近代オリンピック① 黎明期
近代オリンピック①
黎明期
(黎明(れいめい)…明け方。の意)
第1 〜 5回
オリンピック競技大会
1896年 : アテネ (ギリシャ)
1900年 : パリ (フランス)
1904年 : セントルイス (アメリカ)
(1906年 : アテネ)
1908年 : ロンドン (イギリス)
1912年 : ストックホルム (スウェーデン)
*参加国・地域数
14 - 13 - 13 - (20) - 22 - 28
*参加人数 - 競技/種目数
アテネ - 241 - 8/43
パリ - 1,225 - 19/95
セントルイス - 689 - 16/89
(アテネ) - 903 - 13/78
ロンドン - 2,035 - 22/110
ストックホルム - 2,437 - 15/102
クーベルタンの提唱により、第1回オリンピックを1896年ギリシャ王国アテネで開催することになった。
資金集めに苦労し、会期も10日間と短かった。
が、バルカン半島の小国の一つという国際的地位をいっそう向上させたいというギリシャ王国の協力もあり大成功に終わった。
しかし、1900年のパリ大会、1904年のセントルイス大会は同時期に開催された万国博覧会の附属大会に成り下がってしまい、賞金つきの競技(1900年)、キセルマラソンの発覚(1904年)など大会運営にも不手際が目立った。
(1908年パリ大会において、メダルが与えられたのは、クーベルタンが運営に関わった陸上競技のみ。
そして、このメダルが実際に選手に届いたのは2年後のことであったといわれている。また、現在では陸上競技のみがオリンピックだったと公式に定められている。)
なぜ、第2→3回で参加人数が大幅に減少している?
地理的な条件が理由かと憶測したが、それだけではないようである。
資料の記事。
北米大陸の内陸部にあるセントルイスまでの交通難、さらに同年の日露戦争勃発による国際関係の緊迫化などを理由に、ヨーロッパ勢は大幅に参加国が減少した。
結果、 全参加者689人の中、アメリカ合衆国からの参加者は523人。
隣国のカナダも北米大陸以外の選手総数と並ぶ52人が競技に参加した。
91種目中42種目ではアメリカ以外の参加者が不在で行われ、金メダル数でも全96個中アメリカが78個を獲得して、近代オリンピックでは空前絶後の独占率となった。
そして、キセルマラソン。
オリンピック史に残る不名誉な事態が。
アメリカのフレッド・ローツが高温と疲労のため20キロ過ぎで道に倒れ、たまたま通りかかった自動車に乗せてもらい競技場に戻ることになった。
ところが競技場に向かう途中で車がエンストで止まってしまい、そこから再び走り出してゴールするという不正をはたらいた。
1着でゴールしたが、ゴール直後に車の運転者の告発により即座に不正が発覚し優勝は取り消され、その後ローツはマラソン界からの永久追放を命じられることになった。
これがマラソン史上に言われる「キセルマラソン」事件である。
ただし、ローツはほどなく復帰が認められ、翌1905年のボストンマラソンで優勝している。
1904年セントルイス大会、代わって優勝したヒックスのタイム、3時間28分53秒は五輪史上最も遅い記録である。
なお、このときヒックスは興奮剤入りのブランデーを飲んで走っており、現在のルールではドーピング違反となるが、当時はドーピングに対する明確な禁止規定は無かったため、ヒックスの優勝は現在も公式に認められている。
1908年のロンドン大会、1912年のストックホルム大会から本来のオリンピック大会としての体制が整いだした。
1908年ロンドン大会は本来、ローマ(イタリア)で開催される予定だった。 が、1906年にイタリアのヴェスヴィオ山が噴火し、その被害がローマにも出たため、急遽ロンドンでの開催となった。近代オリンピックでは初めて、自然災害により開催地が変更された事例となる。
そして、この大会から、オリンピックの参加が各国のオリンピック委員会を通じて行われるようになった。
1908年のロンドン大会ではマラソンの走行距離は42.195kmであったがこれが1924年パリ大会以降固定され採用されている。
(なぜ、こんなに端切れの悪い数字かと言うと、時の王妃アレクサンドラが、「スタート地点は宮殿の庭で、ゴール地点は競技場のボックス席の前に」と注文したため、という逸話がある。)
そして、初めて国旗を先頭にした入場行進が行なわれるようになった。
さらに、1912年ストックホルム大会。
この大会で初めて日本がオリンピックに参加した。
ちなみに。
この時期には古代オリンピックに倣いスポーツ部門と芸術部門のふたつ競技会が開催されており、クーベルタンも1900年パリ大会で芸術部門で金メダルを獲得している。
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