Ryzen第4世代、どれ選べばいいの?
前回の記事に関係して、質問をいただきました
11月5日にRyzenの最新作が出ます。
『これが搭載されるPC買い換えようと思うのですが、動画編集用途ならRyzen9ではなく、Ryzen7 5800Xで十分なのですか?』
という質問です。
まだ発売前で正確な評価というのはよく解らないのですが、おそらくですけど、動画編集ならRyzen5 5600Xで十分のはずです。
Ryzen7 5800Xというのは3800Xの後継の扱いとなりますが、ポイントなのは電力を最大で105W使う点です。
W数が大きいと発熱の問題が出てきます。
3800Xも105Wでしたが、純正のCPU クーラーを搭載しない3800XTというモデルも販売されている状況です。
3800XTは「冷却を自分でカスタマイズする事を前提に、純正CPUクーラーを非搭載にして、性能を少しだけあげました」というモデルとなります。
CPUクーラーについては、他の方の解説動画を紹介しておきます。
といった感じで、5800Xを買うなら、冷却性能も意識した方がいいです。
ちなみに、前世代のRyzen7には最大65Wの3700Xというモノもありまして、3800Xと殆ど性能差が無いので、一般向けに販売されているパソコンに搭載されているのは3700Xの方が圧倒的に多いです。
それで、今回出てくるryzen 7のラインナップには3700Xの後継機が見当たりません。
個人的な考えとして、排熱対策まで求められるのは「自作PCユーザー」・「コアゲーマー」・「業務用」・「研究用」の領域であって、そこの領域になると急激にコスパが悪くなります。
5800Xも通常の使い方なら大して熱を持たないはずですが、最大負荷をかける事を前提としてパソコンを組むので、どうしても高価になります。
ハイスペックかつコスパ重視なのが、Ryzen7 3700XやインテルのCore™ i7-10700を搭載したモデルであり、一般人がゲームや動画編集用の高性能PCがほしいならこれで十分です。
3700 X の後継(5700X?!)も1年以内に出てくるでしょうから、個人的にはもう暫く待って5700Xを搭載したPCをお勧めします。
でも今欲しい(今年中にほしい)のなら、ryzen 7旧モデル3700Xとryzen 5新モデル5600Xの比較となるでしょう。
価格帯が違うので5600Xの性能が3700Xを超えることはないはずですが、肉薄する可能性はあります。
5600XはCorei7 10700と同等かそれ以上という噂もあるので、動画編集なら十分のはずですが、どのようなPCが登場するでしょうか(5600Xは内蔵GPUが無いので、グラボとの組み合わせモデルとなり、最安でも10万円弱はすると思います)。
高価なGPUなんて要らない、ネットサーフィンとテレワークだけで十分なら、内蔵GPUで安価なモデルがある「Corei5 10400搭載のデスクトップ」か「Ryzen 5 4000番台のノートPC」をオススメします。
ちなみに、今回新登場となるRyzen7 5800Xは搭載されるPCがハイスペック仕様となり、グラボもRTX2080かRTX2070で、それに対応した電源や冷却性能が求められる結果、20万円以上のモデルが多くなると予想します。
でも、動画編集用途で買うなら、10万~15万円で買えるRyzen7 3700X+GTX1600番台という選択でも十分です。
有名youtuberの多くが使っているAdobe Premiere Proという編集ソフトが余裕で動くのがそのスペックとなります。
ちなみにPremiere ProはRyzen7もRyzen9も動作スピードは大して変わりません。
何故なら最大8コアを前提にソフトを設計していて、「10コア以上あっても動作は速くなりませんよ」と公式に明言されています。
将来的には多コア向けにアップデートされるでしょうが、現状はハイエンドな動画でも8コアCPUで問題なく動いているという状況です。
あと、GPUの補足として、RTXとGTXの違いですが、リアルタイムレイトレーシングや DLSSが使えるかどうかの差です。
それが何かの説明はリンク先を確認して欲しいですが、今現在動画編集には関係ありません。
GPUの純粋な性能としてもRTXの方が上ではありますが、ゲーム以外の用途なら、高い金を出してRTXにする必要はないでしょう。
ちなみにゲームをする事も想定した場合、下手なゲーミングPCを買うより、PS5を買い足した方が幸せになれるかもしれません。
参考:PS5のスペックについて、https://pcfreebook.com/article/ps5-spec-first-impression-2020-03.html
PS5はゲーム向けにGPUが強化されているので、中途半端に高いGPUのパソコンを買うよりかは、安い作業用PCとPS5の組み合わせの方が良かったりするわけです。
結論としましては、動画編集目的に20万以上のお金を出して不必要なスペックのPCを買うくらいなら、10万~15万程度のPCを買って、その差額はカメラやマイクなどの収録機材の予算に回した方がいいと考えます。
4K動画など特殊な事をやる予定があるなら、20万円以上の高性能GPU搭載PCもアリですが、大半の人は4K動画を作る必要すらないでしょう(そもそもプレビュー画面の画質を落とすなど、高負荷対策は色々あります)。
4K動画の時代なんて当分来ない
この話も掘り下げておきます。
30インチモニターをリビングに置いてソファーに座って見る層に向けた動画を作る人以外、4Kは必要ないです。
モバイル端末で4K動画を見る時代は当分やって来きません。
理由はシンプルで、スマホやタブレットの画面って10年前と比べてもそこまで大きくなってないですし、5年後も折りたたみ式液晶が出回るくらいで、画面サイズは今の2倍程度でしょう。
そのくらいの液晶サイズだと4KもフルHDも変わりません。
また、モバイル通信の設備問題もあります。
4Kで求められる通信スピード(常時安定して20Mbps~30Mbps)は近い将来モバイルでも達成できると思いますが、4K動画を気兼ねなく見れる通信容量(月間500GB~1TB)を光回線と同じ値段で提供するのは5年やそこらでは無理でしょう。
プラットフォーム側もそれに耐えられるサーバーを用意しなければいけません。
例えば YouTube が4K動画に対応したのは2010年です。
しかし10年経った今でも、モバイル回線で自動で選ばれる画質は360P~720Pとなっております。
5年後に4K(2160P)が標準になるとは到底考えられません。
4K画質が求められる特異な分野をやらない限り、5年先を見据えてもフルHD(1080P)対応で十分です。
今回のまとめ
前回は「パソコンを選ぶ時はCPUの性能重視」という話をしましたが、今回は「オーバースペックも無駄金だよ」という話でした。
11月5日発売のRyzen7のラインナップは
「RIP Intel(インテルは安らかに眠れ)」
とか言っているRyzen信者向けで、コスパは無視となっています。
CPU自体のコスパの差は5000円とか10000円程度なのですが、それ相応のPCパーツまで含めると、莫大な差です。
一般人にオススメ出来るモデルは出てこないでしょう。
あと半年か1年すれば、一般向けのコスパが高い第4世代Ryzenが出てくるはずなので、その時が真の買い時になります。
今どうしてもPCが欲しいなら、現行のハイスペックPCの値崩れに期待した方がいいです。
追記:予想より遅かったですが、Ryzen7 5700がついに出る事になりました。
当面はこれが正解になると思います。