交際開始に、「(用事に)付き合って」というよくある勘違いかと思いました(本当に付き合い始めました)。
しかしながら付き合い始めたらそこがゴール、なわけではなく。
ぬるっと始まった交際だからこそのすれ違いも描いたりしていて、恋愛小説として楽しく読めました。
あとベランダ菜園ネタとしては、小さいじゃがいもが興味深かったです。
「オデッセイ」も観ないとな〜と。


西尾維新「掟上今日子の裏表紙」

強盗殺人の犯人として逮捕されてしまった今日子さんのお話。
個人的にはシリーズの中でも、特に好きな作品でした。
状況証拠的には圧倒的に今日子さんが怪しいというところから、少しずつ明らかになっていく事情の数々。
このシリーズらしいあまりに奇抜な真相があったり、意外な見落としがあったりと、ひとつひとつ明らかになる真実の数々が、とてもおもしろかったです。
細かな事象の絡み合ったうえでの密室事件で、クライマックスの謎解きも一気に楽しんでしまいました。
すべてが終わるとタイトルの意味も明らかになり、非常に満足度の高い1冊でした。


園生凪「公園で高校生達が遊ぶだけ」

タイトルに偽りなし。
公園とは言っても遊歩道があったり多数の広場や野球場なども併設されてる、デカめの公園。
やるとこは、公園内で駄弁ったり遊んだりするだけ。
でもそんななんてことない時間で、幼馴染の男女の青春を、これ以上無く描き出している。
公園で遊ぶ幼馴染の吾妻と瀬川のふたりは、恋人同士じゃないけどお互いがかけがえのない存在であることは明らか。
そんな彼らの様子をからかったり、呆れたり、背中を押してやろうとしたりする友人たちの姿も良い。
会話のやり取りの軽妙で楽しく、手軽に楽しめる青春ラノベって感じで良かったです。


時雨沢恵一「レイの世界 -Re:I- 2 Another World Tour」

新人アイドルの女の子が、異世界や並行世界でのお仕事をするお話。
今回は「絵から生まれたストーリー」という、1枚のレイの肖像から始まるお話がおもしろかったです。
良いお話でありつつ、意外性もたくさんあって好きでした。
シンプルに良いお話でいうと、「未来と自分は変えられる」も夢に満ちた優しいお話でとても良かったです。
「アイドルグループ候補者殺人事件」は打って変わってどろりと血生臭くて、これはこれで時雨沢さんの魅力ですね。
四十代と公表している女社長、挿絵を見る限りあり得ないくらい若くてかわいくて好きなキャラです。


米澤穂信「冬期限定ボンボンショコラ事件」

〈小市民〉シリーズ冬の巻。は、序章から早々に小鳩くんが轢き逃げに遭う、衝撃的なスタート。
入院中のベッドの上で、かつての小鳩くんが〈小市民〉を志すキッカケとなった事件を回想するという、絵面だけ見たらなんとも地味な巻なのですが……まだお互いに若干の警戒心の残る小鳩くんと小佐内さんのやりとりが新鮮でした。
クライマックスでは一気に解決編に突入し、あれよあれよという間に謎が解き明かされ、とても満足感が高かったです。
毎日毎晩、小鳩くんが寝ている間に見舞いの品を置いていってる小佐内さんが甲斐甲斐しくて良かったです。
事実だけを見れば受験を台無しにされてしまった小鳩くんですが、事件の結末やエピローグを経て、今回の事件が彼にとっての救いでもあったことを願ってやみません。


暁なつめ「この素晴らしい世界に祝福を!5 爆裂紅魔にレッツ&ゴー!!」

めぐみんたちの出身地、紅魔の里を舞台にした物語。
急速にカズマと仲を深めていくめぐみんが、かわいくて良かったです。
スピンオフの爆焔では紅魔の里深刻なツッコミ不足問題がありましたが、今巻はカズマがいて一安心。 このすばの要はやはりカズマなんだなと再認識しました。
紅魔の里に関するまさかの真実が雑に明かされたりと、シリアスにできるはずのストーリーをひたすらゆるくやってて楽しく読めました。
ちょっと気を抜くと空気になってしまうかわいそうなクルセイダーことダクネス、次巻こそは活躍なるか!?


竜騎士07「ひぐらしのなく頃に解 第一話 目明し編(上)」

昭和57年……、圭一の転校してくる1年前、詩音と悟史の身に何があったのか? というお話。
身を隠さないといけない立場の詩音が、少ない機会で悟史とのささやかな逢瀬を繰り返すのがかわいかったです。
詩音のけじめは、シリーズ屈指の痛々しいシーン。ここばかりは読むのがしんどくなるほどの真に迫った場面でした。
ここであれほど苦しんだ詩音をまざまざ見せつけられたからこそ、魅音との和解も非常に胸を打ちます。
シリーズの中では比較的出番の少なめな詩音ですが、メインとなるこの目明し編で一気に色んな魅力を見せてくれますね。



個人的な今月のお気に入り作品トップ5

第1位/魔女と猟犬2

第2位/冬期限定ボンボンショコラ事件

第3位/掟上今日子の裏表紙

第4位/レイの世界 -Re:I- 2 Another World Tour

第5位/ひぐらしのなく頃に解 第一話 目明し編(上)