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第15話〜「ごめん」のその先〜

マリンは【ナガセアミ】というタイトルと音符のアイコンが表記されたメセージ画面を見ては、深くため息をついた。
数日前、突然あみから届いた、「ごめん、もう一緒にできない」とだけ書かれた吹き出しをじっと見つめる。

何度もメッセージを送っているが返事がない。
最初の何回かは既読もついていたが、今はもう見てもないのだろうか、既読にもならない。完全にマリンからの一方的なメッセージ画面になっている。

一回だけ、マリンがしつこく電話をかけたりメッセージを送った後に返事がきた。

「ごめん、迷惑かけるから」
そこにはそれだけ書いてあった。

意味がわからない。なんで?
あみから誘ってくれたのに。何かイヤになったの?

高校に入り、やっとできた友達。
それに大事なものを共有できる仲間。
未来のことなんてわからないけれど、マリンには、あみとはこの先もずっと友達でいられそうな予感のようなものがあった。
言葉にすると恥ずかしいけれど、音楽という世界を共有した仲間になれるん
じゃないかと思っていたのだ。

そんな風に感じることはもちろん初めてで、これからのことを空想するたびに、胸の奥の方がキューっとなって、未来に光が差しこむような、そんな感覚があった。

なのに……。単なる勘違いだったのかな。
マリンはベットに寝そべると、二人で公開した動画を何度も見ながら、そこについたコメントを読んだりしていた。
と、まだ読んでなかったコメントが目に入り思わず起き上がる。

<コイツの作る曲、何が良いのかわかんない>
ブルっと心の芯が震えるのがわかった。

それまで好意的なコメントしか並んでなかった。
もちろん、自分たちで公開してコメントももらえるようにしているのだから、褒めているものだけじゃないとはわかっているけれど。

それにしても、なぜこんなストレートな悪意に満ちたコメントが書けるのだろう。マリンは恐る恐る、そのアイコンの先に行ってみた。

そこで、あみが「迷惑をかける」といった理由を見つけた。