藍色の世界

ピアノの音色と空の藍だけで
世界は成り立っていた。

夜明け前、誰もいない公園のベンチ。
ヘッドホンからヨルシカを流して、世界を眺める。これだけ何もない世界なら、主人公でいられる気がした。
僕にとってはどんな遊園地よりファンタジーで美しく見えた。
この美しさを邪魔するものは全部心から消してしまおう。そんなものは概念ごと忘れてしまおう。
このままずっと陽が登らなければいい。

「人間の全部が邪魔してるんだよ。」

大好きなノーチラスの歌詞。
僕は綺麗な空っぽになりたい。
そうすれば、この空だけで心を満たせるのに。

朝が来て社会が動き出す前に、色画用紙を空に貼り付けて太陽を隠したい。
夜しかいらない。汚い世界は照らさない方が綺麗に映るから。