2020年5月に読んだ本まとめ

2020年5月に読んだ本を多少の備忘録とともにまとめるやつです。


望公太「娘じゃなくて私が好きなの!?2」

お隣さんの10個は年下の男子大学生に惚れられたシングルマザーの話。
デートはするわ、綾子さんの会社の社長に巧くんを紹介するわ、めちゃくちゃ順調にイチャつく第2巻。
これこれ、こういうイチャつきを見たかったんですよこの作品は。
一線こそ超えてないものの、際どいところまで踏み込むシーンは何度もあって、綾子さんこれで検討中なの信じらんないな……。
第3巻に向けての引きは少し不穏なものでしたが、作品の雰囲気からして絶対に深刻なことにはならないだろうなあという安心感がありますね。


竹宮ゆゆこ「あなたはここで、息ができるの?」

すげえ……竹宮ゆゆこさんのSFじゃん……しかも竹宮さんらしく恋愛小説でもある。
物語の最初からヒロインの邏々が死にかけていて、宇宙人が現れて、そして過去へと時を繰り返す旅に出る。
ループ物の作品は今までそれなりに読んできましたが、中でもこの作品はぶっちぎりで息苦しさを感じました。
繰り返される過去の邏々の恋愛模様は青春で甘酸っぱいのに、ループ物としての側面は邏々の感情たっぷりの一人称視点も相まってかなり胸に迫るものがありました。
作品を読んでみるとタイトルの意味も重く感じられて、ちょっと読後はしばし放心しました…。


比嘉智康「ワーウルフになった俺は意思疎通ができないと思われている1」

比嘉智康さんおよそ2年半ぶり、4レーベル目での新作。
異世界転生したらワーウルフになっていた主人公がパートナーとなる人間の女の子と出会う物語。
異世界の世界観も楽しめますし、絆の物語としても胸に響くものがあっておもしろかったです。
異世界転生ならではの特殊技能の発揮も、意思疎通ができないと思われているマイナス要素と合わさっていい具合のバランス感覚で楽しむことができました。
1冊使ってエフデさんとの絆を描いたので、次巻以降でパリピやエミーナミーナがどう物語に絡んでくるのかが楽しみです。


今野緒雪「お釈迦様もみてる 潔き一票」

花寺学院の迎えた三学期、生徒会選挙のお話。
マリみてシリーズではあるけれど当然ながらリリアンと花寺は違う学校なわけで、読みながら「花寺の選挙の感じってこんななんだ」と思ったりしました。
リリアンでは持ち上がり感も強かったし、花寺の先輩たちのあっさりとした感じは新鮮でしたね。
そして改めて生徒会と向き合った祐麒たち。
「選挙病集団感染」はめちゃくちゃ良いシーンで、ジンときました。
祐麒は祐麒で、波瀾万丈な高校生活を送っているなあ。


八目迷「きのうの春で、君を待つ」

いや〜前作同様、青春と恋愛とファンタジー設定の組み合わせ方がめちゃくちゃうまかったです。
この作品はタイムリープに巻き込まれたカナエが、幼馴染のあかりと交流を深めつつ、タイムリープ初日に死んだことになっているあかりの兄を助けるのが目的の物語。
当初は単なるタイムリープ作品でしたが、読み進めるに連れて2人の互いへの想いが描かれたり、あかりと兄との関係性が描かれたりとどんどん青春モノとしてのおもしろさが増していった感覚でした。
物語の序盤にあった何気ないコミカルな場面が、作品にとって重要な意味を持つシーンになってたのも個人的にかなり良いなと思いました。
タイムリープで過去を変えようという作品はたくさんありますが、この作品は過去を変えるべきか否かという葛藤がうまく描かれており、その結果ふたりにとって望むべきエンディングを得られたのはとても良い造りだったなと。
2作品読んで、この作家さんは今後も継続して買う価値があると確信しました。


アサウラ「ベン・トー 11 サバの味噌煮弁当【極み】290円」

完っ璧な最終回でした(あともう1冊あるけど、実質最終章なので)。
これまでの1年間で佐藤が拳を交わしてきた、すべての狼たちとの絆が紡ぐ最終決戦。
最強の狼である金城とのバトルというだけでも熱いのに、シリーズ全ての伏線を回収するかの如く熱い展開は、ここまで読んできたからこその感動がありました。
マジでめちゃくちゃおもしろかったし、ここまで読んできて本当に良かった。
こんなにオールスター全員に見せ場を作れる作品って、なかなか無いと思います。
たかが半額弁当に、心の底から熱くなれる。
最高でした。


福山陽士「1LDK、そして2JK。II 〜この気持ちは、しまっておけない〜」

母親の失踪した親戚のJKと家出JKを自宅に住まわせるサラリーマンの話。
奏音とひまりが明確に自らの恋愛感情を意識しだして、友梨も物語にぐっと深く関わりだしてきました。
まだ危ういラインで距離を置いてる感じですが、ひまりが家を出るタイムリミットも設定されたことで意外と早い展開になるのかも? という感じがしています。
とりあえずギャルでありながら料理がうまく生活能力バッチリの奏音を放っておく理由が全く無い(自宅に招き入れているのもちゃんと理由があってだし)と思うのですが、そこのところどうでしょう。


西尾維新「新本格魔法少女りすか」

九州を舞台に『魔法の王国』である長崎県からやってきた魔法少女りすかと、彼女を手駒にしようと画策する小学生・創貴の物語。
魔法が存在する世界観ながらも、ミステリ的な要素も多少あっておもしろく読めました。
小学生らしからぬ野心家である創貴の一人称視点は多少癖がある文章と人格なので、その点は多少読み手を選ぶかもしれませんが、ストーリーはさすがといったおもしろさです。
個人的には創貴の振る舞いに「おいおい」と思う場面が少しあったものの、りすかとの衝突を経て少しは受け入れられるかなと思うようになりました。
水倉破記編が好き。


岬鷺宮「三角の距離は限りないゼロ5」

めちゃくちゃエロかったです。
……あ、いや、絶対最初に言うべき感想はそれじゃないんですけど、読めば分かるので言いますがめちゃくちゃエロかったです。ラノベでちゃんとエロくて俺は嬉しい。
今回の物語は進路に関する物語。
秋玻や春珂を含む仲間たちとは異なり自分の進路を決めかねている矢野くんが、職業体験を経て大事なことに気がつくストーリー。
恋愛面はというと、これまでなあなあ状態だったところから、秋玻/春珂との距離も急接近してきたところでいよいよ最後の取り合いがスタート。
二重人格の彼女の恋物語がどう決着するか楽しみ。


吉田創「ガールズ&パンツァー プラウダ戦記 第3巻」

クライマックスへ向け、いよいよ加熱していくストーリー。
前人未到の10連覇を目指す黒森峰の西住まほを巡るしがらみの描き方が、本編では決して触れられない角度からの物語でめちゃくちゃおもしろいです。
戦車道連盟の1年前の物語もここから描かれていきそうで、連盟の暗部みたいなものを描こうとするのはこの作品ならではかと。
その一方でカチューシャの安眠と引き換えのノンナや、アールグレイなど、コミカルなシーンも楽しいのが本当に魅力的でしたね。
補欠枠選抜戦も熱い展開でした。生き残ることができるのも、立派な武器です。


東野圭吾「聖女の救済」

ガリレオシリーズの第5作目の長編ですが……いやーーーちょっとこれは、すごすぎますね。
夫人の不在の中、自宅でひとり毒殺された旦那。ではその毒はどこで混入されたものだったのか? というシンプルなポイントを解き明かすのに、ありとあらゆる方向から、被害者の過去までひっくり返してようやく到達した凄まじい真相でした。
『聖女の救済』という作品のタイトルの意味や表紙の意味も、中身を読むと「そういうことかよ!」と膝を打ちました。
あまりにも荒唐無稽なトリックで、だからこそそれを成立させた犯人の精神力の強さが感じられて……凄い。


渡航「やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。2」

何か大きなストーリーがあるというわけでもないけれど、読んでて楽しいライトノベルらしいライトノベルだなと。
2巻は主に勉強会と職場見学、そして、川崎沙希とのエピソードが主軸。
青春ラブコメとして結衣がこれ以上ない立ち回りをしてくれているのにも関わらず、エピローグのわずか数ページで「まちがっている。」方向にぶち込んでしまうあたりの潔さは好き。
川崎編はとりあえず解決したみたいだけど、ヤンキーになったのは自身の性質……?
オタク系日常コメディ+ラブコメとしてのバランスが良すぎるのと、結衣が超かわいい。


杉井光「楽園ノイズ」

いや……ちょっと、うますぎて読んでて言葉失っちゃったな。
ネットミュージシャンをしている主人公の真琴が、音楽教師の華園先生を通じて交流することとなった同級生の女の子達と音楽を奏でる話。
ヒロイン一人ひとりとの出会いから、それぞれの抱えている悩みを解決していくまでの物語が実に鮮やか。
作品に一貫したテーマである「音楽」でガツンと読者をぶん殴ってくるパワーがあって、とんでもなく惹き込まれました。
音楽の描写がとても細かく、そちら方面に疎くても凄さや熱さが伝わってくるのが素晴らしいですね。
ただでさえ音楽小説としてもパワーがあるところに、ひねくれ者の凛や真琴への好意を隠す気配の無いお嬢様の詩月、明るく陽気な朱音という強烈な個性のヒロインたちとの思わず笑ってしまうような小気味よい会話も大きな魅力。
ストーリーもキャラも素晴らしく、読めば笑って泣いて胸が熱くなること間違いなし。
めちゃくちゃ好きな作品でした!
そして335頁のアレ、演出が良すぎる……!


紀ノ上晟一「となりの布里さんがとにかくコワい。 第2巻」

全然コワくない、とにかくカワイイ。
新キャラの河合もも初登場と、夏休み編。
夏休みだと布里さんの私服がたくさん見れていいですねえ。
布里さんがたくさん片想いをして、たくさんイチャイチャしてます。
ふみちゃん先生、旅館で浴衣で髪おろしたらめちゃくちゃ美人で笑ってしまった。あんな美人になったら、もっと触れられてもいいだろ。


谷川ニコ「私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い! 第16巻」

いやこれ、めちゃめちゃ凄くない?
どこが凄いっていう分かりやすいポイント一切無いのに、「ここすげえ」が信じられないくらいあちこちに散りばめられている。
こんなんどうやって作るんだ。
謹慎エピソードだけでこんな色々突っ込めるものなのか。


鎌池和馬「新約 とある魔術の禁書目録7」

新約に入ってからはもう毎回そうだけど、今回もめちゃくちゃ壮大なスケールの話でした。
常盤台中学を含むお嬢様学校の集まる『学舎の園』に郵送された上条が、女の子達に追いかけ回されながらドタバタ走り回る感じは、最初期の(まだ比較的)平和だった頃の禁書目録を彷彿とさせる感じでおもしろかったです。
物語中盤からは一気にきな臭い展開に突入していき、ある意味ではオールスター総動員といった趣きで、読み終わってみるとめちゃくちゃ豪華な1冊でした。
しかしまあヒロインズの置いてかれっぷりったらないな……。