2021年4月に読んだ本まとめ
2021年4月に読んだ本を多少の備忘録とともにまとめるやつです。
成田良悟「デュラララ!! 外伝!?」
主に公式海賊本に掲載されていた短編を再録した外伝短編集。
池袋の愉快なメンバーの愉快な日常が楽しめる、お祭り感満載の楽しい外伝作品でした。
「私の心は鍋模様」は本編のサイドストーリー的な感じで、各キャラたちが昔話に花を咲かせます。
臨也の一人鍋好きだったので、あのエピソードがフル尺になって嬉しいです。
静雄とトムの出会いのエピソードも、いい話でしたね。
「デュフフフ!」もコメディ全開で楽しいパロディ短編でした。
「デュランプ!」は自分は『ヴぁんぷ!』を読めていないので全てのネタは分からなかったものの、デュラララサイドとしてはほっこりできる良い作品だったと思います。
1冊通して感じたことは、やはりセルティは可愛いってことですね!
東野圭吾「真夏の方程式」
この作品……とても好きです。
ガリレオシリーズの長編3作目。
とある田舎の海辺にある町で見つかった遺体の物語です。
初めは単なる事故死にしか見えなかった遺体が、警察の調査や湯川の推理で、舞台となる宿の家族にまつわる大きな謎へと繋がっていきます。
とても複雑で入り組んだ関係性が少しずつ繙かれていくのを読むのは楽しかったです。
ですが終盤、事件に関わった人たちそれぞれが抱える悲しみや悩みが明らかになると、彼らの胸のうちを想像して目頭が熱くなってしまいました。
珍しく事件に協力的な湯川ですが、この作品では小学生の恭平くんと、親しげに科学の話をしていたのが印象的でした。
案外湯川先生はお子さんが生まれたら子煩悩になるのかもしれないな……などという妄想もはかどりつつ。
悲しい事件の物語でしたが、湯川と恭平のひと夏の思い出ばかりは、明るい思い出としてしまっておければと思います。
紗池晃久「GHOST GIRL ゴーストガール 第1巻」
ロザリオとバンパイアの池田晃久さんの新作!
悪霊から狙われやすい体質のヒロインのクロエと、彼女を守る使い魔たちのバトルコメディです。
バトル展開と合間合間のコメディのやり取りのバランスがちょうどよくて、とても楽しめました。
ヒロインはジャンプらしからぬアラサーヒロインながら、見た目はほとんどロリィタという尖りっぷり。
絵柄もとてもきれいで目にも楽しいので、これから先追いかけていきたい作品になりました。
細音啓「神は遊戯に飢えている。1 神々に挑む少年の究極頭脳戦」
暇を持て余した神々の遊びに挑む人間たちの物語。
神々という強大な存在を相手取り、頭脳戦でのゲームに挑む人間たち、という構図はなかなか燃える設定だと思いました。
主人公のフェイ、そしてヒロインであり元神さまでもあるレーシェがいずれも実力者であることから、難題とも思われる神々の遊びを閃きで攻略していく様は清々しくもありました。
「神々の遊び」という込み入った説明を端的に伝えたうえで、ふたつの対神ゲームを描いたのは、作品の導入としても読みやすい1冊に仕上がっていました。
大澤めぐみ「Y田A子に世界は難しい」
これはとても好きな作品でした。
主人公の和井田瑛子は、自我を宿したAI内蔵人型ロボットです。
わけあって女子高生として高校に通っている瑛子は、友達を作ろうとしてみたり、アルバイトや部活を通して世界と関わっていくこととなります。
まずロボットである瑛子の、独特な語り口がおもしろいです。
もちろん物語もおもしろく、瑛子がロボットである、という前提をうまく生かした青春小説として完成されています。
最初は無機質な思考しかしなかった瑛子が、失敗を繰り返しながらも世界と関わって変わっていく様は、読んでいて感動を覚えました。
瑛子にとって世界は難しいものですが、関わっていくことで好きなものや楽しいことも増えていく。
瑛子はロボットだけれども、これは実は人間たちにもまったく同じことが言えるのかもしれません。
新感覚の青春小説、とてもオススメです!
長岡マキ子「経験済みなキミと、 経験ゼロなオレが、 お付き合いする話。その2」
いや、甘っ!!!
お付き合い開始から一月が経って、未だプラトニックに恋を育む龍斗と月愛ですが……まあとにかく甘いです。
とにかく彼女に誠実であろうとする優しい彼氏と、その優さの全てが嬉しくてたまらない彼女。
順調すぎて何も問題がない完璧カップル。
物語的には海愛の仕組んだ出来事によってひと波乱あるものの、それすらこのふたりなら乗り越えてくれるだろうと読みながら思わせるだけの熱烈っぷり(ちょっとハラハラはしましたが……)。
スローテンポで愛を育むからこそ、見ていて微笑ましさを感じます。
月愛がギャルでありながら素直でいい子過ぎて、よくぞ元カレたちに心を汚されずここまで育ってくれた……と泣いてしまいそうです。
あと海で披露したビキニ姿は本当に衝撃的でした……かわいすぎる……。
海愛をこのままフェードアウトさせるのはあまりにもかわいそうなので、彼女にもなにか救いの手が待っていると良いですね……。
恋人が経験済み、という設定にもしっかり向き合って描いているのがとても好ましく感じられました。おもしろかったです。
三簾真也「お湯でほころぶ雪芽先輩 第1巻」
クールで恐れられている会社の上司・雪芽さんと、ひょんなことから銭湯で交流することになるお話。
普段は顔色が悪いから怖いけど、お風呂に入ると血行が良くなって明るくなる……というのはおもしろい個性でした。
雪芽さんが本当はかわいいと分かったあとも、結局普段は顔色が悪いから、怖いのは怖いまま、というのもおもしろかったですね。
キャラクターが個性的で、楽しく読めます。
実在のお風呂屋さんが登場するので、いつか行ってみたいな〜と思わされる作品でした。
西尾維新「掟上今日子の婚姻届」
今回のエピソードは、冤罪体質の隠館厄介が持ち込んだ、「好きになった異性を破滅させてしまう」女性に関する物語。
最速の探偵今日子さんによる謎解きがあったうえで、もうひとつ物語が発展していく構図で、楽しく読める作品でした。
楽しく読める、とはいうものの、破滅させてしまうという特性のため、読後感は少し暗めな感覚でした。
相変わらず今日子さんはひょうひょうとしていて、彼女のファンであるひとりとして、彼女の貴重な一面が見れたのも楽しかったです。
犬君雀「サンタクロースを殺した。そして、キスをした。」
これはすごい作品でした。
望まない願いのみを叶えるというノートを使って、不幸せなふたりが『クリスマスを消す』ことを目指す物語。
作品全体を陰鬱な雰囲気が包み込んでおり、ラノベらしい軽薄さはほとんど感じられない作品です。
しかし読み進めていくと、ぽっと小さな希望が灯されるような事実が浮き上がってきます。
僕と少女の関係や、望まない願いのみを叶えるノートの真実が明らかになると、そこからは溢れ出る切なさにページをめくる手が止まりませんでした。
不幸でありながらも幸福。そんな歪な、けれど確かな幸福を描いた作品でした。
どう足掻いても、この結末は不幸だと思います。
それでも、サンタクロースを殺したふたりならば、その不幸の中でも寄り添えると確かに思わせるだけの力がありました。
こんな切なくて苦しい恋物語が、あってもいい。
鴨志田一「青春ブタ野郎はロジカルウィッチの夢を見ない」
今巻のヒロインは、思春期症候群によってふたりに増えてしまった双葉理央。
咲太の友人にして、彼女持ちの佑真に片思い中と、ラブコメ的にはかなり難しい立ち位置だった彼女。
果たしてどんな物語になるのかなと思いましたが……まさしく思春期、そして青春の物語でした。
孤独感を抱いていた理央の気持ちと、そんなふたりのために奔走する咲太と佑真の存在はとても美しく見えました。
青春ブタ野郎シリーズはどのヒロインもとても魅力的ですが、理央のこともすごく好きになった1冊でした。
そして思春期症候群の魔の手は、まだまだ咲太に忍び寄る……。
初鹿野創「現実でラブコメできないとだれが決めた?」
現実世界は漫画じゃないから、ラブコメみたいなことは起こらない。
だから、自分でラブコメ展開を起こすしかない!
……という無茶苦茶な理論で現実世界でラブコメを目指す物語です。
ツッコミどころ満載の設定ですが、大馬鹿野郎の主人公には行動力と技術があり、あり得ないラブコメを現実のものとしていきます。
特に、イレギュラーから共犯者として巻き込まれることとなった、彩乃がかわいらしい。
ラブコメを生み出す裏方として暗躍しつつ、話の流れで表舞台にまで顔を出す大活躍。
まだまだここから波乱がありそうで、期待できるシリーズです!
個人的な今月のお気に入り作品トップ5
第1位/Y田A子に世界は難しい
第2位/真夏の方程式
第3位/経験済みなキミと、 経験ゼロなオレが、 お付き合いする話。その2
第4位/青春ブタ野郎はロジカルウィッチの夢を見ない
第5位/サンタクロースを殺した。そして、キスをした。