『イコール』の表紙について
淵上・『イコール』の表紙が、やけにかっこよいんですが。
橘川・すごい視線だよな。イラストは、日本のトップクラスのAIクリエイターである「かふあ」さん。「赤ずきんちゃんをHollywoodにするなら、この子!というモチーフ」ということです。
淵上・AIなんですね。
橘川・かふあさんは英語の語学スクールとAIデジタルアート講座を運営している人だが、2023年の夏にFacebookで「私は80%は受託の仕事をします。残りの20%は徹底的に遊びます」というような宣言をしたんだ。
淵上・なるほど。
橘川・すかさずメールをして「遊ぼ」と声かけたんだ。
淵上・そっちか(笑)
橘川・それで何を提案したかというと、橘川の20歳前後、つまり1970年周辺で書いたテキストなどを彼女に送って読んでもらい、その時代の空気感や気配をAIで写真撮影してくれないか、というリクエスト。彼女は70年は生まれていないから、AI技術を駆使して想像で撮影してもらう。
淵上・70年というと、橘川さんはまだロッキング・オンを創刊していませんよね。
橘川・70年前後の短い期間に、私は短歌を書いてたんだよ。その短歌は「飢鴉」(きあ)というタイトルで自家出版してある。その本を送り、その他、時代を感じる本を何冊か送りイメージを膨らませてもらっている。
淵上・それは面白そうですね。
橘川・テスト版を何枚か見せてもらったが、素晴らしいよ。新しい表現のチャレンジだ。かふあさんの試作品がこちらにあるよ。短歌の他に、橘川が69年をテーマにした小説「風のアジテーション」(角川書店)も送ってある。この本の担当者が滝澤恭平くんで、周平も当時、角川にいたんで知り合ったわけだ。
淵上・そうですね。かふあさんの映像、時代の気分が出てますねぇ。この作品は『イコール』に掲載されているのですか?
橘川・正式なスタートはまだだ。『イコール』創刊0号では、かふあさんのインタビューと作品群が紹介されている。「飢鴉」の本格的な活動は、『イコール』創刊号から連載にしていきたい。
淵上・それは楽しみ。『イコール』から新しい才能や表現が生まれてくるのですね。
橘川・有名・無名を問わず、素晴らしい才能の人たちに登場して遊んでもらいたい。