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未来への視線。柄沢祐輔くんとの対話
昨日、柄沢祐輔くんが来社して、3時間くらい話し続けました。
久しぶりに、若い世代と、みっちり未来について語り合うことができました。
若いといっても41歳ですが、僕からすればずっと若い(笑)
柄沢くんは、建築家で、アルゴリズム建築というものをやっています。
これは、現在、世界の先進国での潮流で、コンピュータを駆使して、
複雑な構造をデザインするものです。
現在、世界の潮流は、アルゴリズム建築らしいのですが、日本はとりのこされているようです。それは、こうしたデザインに対して、施工する人間が不在ということである。3Dデータで、これまでの常識とは違う構造で空間をデザインするので、コンピュータデータを扱える業者がいないのです。旧来の工法のプロは多くいても、新しい技術に対して順応できない。施工する人間がいない、というよりも、日本のゼネコンが未来に対応する発想が欠けているという問題だろう。施主側も、コスト削減が主体で、デザインの価値を理解しないのだろう。
これは、建築だけではなくて、日本のあらゆる領域で直面している問題です。近代の方法を、徹底的に実行して突き詰めたのが近代・戦後日本だったので、その先に現れてきている未来に対応出来ないのです。
日本になぜiPhoneが生まれなかったのかといえば、ドコモがガラケーとiモードに固執したからだと思っています。もっといえば、ドコモが、メーカーに対して、新製品の全面買い取りという施策を実施した。メーカーからすれば、まとめて買い取ってくれるドコモの戦略にのり、一般ユーザーの意識に目をやるより、ドコモという会社の意向だけに注視した結果、世界の潮流に置き去りにされてしまった。孫さんのソフトバンクが即決で、iPhoneの登場にのったのに、ドコモは、最後までグズグズと、自分たちだけが築いたビジネスモデルに固執していた。ドコモは日本では天下かもしれないが、世界戦略は失敗を重ねてきた。そして、日本メーカーも、世界の中では存在意味を失い、次から次へと自滅・解体していく。今期の売上に目をやりすぎて、未来を見ようとはしなかったからだ。
自動車も、金融も、メディアも、あらゆる領域において、近代・戦後の方法論を誠実に徹底したことにより、逆に、その資産が重荷となり、未来から取り残されつつある。それでも、これまでの実績と余剰によって、大企業の首脳陣は危機感も薄く、自分たちが退任するまでは逃げ切れると思っているのか、未来に対しては、社交辞令的な関心を示しても、本気で、時代シフトを進めようとしない。政治家も、鈍感な時代感覚のまま、再び、日本国内だけ高度成長が生まれればよいと思っている。いわば、近代・戦後で蓄積した資産を食い荒らすだけか、その成果のヒモみたいな状態が現在の日本ではないのか。それは、もしかしたら、僕たち一人ひとりの中にも、確かに潜んでいる意識なのかも知れない。
ザハが国立競技場のデザインを示した時、僕も多くの日本人と同じように違和感を感じた。しかし、柄沢くんの説明を聞きながら、ザハのデザインがアルゴリズム建築であり、これが挫折したのは、単なる建築費や時間の問題ではなく、ザハのデザインをこなせる日本ゼネコンの対応力の未熟さにあるのではないかと思った。
柄沢くんの作品は、日本より世界の先進国で評価されており、フィリッピンのケソンで施工中の写真を見せてもらったが、フィリッピンでは、現地の施工業者が、懸命に、柄沢くんのデザインに取り組んでいるようだ。
ケソン・デイセンター
柄沢くんと一緒に何が出来るか、考えていきたい。まずは、未来建築研究会を二人ではじめようと思う。
そして、これは、建築だけではなく、あらゆる領域において、日本が直面している問題である。世界の課題とテーマを認識した上で、日本の役割をもういちど、考えなおしたい。
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