2021年11月に読んだ本まとめ
2021年11月に読んだ本を多少の備忘録とともにまとめるやつです。
瘤久保慎司「錆喰いビスコ3 都市生命体「東京」」
2巻を読んだときも思ったんですが、劇場版みたいなスケールのでかい大盛り上がりのお話で、今回もすごくおもしろかったです。
ありとあらゆるものを《都市ビル》へと変えて攻撃してくるアポロと相対するのは、ビスコとミロ、そして彼らが今まで関わってきたオールスターたち。
世界が錆に包まれることとなった元凶となるエピソードにも触れ、『錆喰いビスコ』としての第一章の物語の完結編にもなっています。
とにかく熱い少年漫画的な盛り上がりがおもしろく、最後まで全速力で駆け抜けていきました。
次巻からは新章、こちらも楽しみですね!
裕夢「千歳くんはラムネ瓶のなか」
主人公は学内カーストトップに所属する陽キャリア充。
特に後ろ暗い背景も抱えている事情もなく、本当にちゃんとリア充主人公視点でストーリーが進んでいくので、それだけで今のラノベ界隈では特異な作品に感じられました。
第1巻では引きこもりのクラスメイトをリア充に育て上げるエピソードが描かれており、人がリア充になるための心構えや考え方をいろいろと教えてもらいました。
陽キャだとかリア充だとか敢えてレッテルを貼った言い方をしましたが、主人公の千歳くんがめちゃくちゃ主人公でイケメンなので、それだけで十分おもしろかったです。
浅倉秋成「失恋の準備をお願いします」
いやこれ。読み物としてめっちゃおもしろかったです。
ひとつの町を舞台にしていろいろな男女の恋物語がオムニバス形式で描かれるのですが、そのひとつひとつが互いに複雑に影響を与えあっているという構成の物語になります。
作風は軽めで、登場人物たちの会話もボケツッコミがテンポよく、上質なギャグ作品を読んでいるかのようでした。
キャラクターもかわいらしく魅力的で、恋物語を応援したくなります。
そして伏線や絡み合う展開などにもニヤリとさせられて、とてもおもしろかったです。
個人的に好きだったエピソードは「勤勉社員のアウトレイジ」でしたね。
あまりにもそんなわけがない展開が次々襲いかかってきて、とても面白いです。
とにかく読み物としてのおもしろさを求める方には、ぜひ読んでほしい作品でした。
此見えこ「きみが明日、この世界から消える前に」
失恋して生きる気力を失ってしまった幹太と、そんな彼をストーカーしていた季帆による、恋物語。
幹太が好きだった幼馴染の病弱な女の子、七海との関係性の描写が印象的でした。
読んでいて自分が同じ立場であっても同じことになってしまいそうで、思わずハッとさせられます。
幹太も季帆もそれぞれ人生が不器用で、そのせいで転んでしまって傷ついて、死にたくなってしまって。
それでもそんなときにお互いがすぐそばにいたことは、とても素敵なことだなと思える物語でした。
これからふたりの幸せな物語が続くと嬉しいですね。
時雨沢恵一「ソードアート・オンライン オルタナティブ ガンゲイル・オンラインXI ―フィフス・スクワッド・ジャム〈上〉―」
毎度趣向を凝らしたギミックがあるSJですが、今回は現実のサバゲーでは実現不可能なVR世界だからこそのギミックで、とてもおもしろかったです。
さらにはレンが懸賞首になるという展開もあるのですが、そこが大きく関わるのは次巻以降になりそうですね。
今巻では全日本マシンガンラバーズの紅一点、ビービーの活躍が多くて嬉しかったです。
ビービーのイラストがめちゃくちゃ可愛くて、良かったですね……。
クールで知的で仲間想いなビービー、とても良いです。
フカ次郎とビービーの因縁と描かれそうで、SJ5ここからの展開も楽しみです!
風見鶏「放課後は、異世界喫茶でコーヒーを3」
学園が夏休みになったリナリアが、住み込みでユウの喫茶店のアルバイトをしてくれるお話。
観光客が増えた影響から喫茶店が大繁盛してしまい、その影響でこの店のあり方について改めて考えることとなります。
ユウが異世界にいる意味。そして喫茶店がある意味。それらにとってターニングポイントとなる、素敵なエピソードでした。
剣も魔法も登場しない等身大の異世界転生物語で、この読んでいて心に染み入る安心感がとても好きだなあと改めて感じました。
アイナのふとした時の大人びた表情や、トトのかわいらしい面もすごく好きでした……。
こんぱる&ふじしまぺポ、草下シンヤ、雨宮「ごくちゅう! 第1巻」
刑務所に服役中の女子達の日常を描いた獄中ゆる漫画。
一般には知られていない刑務所のあるあるが描かれていて、興味深かったです。
思ったよりもゆるい部分と、思ったよりも厳しい部分とがありました。
キャラとしては秋月さんがかわいくて好きでした。ちょっと、怖いけど……。
漫画としてはもとより、元受刑者で取材協力で関わっている雨宮さんのコラムが読み物としてとてもおもしろかったです。
読んでて雑学的なものを知れて、ものすごく「逮捕されたくないな……」と思う作品になりました。犯罪、ダメ絶対!
野上武志「はるかリセット 第1巻」
文筆業を営む天野はるかが、仕事の合間に息抜きをしてリセットする話。
大人の遊び方大全集って感じの漫画でした。
はるかは四六時中仕事をしていて、平日いきなり思い立って休める特殊な立場ではありますが……。
温泉、タイ式マッサージ、寿司、ビヤホールとやりたいことに飛び込んでいくはるかのあそび方は見習いたいですね。
サンシャイン水族館は自分もよく行きますが、あそこは良いところです。クラゲが好きです。
有象利路「サキュバスとニート 〜やらないふたり〜」
これめちゃくちゃおもしろかったです。
ニートの和友が搾精したがらない落ちこぼれサキュバスのイン子を召喚する話です。
ぐうたらで非常識で思考が短絡的かつ暴力的で、けれどそこはかとなく憎めないイン子がとにかく魅力的でした。
物語もずっとハイテンションなギャグで突き進みまくり、ありとあらゆる手で笑わせてくる作品でした。
その上クライマックスからはシリアス展開もあり、まるでジェットコースターのようなめちゃくちゃな情緒。
笑えて泣けて、読み物としてのコスパがハンパないので、続刊めちゃくちゃ楽しみです!
川原礫「ソードアート・オンライン14 アリシゼーション・ユナイティング」
アリシゼーション《人界編》完結、ということで、整合騎士となったユージオとの対峙、そして最高司祭アドミニストレータとの最終決戦。
さすがに長きにわたって描かれたエピソードのラスボスとなる最高司祭だけあって、アドミニストレータとのバトルは超ボリュームでした。
それだけにキリトたちの被害も甚大で、読み終わる頃には少々ぐったりしてしまうほど。
キリトとユージオの熱い友情がジンと胸に響きました。
いくつかの謎が解けて、しかしまた新たな謎が飛び出してきて、キリトさんの冒険はまだまだ終わらないらしい……。
雨森たきび「負けヒロインが多すぎる!2」
恋に破れた負けヒロインたちの物語、2冊目は夏休み、そして焼塩檸檬の恋物語の延長戦。
想いを告げないままに“言わなかった”だけで負けヒロインになった檸檬が、改めて想い人と向き合う切ないエピソードでした。
一方でコメディパートも相変わらず楽しく、ラブコメとしてかなり優秀です。
ヒロインみんな可愛いし、会話のやりとりがおもしろいので、この調子でどんどん負けていきましょう。
地下資源館に遊びに行ったときの、気合が空回りしてる八奈見がとてもかわいかったです。
本当に、なんで、こんなかわいいのに彼氏できないのかね八奈見さん……。
岬鷺宮「日和ちゃんのお願いは絶対4」
セカイ系ラブコメとして始まったこの作品ですが、いよいよ世界の崩壊寸前のところまで来てしまいました。
深春は日和と別れたことで、情勢の悪化もあって強制的に生き方を変えられてしまいます。
この巻では深春と日和が、改めて互いへの想いに向き合うこととなります。
崩壊に向けて悪化し続ける世界が、これからどうなってしまうのか。
深春と日和はどうなるのか。
卜部といっしょになるという選択肢を少しくらいは考えてあげなよ、とか思いつつも、不安だらけのこの作品がどう山場へと突入していくのかがとても気になります。
個人的な今月のお気に入り作品トップ5
第1位/サキュバスとニート ~やらないふたり~
第2位/錆喰いビスコ3 都市生命体「東京」
第3位/失恋の準備をお願いします
第4位/ソードアート・オンライン14 アリシゼーション・ユナイティング
第5位/放課後は、異世界喫茶でコーヒーを3