2024年6月に読んだ本まとめ

2024年6月に読んだ本を多少の備忘録とともにまとめるやつです。


竜騎士07「ひぐらしのなく頃に解 第一話 目明し編(下)」

悟史のことを想うあまり、けれど冷静に真実を見定めてしまったばかりに、人の道を踏み外し転落していく詩音の物語。
目を背けたくなるような拷問シーンの数々と、詩音を包み込むむき出しの狂気がひたすらに息苦しい。
上巻で兄に甘えっぱなしの沙都子が描かれていた分、彼女の成長には感動させられました。
まあ、この成長が後になってまた大変な事態につながるとはいえ。
しかしまあ、詩音がド派手に暴れ回って多数の死傷者を出した結果、もっと大勢を巻き込むこととなる大災害は回避しているというあたりがなんとも。


宮澤伊織「裏世界ピクニック9 第四種たちの夏休み」

空魚と鳥子の関係性が落ち着くところに落ち着いたことで、今回はオカルト方面の探索などのエピソードが多め。
とはいいつつも霞を迎え入れたことで温かな雰囲気になった小桜邸や、憎まれ口を叩くるななど、清涼剤的なシーンも多数。
冒頭からマヨイガが崩壊し、戸館とハナが安否不明というショッキングな内容でおもしろかったです。
「カイダンクラフト」の終盤ではまさかの人物が再登場したりと、裏世界の底知れなさ、不気味さが感じられて良かったです。
せっかく色々落ち着いたのに、事あるごとに嫉妬する鳥子がおもしろかわいかったです。


川原礫「ソードアート・オンライン16 アリシゼーション・エクスプローディング」

遂に開戦したアンダーワールド大戦。
この巻の前半はぶつかり合う人界と暗黒界の苛烈な戦闘を描いたもので、整合騎士のめちゃくちゃ強くてかっこいい姿が見られて良かったです。
レンリの奮起や、《無音》のシェータの戦闘シーンが特に好きでした。
ただ個人的には、ここまでくると「SAOでやる必要あるのだろうか……?」とも思ってしまいつつ。
後半になると表紙にもいる通りアスナがようやく戦場に降り立ってきて、いよいよ物語が大きく動き出してきた!という興奮がありましたね。
アスナとアリスの初邂逅もまた、印象的なシーンでした。
クライマックスを目前にして、現実世界との交錯など、めちゃくちゃ盛り上がってきたので、この壮大なストーリーの結末がどうなるのか非常に楽しみになってきました。


手塚治虫「火の鳥6 望郷編」

壮大すぎる……。
地球を飛び立ち、宇宙の遥か先にあるエデン17に移住した女性の物語。
ひとつの荒廃した星の栄枯盛衰を丁寧に描いていて、壮大すぎてビビりました。
エデン17が星として栄えてきてロミの望郷の想いにスポットライトが当たってからも、宇宙の広さ、壮大さがずっとあって、よくぞそんなことを思いつけるなというぶっ飛んだ発想力に驚嘆しました……。
鉱物が支配している世界とは……どうやったら思いつけるんだそんなもの。


杉井光「神曲プロデューサー」

大人の青春音楽小説といったところでしょうか。
杉井さんはライトノベルでも非常に魅力的な音楽小説を書いていますが、その雰囲気をそのまま一般レーベルに持ち込んだような感じです。
杉井さんのことを知らない音楽好きの方に、ぜひ一度読んでみてもらいたい。
音楽業界の片隅で何でも屋をしている蒔田と、彼に興味を持った歌姫・リカコによる大人のボーイミーツガール。
前半3話は爽やかな青春劇で、かなり好きな物語でした。
後半からは理想だけでは動けない立場の蒔田と、根っからの音楽人間のリカコのすれ違いが描かれ、寂しさを感じるストーリーで、こちらも胸に響く物語です。


長月達平「Re:ゼロから始める異世界生活2」

いやおもしろっ……!?
見たことある双子メイド初登場からののんびり異世界生活が始まったかと思ったら、急転直下で一気にどん底に叩きつけられました。
しかもこの巻では終わらず、エピソードの解決は3巻へ持ち越し。鬼か……?
レム、ラム、ベアトリスといった新キャラたちは刺々しさがあったりしながらも、根底にある優しさが見え隠れしていて本当に良いキャラだと思いました。
しかし天使度では、やはり人を疑うことを知らないレベルのエミリアもかわいかったです。
あくまで孤独な戦いを強いられるスバル、果たして次巻どうなる?


西尾維新、岩崎優次「暗号学園のいろは 第7巻」

まだまだたくさんストーリーを描ける余地も残しながらも、惜しまれつつの完結、大団円となりました。
しかしながら暗号、そして戦争という、この作品のおいて描くべき部分はきっちり描ききって、非常に満足度の高い最終巻でした。
本当に、欲を言うならもっと読みたかった!
2年後の姿だったり修学旅行だったりと特別なみんなの姿も見られてよかった……というか、この巻で普通に素顔さらしてる真蟲犇さんめっちゃかわいくないですか? もっと活躍見たかった……。
あとやはり有能だということしか分からず活躍はゼロの牡丹山さんよ。
完結お疲れ様でした。


白鳥士郎「りゅうおうのおしごと!19」

クライマックスに向けて準備万端!といったところでしょうか。
ばらばらになってしまっていた清滝一門が、ここに来てついにひとつの目的地に収束していく激アツ展開。
現実世界に寄り添うよりも、創作だからこその夢を描く方向に舵を切った、その先の未来がとても楽しみです。
そして個人的にいちばん熱かったのは、将棋そっちのけ(ではないのだろうとは思いますが)でレディースラノベ執筆に邁進する桂香さんでした。
羞恥心をかなぐり捨てて、欲望全てを叩きつけて幸せになってほしい!
元々好きでしたが、桂香さんのことが更にグッと好きになりました。


本多孝好「dele3」

2巻のあの終わり方で、その後を描くってどうなるんだろうと思っていましたが……とてもおもしろかったです。
行方不明になった圭司捜索のため事務所に戻ってきた祐太郎に加えて、まさかの協力者抜擢となった過去の依頼関係者のナナミがいい味出してました。
ナナミは圭司とも祐太郎とも関係性が面白く、この3人体制でもっと読んでみたいと思うほどでした。
最終話となる「スタンド・アローン」は依頼人の死の理由がまったく読めない中、明かされる悲しい真相に絶句……。
シリーズ完結篇としても、ナナミの物語のリスタートという意味でも、とても楽しめる内容でした。


香月美夜「本好きの下剋上 司書になるためには手段を選んでいられません 第一部 兵士の娘II」

2巻目にしてようやく本作り……のその大前提、紙作りに着手。
失敗のオンパレードだった1巻に比べると、一発で成功できたあたり、商会との伝手で一気に世界が広がった感じがしました。
髪飾り事業が始まってから、裁縫美人のトゥーリとエーファがマインそっちのけで生き生きし始めて、すごくかわいくて良かったです。
本来ブレーキ役のはずのお母さんまでのめり込むあたり、結局中身が麗乃であっても似たもの家族……。
順調に商品アイデアで成り上がりを目指す中、身食いが彼女の今後を大きく左右しそうで、この先もとても楽しみです。


個人的な今月のお気に入り作品トップ5

第1位/暗号学園のいろは 第7巻

第2位/りゅうおうのおしごと!19

第3位/Re:ゼロから始める異世界生活2

第4位/dele3

第5位/ソードアート・オンライン16 アリシゼーション・エクスプローディング