2022年1月に読んだ本まとめ
2022年1月に読んだ本を多少の備忘録とともにまとめるやつです。
竹町「スパイ教室03 《忘我》のアネット」
第2巻にて描かれたリリィチームの裏側。
別行動をとっていたティア、アネット、モニカ、エルナの物語。
この3巻の物語でもって、ようやくスパイチーム『灯』の全メンバーの個性と能力が明かされることとなりました。
協調性に秀でたリリィチームに反して、ティアチームの協調性の無さ、それ補って余りある個性の強さが、この巻の魅力です。
この巻では記憶喪失であるアネットの元に、母親が現れるという物語。
アネットを母親の元に返すべきか否かというティアの葛藤から、どんどんきな臭い展開へと突き進んでいきます。
結石「陰キャの僕に罰ゲームで告白してきたはずのギャルが、どう見ても僕にベタ惚れです 1」
めちゃくちゃ甘かったです。
物語の導入こそ罰ゲームでの告白ですが、主人公である陽信の男気に触れたことでヒロインの七海は早々に陥落。
そのあとは手を繋いで登校したり手作り弁当作ってもらったり休日デートしたりと、ひたすら甘々です。
陽信も告白が罰ゲームだと知っているため、今の自分に甘んじることなく、七海に気に入られようと努力しているところが好ましかったですね。
お互いに相手を思い合っているからこその気持ちの良い恋愛小説で、とても楽しく読めました。
途中に登場する、当て馬枠の先輩が良いキャラしていたのが印象的でした。
タイトルには「ギャル」とありますが、七海は比較的おとなしい性格の女の子なので、そんなにパリピ系なギャルって感じはしてないかもですね。
清楚なファッションも似合っているので、これはこれでかわいいですが。
東野圭吾「虚像の道化師」
物理学者湯川を主人公とするミステリ、ガリレオシリーズの短編集。
この作品では、物理学的なトリックの驚き以上に、関係者の心の機微などが胸を打つ短編が多かった印象でした。
「透視す(みとおす)」は、透視マジックを得意とするホステスが殺害される事件です。
誰も知らなかった透視マジックのトリックが明かされることにより、彼女が秘密にしていた事実が明らかになります。
「曲球る(まがる)」は戦力外通告を受けたプロ野球選手が主人公で、殺害された奥さんが死の直前まで何をしていたのかが物語の鍵となります。
トリックを楽しむミステリであるとともに、大切な人を失う悲しみも丁寧に描いているように思いました。
短編によっては湯川がお茶目なところを見せたりするのも、好きですね。
暁佳奈「ヴァイオレット・エヴァーガーデン 外伝」
上下巻に描ききれなかった、ふたつの依頼人のお話と、ベネディクトとカトレアのお話、ギルベルトとホッジンズのお話、そしてヴァイオレットのお話。
お気に入りのエピソードは「王女と自動手記人形」でした。
政略結婚をする王族の娘が、伝統行事に則り公開恋文を贈り合うお話です。
政略結婚ながらも描かれる恋模様は甘くて愛おしく、ヴァイオレットの働きも含めてとても好きな作品でした。
ギルベルトとホッジンズの不思議な友情の物語も、グッとくるものがありました。
お互いに不器用ながら、互いに深い友情を感じているのがとても良いですね。
成田良悟「デュラララ!!SH×2」
1冊目と2冊目で、次世代によるデュラララ新章のプロローグといった感じでした。
池袋にいてもいなくても騒動に巻き込まれるセルティでしたが、あまりに人間味あふれるリアクションにほのぼのします。
今巻では粟楠会や暴走族グループが一同に会しての大騒ぎに発展していくのですが、バラバラだった物語がひとつに収束していく感覚は何度読んでもクセになるデュラララの魅力です。
新章における中心人物となる八尋が、奇しくもかつてのセルティと同様に“吹っ切れた”ことで新たな物語に繋がっていくという構図……なかなかおもしろかったです。
土橋真二郎「魔法少女ダービー」
自分が生まれる未来を確定させるために、ふたつの平行世界の未来からやってきた魔法少女が自分の母親となる女の子と父親をくっつけようとするお話です。
クールな花翠と元気な咲希という、正反対なヒロインがどちらも可愛くて良かったです。
未来のふたりの娘に振り回される椎名の物語として楽しく読ませてもらったのですが、そこは土橋さん作品。
変化球ラブコメの枠にも収まらない超展開が待っていました。
あちこちに巧妙に罠が仕掛けられており、読みながらやや混乱してしまうところもありますが、想像を超える展開が最後には待ち受けていました。
駱駝「俺を好きなのはお前だけかよ17」
シリーズ完結を飾る最終巻は、アニメの特典小説5編と、描き下ろしの最終話を加えた短編集。
個人的に好きだったのは、ジョーロがコスモスと戦うお話、「俺は生徒会長と戦ってみる」。
過去にこんなことがあったんだ、と思うと微笑ましいエピソードでしたね。
最終話「俺とお前の始まり」は、ついに迎えた雨露と菫子の大晦日のお話。
トラブルが向こうからやってくるのはいつも通りですが、賑やかでありつつも静かに締めるまとめ方は、この作品らしくて良かったです。
ここまでの6年の執筆、お疲れ様でした。ありがとうございました!
竜騎士07「ひぐらしのなく頃に 第三話 祟殺し編(上)」
漫画・アニメ視聴済。
両親不在の圭一の元にご飯を作りに来る沙都子だったり、野球の試合で甲子園投手亀田くんを打ち崩す沙都子だったり、日常パートが長めに用意されている祟殺し編の上巻。
沙都子を絶望へと突き落とす鉄平の登場から、雰囲気はがらりと不穏なものへと変わっていきます。
圭一の地の文も直情的で荒っぽいものとなり、読みながら不安に駆られます。
本当に圭一がずっと他人に理不尽にキレ続けているのが、祟殺し編なので……。
あの温厚なレナすらもキレるシーンは印象に残りますね。
祟殺し編だけ大石さんがやたら嫌われ者な不思議。
氏家ト全「生徒会役員共 第22巻」
2007年から足かけ16年の連載を終えての最終巻。
最後は少しだけ真面目な話もやったけど、卒業もしないし誰ともくっつかないし次期生徒会選挙とかもやらないし、本当にいつも通りの日常のまま終わったのがこの作品らしくて良かったです。
マジで無限に読めてしまう作品だっただけに寂しくなりますが、最後まで楽しませていただけてとても良かったです。
しかし最後のオチをもっていくのが、まさか横島先生になるとは……。
桜井のりお「僕の心のヤバイやつ 第6巻」
いやヤバすぎますって。今まで読んできたラブコメの中でも、ここまでどきどきする両片思いを見たのは初めてかもしれません。
バレンタインデーから卒業式までのエピソードの中で、山田に気を寄せていた先輩との最終決戦も。
先輩も悪い人ではないのはわかりますが、それでも恋する乙女の山田は相手が悪かった……!
先輩の想いを断る山田の言葉がとても巧みで、感情豊かで、切なくなってきました。
おねえも涙ぐむくらい、市川の成長も感じられる。
前へ、前へと進み続けた激動の6巻でしたね……。
吉田創「ガールズ&パンツァー プラウダ戦記 第5巻」
大洗女子学園が優勝する、その1年前の戦車道大会の決勝戦で、何があったのか。
常勝黒森峰を相手に、イレギュラーな事態の中で勝利のみを貪欲に求めて戦い続けたプラウダはとてもかっこよかったです。
確かに冷静に考えたら、地すべりで戦車1輌流されてるのにそのまま試合続行して勝ってるプラウダ……って状況ってかなり変なんですよね……。
そこのところの違和感をうまく物語に落とし込み、今の幼い性格のカチューシャ、その相棒ノンナに至るまでを描ききったのは見事でした。
とてもおもしろいスピンオフでした!
竜騎士07「ひぐらしのなく頃に 第三話 祟殺し編(下)」
北条鉄平を排除する覚悟を決めた、圭一の物語。
裏でいろいろなことが起こっているのだとは思うのですが、何も知らない圭一視点からするとものすごく不気味な物語です。
圭一も圭一で情緒不安定が著しく、物事を正常に判断できていない状態に陥っていることは明白。
その圭一視点で語られる以上、もはや何をどこまで信じていいのか不安になるエピソード、でしたね……。
謎が多く残る……というか謎しか残らない出題編の中で特に後味の悪い祟殺し編。
クライマックスの理不尽な畳み掛けは、圭一の心を打ち砕くのに十分すぎるものでした。
竹内佑「前略、殺し屋カフェで働くことになりました。」
裏稼業の人間の仕事の現場を見てしまった高柳迅太が、殺し屋たちの働く喫茶店でウエイターをすることになるお話です。
裏稼業の物語ではありますが、殺し屋喫茶で働くメンバーは皆かわいらしく魅力的で、楽しく読める作品でした。
迅太の手料理に懐柔されまくってるのは喫茶店モノらしくて楽しかったです。
殺しの依頼を受けてからはきな臭い展開にも突入していきますが、迅太のガッツや機転で、素人ながらも裏稼業の人間相手に渡り合っていくのがかっこいい。
女子高生で殺し屋の鉄火が、時々かわいい女の子らしさを見せるのが良いですね。
西尾維新「忍物語」
暦の大学生時代を描いたモンスターシーズン。
直江津高校女子バスケットボール部に所属する女子高生が、木乃伊化して発見された事件に暦が挑みます。
しかし暦は毎度のように後手後手にまわることになり、その高校時代から変わらない泥臭さに安心してしまいます。
この巻では幼女や少女や後輩たちに囲まれまくっているので、なにげに暦ハーレムなモンスターシーズンの開幕でしたか?
暦の大学でできた新しい友人の命日子や、神原の同級生の女バス3年生たちなど、サブキャラで今後の出番があるかどうかも読めないメンバーがかわいくて良かったです。
個人的な今月のお気に入り作品トップ5
第1位/虚像の道化師
第2位/ヴァイオレット・エヴァーガーデン 外伝
第3位/スパイ教室03 《忘我》のアネット
第4位/前略、殺し屋カフェで働くことになりました。
第5位/陰キャの僕に罰ゲームで告白してきたはずのギャルが、どう見ても僕にベタ惚れです 1