2024年8〜10月に読んだ本まとめ

2024年8〜10月に読んだ本を多少の備忘録とともにまとめるやつです。
(8〜9月は読んだ本が少なかったため、10月に一緒にまとめました)


竜騎士07「ひぐらしのなく頃に解 第二話 罪滅し編(下)」

鬼隠し編と対になるエピソードで、正気の圭一の視点から狂気のレナ、さらには本来ありえないはずの視点の記憶を読み解いていく構成が凄い。
それと同時に、鬼隠し編のレナがどれだけ優しかったかも伝わってきます。魅音はかわいい。
レナの籠城後の戦いは、警察も交えての総力戦でおもしろかったですね。
鉈を振り回しているレナに対して、体型的不利も気にせず奮闘する梨花ちゃんは、相当かっこよかったです。
他の部活メンバーがレナとの格闘時に負傷する中、荒事とは無関係のところで転んで怪我してる沙都子がおもしろかったです。


八目迷「ミモザの告白5」

ついに汐と付き合い始めた咲馬。
距離感的には友人だった頃からあまり変わらない中で、修学旅行で北海道へ。
正直、トランスジェンダーと付き合うということは性的指向についても問題になる部分があると思うので、そのあたりはこの2人らしい決着になったのかなと。
汐にとって初めての修学旅行を楽しい思い出にしてやりたいという想いから延長戦に突入するのは、咲馬やるじゃんと思いました。周りにはとにかく迷惑かけまくってるけど……。
ふたりの本音同士で妥協案を探り合うのが、とても良かったです。結局、腹を割って話し合うのが一番の解決方法だったんだなと。
この巻では出番こそ少なかったものの、猛省に猛省を重ねたアリサがとてもかわいくて良かったです。
誰か、アリサにもうちょっと優しくしてあげてほしい。そろそろどっかで報われてもいいでしょ、アリサは……。
とにかく汐にとって苦難の連続だっただろう高校2年生が終わり、これから咲馬と歩いていけるだろう明るい未来も感じられて、とても良い最終巻だったと思います。


木村浪漫「イエロージャケット・アイスクリーム」

サイバーパンクな世界観で描かれるゲーミング学園モノ。
ド派手に暴れまわるストーリー展開は、映像化したら華がありそうな感じがします。
読み進めていくと物語が急転換したり急加速する場面が多くあり、駆け抜けるような一冊でした。
洋画を文章で読んでいるかのような小洒落た台詞回しや気の効いた演出の仕方などは、刺さる人には刺さりそうな感じがします。
お嬢様大好きメイド型オーガノイドのエマがかわいくてよかったです。
独特な記号混じりの演出を多様する文体は、作者の受賞歴に冲方塾の文字があるのを見て納得しました。


日向夏「薬屋のひとりごと3」

陰謀渦巻く後宮にて、難事件を次々と解いていく猫猫。
今回はいよいよ帝から直々に指名を受けての随行など、順調に出世……ではないのでしょうが、後戻りできない深みまで踏み込んでいってる感も。
猫猫が小蘭らを医局に連れ込んで茶飲み場と貸してしまうなど、ほのぼのとしたシーンも多くて良かったです。
やぶが完全に、癒やしキャラみたいな立ち位置になってしまっているのですが……。
「怪談」のエピソードではシンプル怖い話を披露してきて、おもしろかったです。
しかしまあ水晶宮でまたしても一悶着あったりと、翡翠宮の平穏さがより際立ちますね。


風見鶏「放課後は、異世界喫茶でコーヒーを4」

異世界ながら穏やかな時間を楽しめる、大好きなシリーズです。
今回のお話のメインは、お店に逃げ込んできた鳥族の少女ティセの物語。
気弱で愛らしい彼女を優しく見守るろくでなしども……という、立場が違うからこそ萌える彼らの仲間意識が、とても心地よい1冊でした。
夜間営業期間中のお話なのでリナリアはやや出番少なめでしたが、その数少ない出番でとんでもない活躍を見せてくれます。これぞ、正妻の風格……!
スリの婆さんであるボニーさんがめちゃくちゃかっこよかったのと、代筆屋のセレネさんがかわいくて良かったです。


原作・クワハリ、作画・出内テツオ「ふつうの軽音部 第1巻」

ギター初心者・鳩野ちひろ、高校で軽音部に入る。
あんまりキラキラしてない地味な主人公が、部内の二軍三軍みたいや位置を寄せ集めた謎バンドを組むあたりはかなりリアルな雰囲気で良かったです。
で、そこからちひろの歌声を偶然厘ちゃんが聴いたことにより、お話が一気に加速していきます。
部内各所の火種が燃え始め、そして厘ちゃんの思惑通りのバンド結成への流れへと……。
正味、最初にちひろが地味男子交えた謎バンドを組んだ時「ど、どうなるんだこいつら……?」と思ってたので、ここからどんどんおもしろくなっていきそうで期待です。


原作・クワハリ、作画・出内テツオ「ふつうの軽音部 第2巻」

2巻目冒頭、いきなり惹き込まれました。
まあ1巻の引きの感じから大体そうなるんだろうなとは思ってはいましたが、期待した通りちひろのボーカルとしての魅力が明らかになり、めちゃくちゃ素敵な展開でした。
そしてそこから1年生ライブの挫折と奮起はものすごく熱くて良かったです。
矢賀ちゃんも言ってるけど、ちひろは普通にめちゃくちゃ努力できるからすごいしかっこいい……!
そしてバンドの正式な結成にむけて、こちらも全ては厘の手のひらのうえ……! 機熟……!
尖って見えてた藤井さんが結構常識的で普通なとこ、すごく良いと思う。


原作・クワハリ、作画・出内テツオ「ふつうの軽音部 第3巻」

陰謀渦巻く軽音部、の中でひたすらまっすぐにギター弾いてるはとっちがあっちこっちに影響与えまくってるのがめちゃくちゃ熱い。
藤井さんがすごくかわいかった、というのと厘ちゃんがどんどんはとっち信奉者としてヤバさを増していくのもおもしろい。
話が進むにつれて登場人物それぞれに背景やドラマがあるのが分かってきて、はとっちのみならず色んな人たち同士のやり取りがどんどんおもしろくなっていきます。
とりあえず今は、どうやって文化祭ライブに出るつもりなのかが気になりますね〜。そして遠野元くんかわいい。


手塚治虫「火の鳥7 乱世編(上)」

平清盛隆盛の時代、奇妙な運命に巻き込まれたマタギの弁太とおぶうの物語。
おぶうを連れ去られた弁太がどう清盛との物語に関わっていくのか読み進めていけば、牛若丸が登場してきたことで一気に「そういうことか!」となりました。
自らの死期を悟った清盛が必死に火の鳥を求める姿は、これまでのお話でも度々登場した不老不死を望む人々のそれと重なる感じです。
上巻でのエピソードは清盛の死まで。ここから下巻でどう話が転んでいくのか、とても楽しみです。


カミツキレイニー「魔女と猟犬3」

毎回凄まじい展開で度肝を抜いてくるこのシリーズですが、今巻もめちゃくちゃおもしろかったです。
物語の主軸は“海の魔女”ブルハ。
海賊の頭である彼女もまた他の魔女と同様に曲者で、その背景にある物語もかなり惹き込まれました。あとネルのやんちゃぶりがすごい。
物語終盤はなんと総勢14名にも及ぶ、陣営入り乱れての大混戦。
どうあがいても勝てなさそうな絶望的な展開から、乱戦ゆえの意外な展開が飛び出して形勢逆転が起こったりと、驚きの連続でした。
バトルシーンがとにかくかっこよくて、ひたすら駆け抜けるような展開が素晴らしい。


原作・青木潤太朗、作画・森山慎「鍋に弾丸を受けながら 第5巻」

コロナ禍が明け、ロブさんの待つアメリカ・シカゴへの旅行エピソード。
高級店の居並ぶ一角にあるハイグレードな釣具屋さんのエピソードが興味深かったです。
アメリカっていうのはフランクな接客態度のイメージではありましたが、実際のところは接客態度にもグレードがある、というのが真実に近いものなんですね。
ロブさんを交えたロドリゴさんとのブラジル編にも、めちゃくちゃ期待してしまいます。
描き下ろしは怪談エピソード集でしたが、方向性は違えどどのエピソードもめちゃくちゃ怖くて、ビビリ倒してしまいました……。


白鳥士郎「りゅうおうのおしごと! 盤外編2」

本編9〜16巻の店舗特典SSなどを収録した番外編エピソード集。
本編がシリアスな雰囲気になっている頃のため、SSでは各ヒロインに広く焦点を当て、かわいかったり楽しげな物語が多くて良かったです。
「ろりキャン☖」はドラマCDの小説化作品。JS研のみんなでキャンプに行くお話。
ゆるいキャンプモチーフかと思いきや、なんかいきなりひぐらしになってて笑いました。言われてみたら、確かに似てるけども。
いくら番外編とはいえ、桂香さんがあまりにも終わってしまっててかわいそうでした。あと、サイレント姉弟子もおもしろかった。
「運動会」は書き下ろし。
将棋棋士にとってなかなか触れる機会のない運動系のエピソードで、新鮮な感じがしました。
なんだかんだいいつつ息ぴったりな八一と銀子ちゃんの二人三脚が、とても良かったです。


乙一「大樹館の幻想」

乙一さん史上初の“館もの”本格ミステリ。
乙一さんには館ものみたいなガッツリ本格ってイメージはなかったので、どうなるんだろうな〜と思っていたのですが……いきなりお腹の中の胎児から声をかけられるところから始まり、「乙一すぎる!」となりました。
設定からしてファンタジー色を絡めた物語でしたが、館内で起こる事件の真相や、胎児の知る世界とのズレの正体などは全て合理的に説明がつけられ、紛うことなきミステリ作品でした。
館ものらしい遊び心を感じさせるトリックもあり、そもそも大樹を囲む螺旋状の館そのものがワクワクさせられます。


時雨沢恵一、原案・監修:川原礫「ソードアート・オンライン オルタナティブ ガンゲイル・オンラインXIV ―インビテーション・フロム・ビービー―」

今回のお話はビービーからの挑戦状に挑むMMTM、LPFM、SHINC連合軍のお話。
デヴィッドの恋路を応援するという背景もあってか、ドンパチしながらも雰囲気は和やか。
そして一行は、いよいよ謎に包まれたビービーのリアルに迫ることとなるわけですが。ま
さかの不意打ち気味に、美優のとある未来予想図が描かれていて、笑いました。そうなんだ……。
SAO本編において重要な日付に辿り着いたことにより、かなり最終回みたいな締め方はしているものの……あとがきを読む限り、少なくともまだ書きたいことはあるようなので、安心しました。


伊坂幸太郎「オー!ファーザー」

とてもおもしろかったです。
ワケあって、父親が4人いる高校生が主人公。
4人の父親がいずれも曲者揃いで、けれどそれぞれに由紀夫をしっかりと想っているのが伝わってくる、あたたかな物語でした。
とにかくやりとりの調子がライトで読みやすく、楽しい作品でした。
悪役が登場する場面ですらコミカルで、雰囲気はかなりコメディ。
まあ、4人も父親がいるような作品は、そりゃコメディか……とも。
物語のあちこちに何気なく描写されている事柄が、次々回収されては、また知らぬうちに伏線があって……という細やかさがとても好みでした。
伊坂幸太郎さんを読むからにはこういうのが読みたいよね、という想いに応えてくれるような作品です。
同級生の多恵子がかなりかわいくて、父親じゃないですが由紀夫は彼女をしっかりつかまえておいたほうがいいと思う。


原作:のりしろちゃん、漫画:魚住さかな「オタクに優しいギャルはいない!? 第8巻」

表紙のふたりがどっちもかわいくて尊い……。
天音との名古屋旅行、そしてまさかの一泊、とても良かったです。
いくら別部屋とはいえ、寝起きで館内着、そしてタイミング的におそらくノーメイク……は破壊力が凄まじいのではないでしょうか。
三角関係成立、ではありますが、ギャルのふたりがいい子たちすぎて泥沼感皆無でとても良かったです。
最終的にどちらかに選ばれるのか、まったく先が読めませんが……。
次巻の恋人デートエピソードでも、また進展ありそうで楽しみ。


中村颯希「ふつつかな悪女ではございますが9 ~雛宮蝶鼠とりかえ伝~」

今回もとてもおもしろかったです。
前巻で綺麗に仲直りしたと思わせておいて……まだまだ、さらに仲良くなる余地があったとは。
どこまで無二の親友になるつもりなんでしょうか、この雛女様たちは……。
立場的にはラスボスと言っても過言ではない皇帝・弦耀を前にして、いつもと変わらぬ雄々しさで啖呵を切る玲琳がかっこよかったです……というのと!
今回晴れて慧月が、道術に関しては才能があると明確に認められたのが大きなポイントでしたね。
これまで劣等感まみれだった彼女にもようやく誇れるものができ、今後の彼女に良い影響を与えそうです。


個人的な今月のお気に入り作品トップ5

第1位/ミモザの告白5

第2位/ふつつかな悪女ではございますが9 ~雛宮蝶鼠とりかえ伝~

第3位/オー!ファーザー

第4位/魔女と猟犬3

第5位/大樹館の幻想