2021年10月に読んだ本まとめ

2021年10月に読んだ本を多少の備忘録とともにまとめるやつです。


長岡マキ子「経験済みなキミと、 経験ゼロなオレが、 お付き合いする話。その3」

いや〜〜〜良かったです!
2巻で浮気疑惑を乗り越えたふたりに、もうこれ以上の障害は無いんじゃないかなと思っていたんですが、今回も魅せてくれました。
違いすぎるから惹かれ合うふたりで、だからこそ違いすぎるお互いに不安を覚えてしまう。
そんなすれ違いと、仲直りを、とても綺麗に描いている1冊でした。
月愛、笑琉、朱璃のギャルトリオがとても可愛くて、それだけでかなり良いです。
龍斗への想いを断ち切れない海愛の立ち回りも、今巻ではかなり好感持てました。
お邪魔虫になるでもなく、けれどかんたんに仲直りすることもできない微妙や立ち位置の海愛が、今後月愛や龍斗とどう関わっていくのかがとても楽しみです。
そしてあらすじに書かれた不穏な「あの人は振られちゃいます。」という文言の意味は……いや、そっちかい!


秋本治「こちら葛飾区亀有公園前派出所 第201巻」

200巻発売から5年ぶりに、連載終了後にジャンプなどに掲載された新作エピソードをまとめた201巻が登場。
久しぶりに両さんたち派出所のメンバーのやり取りが見れたのは良かったです。
しばらく見ない間に中川のキャラが変わってましたが。
基本的に復活エピソードが多いので派出所メンバーメインだったので、もし今後もこち亀の新作があれば超神田寿司の顔ぶれも見てみたいと思いましたね。
2021年の日暮回は、いいエピソードも交えていておもしろったです。
「想い出の巻」も両さんにとって特別なエピソードだと思うので、見れてよかったです。


橘公司「王様のプロポーズ 極彩の魔女」

デート・ア・ライブの橘公司さんとつなこさんのタッグで送る新作。
死んでしまった最強の魔女の肉体を引き継ぎ、魔術師の通う学園で生活を始めることとなった少年、玖珂無色が主人公。
ヒロインの女の子たちが皆とてもかわいらしく、お色気サービスシーンも豊富で、『デート・ア・ライブ』で良かった雰囲気を残したままの新作になっていると思いました。
ご執心の兄や魔女様に心乱される瑠璃がとても良かったです。
最強の魔女の体を持つ無色は最初から最強の魔法が使えるため、俺TUEEE感もありつつ。
クライマックスには驚愕の真相が待っていて、熱くて良かったです。


橘公司「デート・ア・ライブ12 五河ディザスター」

精霊の力がオーバーヒートした士道を救うために、8人の精霊が士道をデレさせてキスをする話。
嘘みたいな設定なんですが、本当なんです。
可愛らしい8人の精霊たちが、次から次へとデレさせるために魅了してくるのは良かったです。特に折紙がかなり良かったです。やはり正ヒロインは折紙……。
精霊たちから迫られる暴走状態の士道がやたらキザでカッコつけなので、そこは読んでいて好みが分かれるかもしれませんね。
また新しい精霊も登場しそうな展開となり、次はいったいどんな子なのか……? と期待が膨らみますね。


中田永一「ダンデライオン」

ちょっと信じられないくらいおもしろかったです。
物語はタイムリープを軸にしており、主人公の下野蓮司が11歳の頃に頭を打った衝撃で20年後に意識が飛び、1日を過ごして再び戻り、20年後のタイムリープ地点を目指す……という流れになります。
この物語は1999年と2019年というふたつの時代を中心に話が進んでいくのですが、あちこちに伏線が張り巡らされており、細かなところにまで「あっ、あのときの!」という軽い驚きがあります。
ほんの些細な伏線なのに、それが感動を生むような展開もあり、とても印象的でした。
下野蓮司は未来を知った状態で20年間を生きることとなるのですが、確定した未来に向かって進むことに思い悩む場面もあります。
それでも彼が自分の人生を自分のものとして認めるシーンには、思わず目頭が熱くなりました。
タイムリープを終えてからは先の全く読めない展開が続き、気がつけば最後まで一気読みをしていました。
とにかくストーリーが巧妙で、読んでいておもしろい。その上、ジンと沁み入るような、人生の大切なことも教えてくれる。
読み終えてからも興奮が収まらないくらい、圧倒的な満足感のある作品でした。
本当に、本当に、素晴らしい作品です。


三簾真也「お湯でほころぶ雪芽先輩 第2巻」

やったね雪芽先輩、お風呂仲間が増えたよ! ということでお湯に浸かると血行が良くなりかわいくなる雪芽先輩のお風呂コメディ2冊目です。
雪芽先輩の同期やめぐりの同期たちが登場して、とても賑やかになっていきます。
お風呂だけでなく岩盤浴のエピソードもあり、ちょっと興味が湧いてきますね〜。
さらには取引先の一筋縄ではいかない女社長とのお風呂エピソードも、雪芽先輩とめぐりのそれぞれの良いところが出てる回だったなと。
温泉浸かってるときの雪芽先輩に怒られるの、あまりにもかわいい……。


暁佳奈「ヴァイオレット・エヴァーガーデン 上巻」

これめっちゃすごくないですか?
肉声の言葉を書き記す代筆業をこなす「自動手記人形」ヴァイオレット・エヴァーガーデンが様々なお客さんの元を訪れるお話。
どのエピソードも感動的で、読んでいて涙腺を刺激されました。
様々な事情を抱えるお客さんたちの苦悩は、胸が張り裂けそうなほどに想いが伝わってきます。
一方でどこかずれたところのあるヴァイオレット・エヴァーガーデンとのとぼけた交流もまた微笑ましくて楽しいです。
文章も世界観に似てとても繊細で美しく、作品を構成する要素がすべて素晴らしかったです。
「小説家と自動手記人形」で描かれた見開きの挿絵で、この作品はすごい、と確信してしまいました。
あれだけ印象的なシーンに、その印象に華を添える絶妙な挿絵を入れられる作品は、信頼しかありません。
下巻も楽しみですし、アニメを観るのも楽しみになりました。


駱駝「シャインポスト ねえ知ってた? 私を絶対アイドルにするための、ごく普通で当たり前な、とびっきりの魔法」

『俺を好きなのはお前だけかよ』の駱駝さんとブリキさんのコンビによる新作は、新人アイドル育成がテーマ。
小規模なライブしかこなせない新人アイドルたちの抱える悩みを解決して、彼女たちの真の実力を引き出していく……という、アイドル物としては王道の展開で進んでいきます。
アイドルの女の子たちが自分と向き合い、悩みから解き放たれるのはとても感動的でおもしろかったです。
主人公でありマネージャーの直輝の持つ、とある特殊能力については、賛否が分かれるところかもしれません。
『俺好き』の駱駝さんであるため、隠された秘密や仕掛けも残されているようですし、まだまだ油断はできないのですが……少なくとも1巻の段階ではごく普通のアイドルラノベに収まってしまっているかな……とは。
ここからおもしろくなるにしても、肝心の1巻がインパクトに欠けるので、作品としてはそこが痛手かなとは……。


山形石雄「六花の勇者6」

ここまで様々な策で六花の勇者たちを苦しめたテグネウとの、最終決戦。
とにかくおもしろすぎました。
もうこれ以上ないほどに追い詰められて、読者ですら「これはもう無理では?」と諦めそうになるほどの超逆境。
絶体絶命の危機的状況が幾重にも続く中で、勇者たちひとりひとりの機転と偶然とにより突破していくのが素晴らしかったです。
ありとあらゆる要素が絡み合って生み出された物語で、よくぞここまでの熱く入り乱れた展開を描ききってくれたと賞賛の言葉しかありません。
アドレットとフレミーのこれからの先行きが気になりすぎるのですが……。


立川浦々「公務員、中田忍の悪徳」

合理主義者の変わり者公務員の中田忍の自宅に、突如異世界からエルフが降臨。
異世界から現れた異物に対していかなる処置を取るのが最適か……というのを延々と考え続ける1冊でした。
エルフは言語が通じず、どのような生態かも不明。
そんなエルフと少しずつ時間をかけて信頼関係を築いていく物語構成は、異世界物が当たり前の今となっては逆に新鮮に映りました。
中田忍の思考が常人のそれから逸脱していることもあり、異世界ネタの亜種としてうまく独自性を演出してしました。
異世界物の設定を捏ね繰回すのが好きな方にはハマるのではないでしょうか。
個人的には、そういうひねくれた設定を前提に据えた上での、積み重なっていく物語が楽しみだったんですが、結局中田忍の部屋の中でエルフを住まわせるという最初のステップの段階で1冊が終わってしまっていて、“物語”という意味では物足りなさを感じてしまったかもしれません。


個人的な今月のお気に入り作品トップ5

第1位/ダンデライオン

第2位/六花の勇者6

第3位/ヴァイオレット・エヴァーガーデン 上巻

第4位/経験済みなキミと、 経験ゼロなオレが、 お付き合いする話。その3

第5位/お湯でほころぶ雪芽先輩 第2巻