2020年9月に読んだ本まとめ

2020年9月に読んだ本を多少の備忘録とともにまとめるやつです。


桜庭一樹「GOSICK -ゴシック- VIII 上 ゴシック・神々の黄昏」

ついに訪れる“2度目の嵐”。
久城は日本へ強制送還され、ヴィクトリカはブロワ侯爵により監獄へと送られてしまいます。
あっけないほどに学園を後にするふたりでしたが、短い出立の場面はどちらも印象的でした。
ふたりがふたりを想いやっているのが感じられ、その二人の架け橋となっていたセシル先生が不可欠なピースとなって繋いでいたのが感動的でした。
久城からの手紙を受け取ったヴィクトリカは、名場面だと思いました。
セシル先生やアヴリルのような一般市民の日常も脅かされている戦争の影の描写が恐ろしく、震えました。
果たして離れ離れとなった久城とヴィクトリカはどうなるのか……続けて下巻まで一気に読みたいと思います。


桜庭一樹「GOSICK VIII 下 ゴシック・神々の黄昏‐」

2度目の嵐に巻き込まれた久城とヴィクトリカ。
ふたりに次々と襲いかかる苦難の連続に、ハラハラしながら最後まで一気に読んでしまいました。
ふたりの危機もそうでしたが、アヴリルも壮絶な嵐の中を生きていてひどく印象的でした。
エピローグでは久城とヴィクトリカのその後が描かれていましたが、アヴリルやセシル先生、ゾフィたちへの言及が無かったのが少し寂しかったですね。
きっと平和に新しい時代を迎えているのだと信じたいです。
1巻から物語を追いかけてきた最後の最後、グレヴィールに活躍があったのが嬉しかったです。
ふたりの物語は新大陸へと活躍の場を移すようなので、ここから先の第2期も引き続き楽しみですね。


協力:福本伸行、原作:萩原天晴、漫画:上原求,新井和也「1日外出録ハンチョウ 第9巻」

今回もおっさんたちの日常(地下強制収容者だけど)が垣間見れて楽しかったです。
「戦隊」のエピソードは地下の面々がみな少年になったような感じで、読んでいて微笑ましく感じました。
大槻や小田切が続々と沼にハマっていくのおもしろかったですね。
倉本さんも地下落ちしたとはいえ、地上では得られなかっただろうものを得ることができたのではないかと思います。
「未食」のエピソードも興味深いというか……ふつうにどじょう鍋が食べたくなりました。


虚淵玄「Fate/Zero1 第四次聖杯戦争秘話」

『Fate/stay night』の前日譚。
冬木市に集まる様々な思惑の魔術師たちにより、第四次聖杯戦争の幕が上がる。
この巻では主に、それぞれの魔術師たちが何を想い聖杯戦争に臨むかの背景が描かれています。
各々の召喚したサーヴァントも少しずつ明らかになり、本格的に聖杯戦争へと突入していく次巻以降にも期待が持てそうです。
自分はFGOのみプレイしていて『stay night』は未プレイなのですが、この作品を通じてFateという作品群に対するスタンスが自分の中でどう変化するのかも着目していきたいと思います。


山口悟「乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…1」

めちゃくちゃおもしろかったです。
ストーリーの基本はタイトルにある通りで、記憶を取り戻した悪役令嬢のカタリナが破滅フラグを回避するために奮闘する物語になります。
カタリナ本人の考える策ではなく、彼女自身による天性の人たらしっぷりで周囲の人間たちを次々骨抜きにしていく様がとてもおもしろかったです。
庶民的感覚の転生お嬢様が周りをひっかき回すのは王道の展開ですが、王道だからこその絶対におもしろいパターンがたくさん楽しめて最高でした。
悪役令嬢のはずが気づけばハーレム状態のカタリナ……。


山口悟「乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…2」

2巻ではいよいよ学園生活……つまり乙女ゲーム本編に突入。
主人公であるマリアも登場し、カタリナの破滅ルート脱出のための奮闘が光ります。
ほとんどお菓子食ってるか、畑耕してるか、人を誑かしてるかなんですが……。
学園生活でもカタリナの人たらしっぷりは健在で、そのあたりは1巻から変わらずおもしろかったです。
物語のクライマックスではまさかの友情が感じられたり、何気ないカタリナの言動が人を救ったりと、この作品の良いところが出ていたと思います。
ひとまず破滅ルートは回避したと思われるカタリナですが、続く物語でなにが描かれるのか引き続き楽しみにしたいと思います。


山口悟「乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…3」

無事にゲームの破滅フラグを突破し、一度終わった物語のその先へ踏み出したカタリナ。
今回のエピソードは魔法学園の学園祭で、楽しげな雰囲気。
その後は誘拐の憂き目に遭うものの、さすがはカタリナといったところで悲愴感は皆無。
それどころか誘拐されてるというのにまたしてもカタリナファンを増やしている始末……。
この人たらしはどこまで拡大していくのか、と思いきや最後の最後で大きなリードを奪う人物が。
鈍感なカタリナをよそに平たい争奪戦が続くものかと思っていたので、これは意外でしたね〜。


古寺谷雉「項羽と劉邦、あと田中2」

劉邦と項羽がそれぞれ蜂起するものの、まだまだ歴史の始まりの始まり。
秦の打倒に向けて各地で反乱が活発になり、一方で章邯も動き出すなど、ひとまずは史実通りに歴史が進んでいます。
ここまで項羽と劉邦の物語をおおよそ忠実になぞっているので、そろそろ田中が引っ掻き回していってほしいところですが、果たして。
そんな中で蒙琳が誘拐されるエピソードは先の展開が読めず、ハラハラしながら読むことができました。
2巻にして早くも田中、蒙琳と……。
有名な英雄たちも次々合流してきて、項羽と劉邦読んでるって感じがしてきましたね。


山口悟「乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…4」

卒業を目前に控えたカタリナたちに襲いかかる次なる事件は、キースの突然の失踪。
彼の行方を探るため、選抜メンバーでのキース捜索の旅が描かれます。
ジオルドが一歩先んじたことでカタリナ争奪レースがどうなるか……と思ってましたが、なるほどそういうかたちになりますか、とニヤリ。
義弟ということで割を食うことも多いキースですが、今回は苦しみの末にいいこともありましたね。
相変わらずカタリナは奔放でここぞの場面では信じられない膂力を発揮しており、運も手伝って、いよいよ最強のヒロイン状態に……。


伏見つかさ「俺の妹がこんなに可愛いわけがない15 黒猫if 上」

あったかもしれない俺妹の黒猫ルート編。
夏休み、ゲーム研究会の夏合宿を舞台に京介と黒猫、そして島で出会った謎の女の子との交流が描かれます。
メインヒロインの黒猫が可愛いのはもはや当然として、今回の見どころは俺妹にしては珍しい「すこし不思議な物語」、でしょうか。
夏合宿という非日常の中で、普通ではありえない不思議な出来事に巻き込まれる……というのはなかなか魅力的なストーリーでした。
上巻ですが、この1冊でめちゃくちゃ黒猫編としてまとまってて満足度高いです。
あと久しぶりに見た瀬菜ちゃんもいろいろ全開でよかったです。


山口悟「乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…5」

今回のはめふらはさながらファンディスクとでもいうような、いろんなキャラクターたちの背景を掘り下げる短編集でした。
「ライバルあらわる」のエピソードは短い中にはめふらの良いところが詰まっていて、おもしろかったです。
マーシャがどこかのタイミングで再登場してきたらおもしろそうですね。
「乙女たちの恋愛トーク」はカタリナだけじゃない鈍感女達の日常が垣間見れました。
ソフィアに勇気を出して声をかけてくれた人が、一番かわいそうでしたね……。
おまけの漫画も大ボリュームで楽しかったです。


川原礫「アクセル・ワールド10 ‐Elements‐」

物語としても巻数としても節目の10巻は短編集。
「遠い日の水音」はシルバー・クロウがレベル2になった直後の物語で、ここから先のネガ・ネビュラスの物語にも深く関わってきそうな人物が登場してきました。
「最果ての潮騒」は黒雪姫が修学旅行中の沖縄で巻き込まれていたもうひとつの物語で、大きなピンチとバトルがあり、すごくおもしろかったです。
そして本編にも関わる「そういうことね」という背景も描かれていたり。
沖縄のバーストリンカーたちも個性的かつおもしろいので、これから先も勢力拡大してほしいと思いました。