2021年2月に読んだ本まとめ

2021年2月に読んだ本を多少の備忘録とともにまとめるやつです。


神田夏生「絶対にデレてはいけないツンデレ」

おもしろかったです。
主人公の夜船史吹は、本来の自分を偽り、明るい陽キャを演じています。
そしてヒロインの蒼月水悠はある不思議な過去から、冷たい言葉しか口にできません。
そんな本音を隠したふたりが、徐々に距離を縮めていくラブコメです。
自らを偽る夜船くんですが、その考え方には共感する部分も多かったです。
『××』という言葉を口にできないツンデレヒロイン、という設定だけでもいくつかエピソードが作れそうな感じでしたが、この作品ではふたりの抱える問題の解決まで含めて、綺麗に1冊でまとめ上げた印象でした。
個人的な欲を言うならば、ライバルヒロインのガミがとても自分好みだったので、もう少し活躍の場や報われる部分があったらよかったですね。


青谷真未「読書嫌いのための図書室案内」

いやこれはおもしろかったですね。
読書嫌いの主人公が、本好きのクラスメイトと一緒に、図書新聞の発行を任されるというお話です。
図書新聞に掲載するための読書感想文と、それを書いた人物の背景にあるドラマがこの作品の中では描かれています。
3人の読書感想文、それぞれでドラマが描かれていながら、読み終えると1冊の作品としての完成度も非常に高かったです。
伏線の張り方が絶妙で、クライマックスでは色々な気付きがありました。
「読書」をテーマにしているだけあって、本好きのヒロインの藤生の成長にも「読書」が絡んでおり、同じく本好きの身としては励まされる物語でした。
読み手によって作品の色が変わるというのがこの作品の根幹にあるメッセージだと思うので、まさに「読書嫌い」の人がこの作品を読んだらどんな感想を抱くのか、とても気になりますね。


白鳥士郎「りゅうおうのおしごと! 14」

熱き将棋棋士たちの物語、最終章開幕。
三段リーグを突破し史上初の女性プロ棋士となった銀子を中心に、八一の周りの女性たちが次々に動き出します。
竜王の防衛戦や三段リーグなど、数々の熱い物語を描いてきたこの作品ですが、最終章らしく一手先すら読めぬ怒涛の展開に、最後は一気に読み終えてしまいました。
最終章は始まったばかりですが、もうこの時点で破滅的におもしろいです。
銀子ちゃんも三段リーグを抜けたし、よかったよかった……で終わらせないのが、プロの世界の厳しさ。
この作品はどこまで銀子ちゃんを追い詰めれば気が済むのか……。
おそらくラノベ史上他に類を見ないほどに研ぎ澄まされたヒロインレースが、開幕してしまいました……。


内山靖二郎/アーカム・メンバーズ「クトゥルフ神話TRPG リプレイ セラエノ・コレクション2」

アーティファクトを蒐集する秘密組織セラエノ・コレクションに所属するメンバーが、今回も謎めく品々を求めて冒涜的なシナリオに挑戦。
アイドルライブ、超古代遺跡、船上のオークションとCoCではあまり見かけないタイプの舞台設定だったのがおもしろかったです。
オークションのやつはTRPGであるのに加えて、事前に根回ししたり実際のダイスのロールで戦況が変わったりしていておもしろかったですね。
ダイス目の冴える場面、荒ぶる場面がそれぞれあり、楽しく読めました。
個人的には学芸員のNPCである純菜の出番が少なく、残念でした。


桜井のりお「僕の心のヤバイやつ 第4巻」

いや、やっば!!! 1冊まるごと年末年始の冬休みで、ほとんど市川と山田と市川の家族しか出てこなくて、そのぶんふたりの微妙な距離感でのイチャつきが勢いを増していました!
山田の女の子心の表現の仕方が秀逸すぎて、本当にラブコメとしての質の高さを読んでいて感じます。
眼鏡と部屋着の山田にシコリティを感じる山田……。
山田のお姉さんがいい感じにふたりのことをかき回していて、とても良かったです。
ギプス付きで迎えた新学期、果たして。


宮澤伊織「そいねドリーマー」

不眠症の女子高生・帆影沙耶が、どんな相手でも添い寝で眠らせることのできる金春ひつじと出会う。
そうして描かれるのは、夢の中に現れる謎の存在、睡獣との戦いの物語。
夢の中が舞台であるため、支離滅裂な描写が度々登場して、現実と夢の中がごっちゃになっていく感覚がとても不思議でした。
夢のような支離滅裂な文章を読まされていると、本当に読みながら夢の中を漂っているような感覚になっていきます。
現実と夢との間の行き来を短い間に経験しすぎたせいか、物語のラストもどこか現実感が無くて、ふわっとした感じで終わったように思えました。


紀ノ上晟一「となりの布里さんがとにかくコワい。 第3巻」

目つき悪くて金髪なヤンキーヒロインの一途な片想いラブコメ。
数少ない理解者の果朋たちを橋渡し役にして、少しずつクラスにも打ち解けてきたような感じが出てきました。
体育祭に文化祭、遠足とイベント盛りだくさん。
みんなで一緒にお菓子食べたかった布里さんかわいい。
美術の課題のエピソードのときの布里さんの私服カワいすぎる。
平くんも布里さんを意識してきたところで、大きな爆弾が落ちてきて、次巻へ続く……。
次もめちゃくちゃ気になります。


九井諒子「ダンジョン飯 第10巻」

いよいよ狂乱の魔術師のホームへと辿り着き、物語はクライマックスへ。
シリアスな場面が多くともしっかり顔芸やギャグを挟んでくるあたりは、ダンジョン飯。
これまでさんざん苦労してきたマルシルにとっても、最大の試練を迎えることに。
長齢のマルシルだからこその切ない想いが吐露されるシーンは、彼女がここまでがんばってきたすべての根源のように感じられてとても良いシーンでした。
カレーを美味しそうに食べるところもよかったです。
未だ続くピンチに、ライオスはどう立ち向かうのか……。
続きがますます楽しみになってきました。


橘公司「デート・ア・ライブ アンコール3」

シリアスな事件も起きることなく、ただひたすらかわいい精霊たちとのドタバタを描く短編集。
「美九オンステージ」はアイドルとしての美九の活動を描いた作品で、ライバルアイドル的立ち位置の日依の存在は、本編で触れても良かったのではというくらい光ってました。
「七罪ティーチング」はまさしくドタバタ回で、楽しく読めました。
「精霊メリークリスマス」と「狂三サンタクロース」は、この作品らしいクリスマスの過ごし方を描いた短編たったなと思います。
狂三のことがもっと好きになるエピソードでしたね。
分身体に振り回される狂三がかわいかったです。


山口悟「乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…10」

カタリナが闇の魔法の習得を目指したり、畑の野菜を孤児院に届けに行くお話。
久しぶりにラファエルの出番が多めだったり、サイラスとマリアに進展があったり、といったところが見どころでしょうか。
闇の魔法と謎の女サラに関しても少しばかり進展があったものの、まだまだ謎が多くこれから先の展開に期待といったところです。
カタリナの人たらしっぷりはこの作品のキモとも言える部分なので、孤児院でもそういった面が描かれていたのは良かったです。
平和なパートがやや多く、気楽に読める巻でもありましたね。


個人的な今月のお気に入り作品トップ5

第1位/りゅうおうのおしごと!14

第2位/読書嫌いのための図書室案内

第3位/僕の心のヤバイやつ 第4巻

第4位/クトゥルフ神話TRPG リプレイ セラエノ・コレクション2

第5位/デート・ア・ライブ アンコール3