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【哲学漫談】女性の股間に一物がついていない理由――フロイト「フェティシズム」より

※この記事は、フロイト「フェティシズム」(『エロス論集』所収)のパラフレーズです。

世の中には様々なフェチがありますが、1番人気は何といっても女性のおパンティですよね。脱いだ後の布切れも捨てがたいですが、やはり着用中のおパンティの温もりに勝るものはありません。

なぜ世間の男たちはおパンティに惹かれるのでしょうか?その理由はもちろん、幼いころに母親がおパンティを脱ぐ瞬間を目撃したからですよね。

当時、小さい男の子だった彼は、当然、母親にも自分と同じ一物がついていると思いこんでいたのに…。それなのに、母親の股間には一物がついてない!という衝撃がトラウマとなって彼の心に深く刻まれたのですね。

彼は幼いなりに知恵を絞って、母親の股間に一物がついていない理由を考えます。そしてひねり出した答えは、「父親が母親の一物を刈り取ったに違いない」というものです。あまりに恐ろしすぎますよね。

「自分もいずれ、父親に一物を刈り取られてしまうのではないか?」という恐怖に駆られた彼は、いずれ自分に訪れる欠落の恐怖を埋め合わせるため、「母親は一物の代わりに股間に何か別の物をつけているはずだ」と考えます。母親が股間にくっつけているもの。母親が一物の代わりにくっつけているもの。

それがおパンティです。

おパンティさえあれば、たとえ恐怖のXデーがやって来て一物を刈り取られても、なんとかやっていける。だって、あらゆる人間の股間には何らかの物体がくっついていて当然だもの(と、彼は思いこんでいる)。もし刈り取られた暁には、僕もお母さんみたいに…。

その後、彼は成長するにつれて物事を知り、女性は生まれつき一物がついていないということを学習します。しかし、一度心に深く刻まれたトラウマは、そう簡単に消えてなくなったりしません。

男性が女性のおパンティを脱がすという行為には深い意味があります。「このおパンティの中には一物がついているはず」と期待して脱がすと、ついていなかった…という衝撃のシーンを、彼は繰り返しているのですよね。

というのも、着用中のおパンティを脱がすとき、心の底に封じ込めたはずのトラウマが蘇ってくるのですよね。母親の股間をはじめて目撃したときの、衝撃のシーンが蘇ってくる。と同時に、幸せだった子供のころの記憶も蘇ってくる。

あらゆる男性はおパンティを脱がすとき、挫折も恐怖も味わったことのない、幸せだったあの頃を思い出すことができます。「あらゆる人間の股間には立派な一物がついている」と無邪気に信じることができたあの頃を。

その一方で、「女性の股間には一物がついていない」ことを彼はすでに知識として知っています。女性の股間は自分の股間みたいにもっこりしておらず、ぺったんこです。「え、ちょっと待って?…ということは、もしかすると、自分の股間もぺったんこ化するのでは?私の一物も刈り取られてしまうのでは?…というあの頃の恐怖心が蘇ってきます。

この幸せと恐怖の間で揺れ動くのが、快感なんですよね。




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