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【ロボットの基礎知識(03)】産業用ロボットの種類

皆さん、こんにちは、JapanStep(ジャパンステップ)です。
いつもJapanStep公式note、MetaStep(メタステップ)をお読み頂き、ありがとうございます。

今秋11月にローンチ予定のJapanStepメディア第2弾「RoboStep(ロボステップ)」を控えたいま、ロボットの基礎知識を学ぼうという本企画。
まずはロボットを大きく2つの分類
①産業用ロボット ②サービスロボット
に分けてそれぞれ学んでいきます。

今回は①産業用ロボットの種類です。(前回の「産業用ロボットの構造」もご覧ください。)

産業用ロボットの種類

国産の産業用ロボット制作におけるパイオニア「川崎重工業」のWebサイトによると、産業用ロボットの種類は6タイプに分類されます。

その分類方法は作業種類別、産業分野別、サイズ別など様々ですが、同社では「関節の種類と構造」にベースに分類しています。
ロボットの関節は、人間の肘や手首と同じように動く回転関節と、上下・前後・左右に伸縮することで動く直動関節があります。

ロボットの先端部をイメージしてみてください。
先端部を空間の任意位置に運ぶためには、「縦・横・奥行き」を指定する必要があり、最低3つ以上の関節が必要です。さらに、先端の角度(縦・横来回転)まで考慮すれば、最低でも6つの関節が必要になります。

複数の関節をどのように配置するか。これにより、ロボットの種類は以下の6つに分けることができます。

1.極座標型


砲台のように中心に旋回軸があり、作業を行うアームは上下回転と伸縮が可能なロボットです。産業用ロボットの初期に広く普及しました。

国産第1号の産業用ロボット「川崎ユニメート2000型」もこのタイプです。

2.円筒座標型


旋回軸を持ち、アームが伸縮するところは極座標型と似ていますが、こちらのアームは上下回転ではなく上下方向に移動するロボットです。特徴は極座標型とほぼ同じで、こちらも初期に多くのロボットで採用されていました。現在でも、液晶パネルの搬送などに利用されています。


3.直角座標型


3次元の動きを直交スライドのみで実現するロボットです。ゲームセンターにあるクレーンゲームがこれにあたります。
作業範囲に対し、設置面積が大きくなりがちですが、精度が高く、制御が簡単という特徴があります。重量物の搬送などに利用されています。


4.垂直多関節型 


現在、最も普及しているタイプの産業用ロボットです。垂直多関節型は、人間の腕の構造に近いスタイルのロボット。動きの自由度が非常に高く、回り込んでの作業も得意ですが、制御はやや複雑になります。自動車の溶接など、様々な用途で使われています。

下記の動画は、自動車のボディの溶接とバイクのフレームの溶接作業を、垂直多関節ロボットが行っている動画です。

5.水平多関節型(スカラ型)ロボット


水平方向の動きに特化したロボットです。関節の回転軸が全て垂直に揃っているため、水平に高速移動して平面位置を決めてから、先端部を上下に動かします。半導体の基礎となるウエハの搬送や、基板の組み立てなど、平面的な作業で幅広く利用されています。

ちなみに「スカラ」とは「Selective Compliance Assembly Robot Arm」の略。
Selective Compliance Assembly=選択コンプライアンス構造とは、水平方向のコンプライアンス(=命令順守。※筆者の解釈では、「作業における稼働能力」)が高い構造のこと。


6.パラレルリンク型」


前述の多関節型は関節が直列(シリアル)に繋がったタイプでしたが、パラレルリンク型は並列(パラレル)に配置されたロボットです。一般的には、3本のアームで先端部の位置を制御する方式が多く、ベルトコンベアで流れてくる食品の整列や選定などに利用されます。可動範囲はやや狭いものの、各関節が直接、先端を制御するため、非常に高速に動けるという特徴があります。

下記は川崎重工のパラレルリンクロボットYF03Nが、シソの葉をサイズ別に素早く並べていく動画です。


筆者の主観ではありますが、基礎的な動きは前半の1~3、一般的にイメージされるのが後半の4~6というイメージですね。

もちろん上記は原理的に分類したものであり、ロボットで扱う対象や現場によって、どのように使い分けられているかも考慮するとさらに分類は広がっていきます。
例えば食品業界においても、直接食品に触れるのか、包装をするのかで適切なロボットは違ってきます。さらにどんな食品か、どんな包装か、まで考える必要もあります。

産業用ロボットの種類まで知ることで、今までざっくりと捉えていた「産業用ロボット」の解像度が高くなってきましたね。

いったん「産業用ロボット」の説明はここまでにして、次回は種類を変え「サービスロボット」について解説していきます。お楽しみに!


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