社長の動かし方:社長のアンテナになろう
社内でいろいろと検討して、最終関門は社長ってことは多々ありますよね。でも過去の傾向から、これって絶対無理だよね…と諦めちゃうケースも同じく多いんだろうと思います。
私がコンサルタントとしてクライアント企業に入る時は、先方もプロジェクト意識で「変わること前提」なので、まだお話が通りやすいタイミングだろうと思うのですね。
それでも、社長や経営ボードからの想いも託されているし、現場メンバーの想いも吸収して自分の中に溜まっているし、両者の想いを結集して落としどころを探りながら、やはり両者の仲介役に徹して迷うことも多い訳ですが。
そういうレアケースの時だけではなく、普段の業務の中で社長を、上をどう動かしたらいいんだろうか、そんな時にお役に立つかもしれない考え方を、いろんなケースを思い出しながら書いておきたいと思います。
社長ってどんな気持ち?
まず、社長ってどんな気持ちなのか?を考えることが大切だと思うのです。社長だって人間。実は不安なんです。何が不安か?一番は、社員や部下の気持ちがどこに向いてるのかを本当は知りたいけど聞きづらい、ここに尽きるんじゃないでしょうか。
戦略を考えたり実行したり上や周りを動かすことが得意だったから社長になってる。まれに違うケースもあるとは思いますが、おおよそはそんな方が社長になられているでしょう。
そんなデキル社長でも、必ず直面する壁があります。自分がトップになると周りにYESマンが多くなること(これは人間のサガ)、そして現場が遠くなるので現場や若手の気持ちが分からなくなること。
だから、結論から言うと「率直に事実や気持ち、提案などを伝えましょう」と言うのが正解です。これが社長は聞きたいのです。デキル社長は本当のことを言ってくれる人を見抜き、側におきたがります。役職は置いといてね。
率直に話した結果けむたがれた、左遷された、聞く耳を持たれなかった、そんな場合はその会社の未来はありませんから、早めに離れましょう。もちろん、お話しする内容が自己中心であったり的外れではないことが前提ですけれども。
自分の話が的外れではないかは、事前に周囲の同僚に話して賛同が得られるのかを確認しておきましょう。ランダムに話して5人中3人が同意してくれるなら、それは正しい方向だと思ってもいいのかな、と私は思います。いつもの仲間ではない人も含めてランダムに、です。
現場を見せる
次に大切なのは、自分が提言した内容がリアルだと感じられる現場を見てもらうことです。もしくは、データを提示することです。デキル社長ならその証拠を見逃すことはありません(もし見逃すなら…です。)
社員の何人中何人がこう言ってました、最近こんな声が聞こえてきますが何々の兆候じゃないかと思います、そう耳に入れつつ、実際のケースを見せるのです。社長はいつでも気づきを求めています。
仮説と提案を提示する
その上で、見せっぱなしではいけません。なんやこいつ?かき乱しといてとなっちゃうから。
「ですので、おそらくコレコレが必要なのではないかと思います」、と提案も一緒に提示する必要があります。そしてこの提案は、間違っててもいいのです!だって問題に着目したばかりで、検証するのはこれからなんですから。だけど仮説がないのはダメなんです。アイディアがなくただ問題を伝えるのは単なる通報者です。社長が求めているのは社内の異常値(いいものも、悪いものも)を知らせてくれるアンテナ社員と、さらに仮説提案を示してくれる同志なんです。そう、同志。
アラームを教えてくれ、さらに間違っててもいい、仮説を提示してくれる人は社長にとってもはや同志なんです。そうはおっしゃらないと思いますが、きっとそう思われています。そして、そこから一緒に検証していければいいんです。
自分のアンテナを大切に
だから、結論としては、社長は自分以外のアンテナが社内に欲しいということです。もちろん実行部隊とか、言うことを真面目に聞いて賛同してくれる人とかも必要なんですが、それは絶対にどの会社にもいるので、レアなのはそこじゃないんです。
社長を動かしたいと思えば、会社全体のメリットを考えた時に絶対にこの方がいいよね?と思える点を自分の中に蓄積しながら、タイミングを見てそれを社長もしくは近しい経営ボードに率直かつ冷静に伝えること。この時、愚痴は論外ですけれど、それが愚痴なのか改善提案なのかは、どれだけの人に変えた結果のメリットがあるのか?が判断材料だと思います。そこのジコチュー度合いは社長レベルの人は見抜きますから、反応がなかった場合は少しその可能性も考えてみる必要があるかもしれません。
間に入らない
シンプルには以上ですが、もしあなたが役職者なら、または社長に近い存在であるならば、一番良いのは「間に入らない」ということです。つまりあなたの言葉で翻訳しないことです。
そして、現場や若い層の方たちと、社長と直接話せる「場」を作ることに徹するのです。
どんなに優秀な人でも翻訳をすることで自分自身の考えが入ってしまうし、ちょっとしたその翻訳が真意を伝わらなくする場合もあります。ですので、百聞は一見にしかず、一見よりも対話、ということで直接のコミュニケーションを促すことが大切だと考えています。
以上いくつか、思いつくことを書いてみたのですが、コンサルの現場ではそれをどのように実現しているのかについて、今度は書いてみたいと思います。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。