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橘川は雑誌的な人間なので、人類のタイムラインと一緒に疾走していくのがロックだと思っていたので、立ち止まって過去を振り返ったり、自分を客観的に眺めて描写したりする小説が嫌いだった。嫌いというのではないかもしれないが、方法論的に違うと思っていた。そういう余裕はないと思っていた。 大手出版社には、雑誌部と書籍部があって、仲が悪い。それは方法論が違うからだろう。 そんな橘川が突然、小説を書いてみたくなったのは、50歳を越えた時だ。50歳で自分の人生は終わったと思い、生前葬を行って
1.KAZU 1の事故 北海道・知床半島沖で乗客乗員26人が乗った観光船「KAZU 1(カズワン)」が遭難した事故は、コロナや戦争の脅威にさらされている日本の人々の、かすかなレジャー欲求に水を指す、悲しい出来事だった。 そして事故後の社長の桂田精一氏の社長らしからぬドタバタぶりが話題になっている。彼は笠間で陶芸を学んだ芸術家で、親の資産を受け継ぎ、以下のような事業を行っているようだ。いずれも、なかなかそそるネーミングである。 世界自然遺産の宿しれとこ村 流氷と温泉の宿