久しぶりの勝利が嬉しすぎてマッチレビューを書きました【AZ-フェネルバフチェSK:Europa League Match4】

試合終了のホイッスルが鳴った瞬間、思わず拍手をしていた自分がいた。勝てたことにホッとし、今後への希望が持てたという喜びから出た拍手だったと思う。
このチームはまだまだやれる。
そう強く思った試合であった。

戦前予想

ヨーロッパリーグ Match4、AZはフェネルバフチェと対戦。
AZは1ヶ月半勝利が無いことに加えてクラーシ、サディク、ファン・ボメルなど怪我人が多数、さらに左サイドバックのレギュラーであるウォルフが出場停止とチーム状況はとても厳しい。
特にチームの柱となっていたクラーシと攻撃のポイントにもなっていたウォルフの不在は大きいのではないかと思っており、この試合はとても厳しい戦いになるだろうと踏んでいた。

この試合ではクラーシの代役としてクワクマンが先発出場。
22-23シーズンのユースリーグ優勝メンバーであり、当時試合を見た時はサイズがあって良いボールが蹴ることが出来る選手だなという評価をしていて今シーズン密かに期待を寄せていた選手でもある。
途中出場したトッテナム戦では才能の片鱗を見せており彼の出場はこの試合の楽しみの1つとなった。

一方フェネルバフチェはスュペル・リグ🇹🇷3位の強豪チーム。
ジェコ、タディッチ、サン=マクシマンなど実力者を揃えており監督はあのジョゼ・モウリーニョ、メンバーを見ただけでも手強いチームであることがわかる。
特にタディッチにはアヤックス時代にコテンパンにやられた過去があり、マッチアップするであろう左サイドバックのミース・デヴィットがどこまで対応できるかがこの試合の鍵となるだろうと予想していた。
他にも毎熊がどれだけサン=マクシマンに勝てるのか、果たして今の守備陣でジェコを抑えることが出来るのか…などAZの守備陣vsフェネルバフチェの攻撃陣はこの試合で最も心配していたところである。
それだけ質の差はあると感じていた。

アスレティック・ビルバオやトッテナム、PSV、フェイエノールトにただひたすら質で殴られた10月。
自分自身フェネルバフチェの選手のネームバリューに試合前はとてもネガティブになっていた。
特に主力選手の不在は心を折るには十分で、うっすら週末のヴィレムⅡ戦が勝負とまで思っていた。

ただこのチームを見続けて思っていたのは「悪いチームでは決してない」ということである。
この結果に批判は多いもののパロットを始め若手選手たちのポテンシャルには可能性を感じており波はあるが噛み合えば上位チームを食うことができる存在だと信じてやまなかった。
実力的には足りてないかもしれないけどロマンは確かに感じるチーム。

チーム状態も良くないのはわかっているので結果を期待するのは酷だと頭ではわかっている、ただ心の奥底では勝利の味を欲している自分がいる。
この試合ではその2つの相反する気持ちを抱えながらの観戦となった。

前半

AZは非保持の際はマイナンスを一列上げての4-4-2の形で守る。
パスコースを切る形でプレスをかけ相手が出しどころがなくなったところで一気に詰めるというスタイルはいつも通りである。
相手の最終ラインやボランチにパス精度が高い選手がいるとライン間に楔のパスを通されそこに食いついたところに裏にスルーパスを出され一気にピンチを迎える、といった光景が今シーズンは見られた。
ただフェネルバフチェの選手のオフザボールの動きがあまり多くなく、そのような場面はあまり現れず。
逆にパスコースがなくなって大きく蹴るといったシーンがよく見られた。
セカンドボールの反応はAZの方が良くまたフェネルバフチェは選手間の距離も大きかったため序盤は良い形で攻撃を展開させていなかったが、時間が進むにつれてサイドからプレスを剥がされAZゴールを脅かすシーンを何度か作られた。

ジェコ、サン=マクシマン、タディッチの個の能力はやはり脅威。
ジェコはなかなかボール失わないしタディッチはとんでもねぇパス出すしサン=マクシマンのドリブルはなかなか止められそうにない。
ワンチャンスでやられる可能性は十分にあり、実際ジェコの抜け出しから2回決定的なピンチを迎えるもオドゥロの好セーブに救われた場面があった。
またラフドが守備の際ポジショニングが曖昧だったため左サイドが数的不利になるシーンもありどうにか修正してほしいなと思いながら見ていた。

一方でボール保持の際はクワクマンが完璧な仕事をやってのけた。
パスコースを作るポジショニングでビルドアップを円滑に行い、またボールの受け方や受ける位置も素晴らしくAZの攻撃の起点になっていた。
正直ここまで素晴らしいとは思っておらず想定以上の出来にひたすら感動。クラーシ戻ってきても居場所が無いかもしれないぞと思わざるを得ない前半のクワクマンだった。
ボール奪取能力もあるため本当にこのままスタメン奪取してしまうかもしれない。

クワクマンとマイナンスを中心に攻撃を組み立て、ラフドやアッダイに良い形でボールが入ることも何度かあったがバイタルエリアでの崩しのアイデアが足りず決定機を作るまでは至ることができなかった。
サイドバックとの連携もそこまでうまくいっておらずクワクマンがとても良いだけにもどかしさが残る前半であった。

後半

後半頭からラフドに替えてダールを投入。
ダールが守備をさぼらずやってくれるため多少安定し、またアッダイのポストプレーからパロットが裏に抜けたりマイナンスとクワクマンの連携などでチャンスを作る場面があったがシュートを打つところまでは至らず。
逆にジェコのポストプレーからサン=マクシマンに決定機を作られあわや失点というシーンがあった。
後半もクワクマンの存在感はすさまじくボディフェイントから一気にゲインしたシーンはフラーフェンベルフを感じた。

一進一退の攻防の中、ついに試合が動く。
毎熊からパスを受けたパロットが右サイドにいたマイナンスにはたくとマイナンスはDFをかわし一気に前進。中央にポジションを取っていたアッダイにクロスを上げるとアッダイはワンタッチでパロットへ落とす。ボールを受けたパロットが裏へ抜けたダールへ浮き球のパスを出すとダールがそれをダイレクトで流し込みAZが先制!
難しいシュートだったが見事に枠に流し込んだダールはヨーロッパリーグ初出場。素晴らしいヨーロッパデビューとなった。

ここで試合が落ち着けばよかったが一筋縄ではいかなかった。
コープマイネルスがクリアし損ねたボールを拾われジェコへスルーパス、ミース・デヴィットが後ろからジェコを倒してしまいフェネルバフチェにPKが与えられた。
得点した直後だっただけにもったいないシーンだった。

同点で仕切り直しかと思った直後、エンネシリが蹴ったPKはオウス・オドゥロが見事にセーブ!エンネシリの助走フェイントに最後まで動かなかったのが大きかったように思う。
オウス・オドゥロはこれで3本目の決定機阻止。

この直後にアッダイに替えてスミットを投入。
スミットは積極的にボールを受けにくるタイプでアッダイとはまた違ったウインガー。ボールに絡めるので右サイドの活性化が期待できる。
するといきなりチャンスが。素早いプレスからボールを奪ったダールが裏に抜けたパロットへパス、逆サイドに走りこんでいたスミットにパスを出すがシュートは惜しくも枠の外。2点目とはならなかった。

チャンスの後は危ないとはよく言ったものでその直後、ジェコのクロスに対し毎熊の対応が遅れオドゥロも前に出ることができずエルネシリに詰められて追いつかれる。
オドゥロはさっきのPKを止めていただけに本当にもったいない失点だった。
シュートストップはいいものを持っているが、クロスに対する判断力はまだ課題があるかもしれない。
そこさえ改善することが出来ればシーズンが終わる頃には大きな存在になっているかもしれない。

ここでミース・デヴィットとパロットに替えてカシウスとミールディンクを投入。
すると75分、待望の勝ち越しゴールが生まれる。
ボールを受けたスミットがボディフェイントで一人かわしマイナンスへスルーパス、マイナンスがヒールで落とすと再度ボールを受けたスミットがシュートフェイントでブロックに来たDFをかわしそのまま流し込んでAZ勝ち越し!
スミットが投入されて以降毎熊が攻撃参加できる頻度が増え、チャンスは作れそうと思っていたが最高の結果になった。
ゴールが決まった瞬間、喜びを嚙みしめながら画面の前で何度もガッツポーズをしていた自分はどんな姿だっただろうか。

最高の形で勝ち越した後はペネトラ、デッカーを中心に守備陣が奮闘。なりふり構わず前線にボールを入れるフェネルバフチェに対して決定機を作らせずにいると86分、相手のパスミスから最後はスミットのスルーパスに反応したカシウスがゴール!
決定的な3点目をAZが手にした。

スミットは今日1ゴール1アシスト。最高の一日になった。

フェネルバフチェは最後まで前線にボールを送り続けるも得点を奪うことは出来ず、3-1でAZが勝利を収めた。

総括

クワクマンは最高の出来であった。
この試合でのオフザボールの動きとボール捌きはスタメンをもぎ取るには十分だったであろう。
相手を剥がせてボールを運べて捌ける上プレス行くところは行ってくれる、見ていてとても楽しい選手。
細かいパスミスはあったもののそれを上回る存在感でチームの攻撃の中心となっていた。

途中出場のスミットはマイナンスや毎熊とシナジーが良さそうに見え今後も起用が増えそうである。
3人とも周りを見ながら柔軟なポジショニングが出来るためボールを持つ展開になりそうな試合ならスミットは重宝されるのではないか。
球離れも良いのでパス回しも円滑になる。

この結果で中盤と前線の課題が一気に片付きそう。まさに怪我の功名。
クワクマンとスミットを始め若い選手たちには引き続きチームに活を入れてもらい、エールディビジでもこの勢いが継続されるよう監督・コーチ陣はしっかり選手たちをマネジメントしてもらいたい。

プレシーズンマッチで毎熊とパロットに可能性を感じて以降、しっかりAZを追いたいなという気持ちが今シーズンは強くあった。
ありがたいことにFODのエールディビジ配信ではAZの試合が割り当てられることが多く、AZを追うには最高の環境になっている。
おかげさまで今シーズンの試合はほとんど見ることが出来ているがそれゆえに最近の結果にもどかしさを感じており、また落胆もしていた。

ユースリーグ優勝メンバーはここまで目立った結果を残すことが出来ておらず本当にトップチームで戦えるのか?と疑問の目を向けてしまうこともあった。
ポク、アッダイのプレーにもっと出来るでしょうと思ってしまうこともあった。
しかしこの試合のクワクマン、スミット、ダールがそのモヤモヤを全て払拭してくれたことはご覧の通り。
彼らのプレーを見て久しぶりにワクワクした。
フェネルバフチェがあまり良くなかったとはいえあのメンバー相手に最高のゲームをしたのである。
もうちょっと早く存在に気づいて欲しかったなぁと思いつつ今後の試合が楽しみになっている自分がそこには居ました。
今シーズンのAZはまだまだ面白くなるぞ。

信じてみてもいいか?このチームを。

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