
新人王戦振り返り④~放銃率100%の牌を、頭ハネ狙いで差し込めた?~
こんにちは。髙倉 拓馬(天鳳ID:メタビート)です。
今回も、私が優勝した新人王戦の振り返りを行ってまいります。
良かったところも反省点も惜しみなく出していきます。なにか皆様の麻雀に良い情報をご提供できれば幸いです。ご意見も頂けたらと思いますので、ぜひご覧になってください!
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はじめに
【第49期新人王戦 決勝】
— 最高位戦日本プロ麻雀協会 (@saikouisen) September 23, 2024
本日9/23(月)11時より
YouTube「最高位戦チャンネル」にて生放送。
⬇️ぜひご視聴ください⬇️https://t.co/MwFhw0R102
◆対局者
橋本颯太・平山駿介・丹誠也・高倉拓馬・箕浦直樹
◆MC
佐伯菜子
◆解説
小川瑠以・坂本大志 pic.twitter.com/gXpnA2s2vX
対局の映像がこちらになります。(現在メンバー限定、ぜひSYC入会でごご覧ください!)
早稲田麻雀部の後輩@Owari_rouninに牌譜を作っていただき、こうして振り返りnoteを書くことが出来ました。
改めて支えてくれる周りの方に感謝致します。ありがとうございます。
5回戦(4半荘目)の指針
残すところあと2半荘。
このときの全員のポイントが
高倉 +95.7
橋本 +10.9
丹 △0.8
平山 △29.7
箕浦 △76.1(抜け番)
最終半荘は5位が脱落し上4人による戦い。状況からみて箕浦が敗退ポジションになるのがほぼ確定で、ここから同じ2人による戦いになりそう。
今自分と2位の橋本の差が84.8差で、オカがない最高位戦ルール10-30のウマだと4着順分の差がある。丹とは5着順、平山とは6着順分。
橋本~平山までのポイント差は正直あまりないので、この半荘は「並びを作ること」よりも「自分が2着以上にいること、最悪ラス回避」を目標にしていた。自分が2着であれば橋本トップでもおそらく最終戦はトップラス条件、他2人の条件はないに等しい状態になる。これは丹、平山がトップの場合でも同じ。
自分が3着になった場合には、トップラス条件の人がもう一人増える認識で、これならまだ戦えそう。ラスだけ本当に最悪で、こうなると最終戦は全員の戦いになってしまう。
直接対決2戦のため、見た目のポイント差ほど楽に勝てる試合ではなく、しかもタイトル戦の決勝とあって気持ちの余裕は全くない、そんな状況でした。
4半荘目(5回戦)
東2局 ラス回避ルールなら差し込みもあった?放銃率100%レベルの牌

東1局、親で満貫両面ダマのド勝負手が満貫横移動となり、悔しくなっていたところに

この配牌。白がすでに打たれていることだけ気がかりですが、まっすぐ進んでいきます。

ここで安全度を意識して4pを打つ手も考えられますが、早そうな仕掛けの現物であり残しておいてよさそうと判断し、東を打ちました。
5pが仕掛けに対して危険になる可能性が高く、ピンズのブロックができる余地は残しておいたほうがいいと思います。形も1切れの白、ドラ筋の36mと、まだ十分形とはいえません。78sが67sなら4pを残すと言い切れるのですが、タンヤオが確定しないのが少し悩みどころでした。

丹プロからリーチがかかって押し引き判断。1回戦目やリーグ戦なら、8sを押しながらピンズ引きは吸収し、テンパイすれば4pを勝負する構えを取りそうなのですが、今一番放銃してはいけないラス目のリーチ。そこに対して3筋押すのが厳しく、ここは白で迂回していきます。丹プロのリーチは両面が払われており、打点や形の信頼度が結構ありそうな感じに見えます。なおさら放銃したくない気持ちがあります。

そのまま迂回していたところ1pを掴んで試合終了。ベタオリ…といきたいのですがここで第3の選択肢があったことを完全に失念していました。
それが仕掛けている平山プロへの差し込みです。平山プロの仕掛け打点はほとんど1000点で、あっても2000点。ラス目のリーチを流せること、流局したときに結局1500点程度の失点になることを考えると、ここで差し込みを選択する余地は十分考えられたと思います。
では丹プロの現物で平山プロに差し込める牌は?となるのですが、なんとその牌は一牌たりともありません。
結論からいうとここでは47sのどちらかを差し込みにいくのがよかったのではないかと考えているのですが、なぜその思考に至ったのか、他の待ちがないのか、を考えていきます。



まず平山プロの残り筋をカウントすると、25m、36m、36p、47sの4筋で、それ以外は全部通っています。
通り過ぎているので愚形もしっかりカウントしていきます。愚形は4567sがあり、シャンポンの候補として1mが残っている感じ。
ペン3mも考えられはするのですが、その場合はチー出しを4mではなく1mにする人が多そう。しかも7巡目の打2pが手牌に関連していることがほぼなく親現物で残っていることが濃厚で、その場合は
「手に124mと残したまま、24pのカンチャン払いを先に入れている」
ということになります。ドラ0の捌き手でこのようなことは起きないでしょう。ペン3mは除外してよいと思います。
ではここからは残ったものをどんどん除外していきましょう。
雑感で否定できそうなのは36pです。42pの切り順に違和感がありますし、58pのチーが入っています。24567pと持っていたところから4pを打ってカンチャン固定を入れ、マンズを残したことになり、中を仕掛ける前提の手として不自然です。
仮にピンズを固定するなら3ヘッドで固定することが多いのではないでしょうか?
次に除外できそうなのがマンズの2筋、25mと36mです。この「チー出し4m→手出し8m→手出し7m」という一連のマンズ切りが、マンズ待ち、さらには36pすら否定する材料になります。
まず打7mがスライドor空切りでほぼ確定。8pと9sが押せる手牌であることから、打7m、さらには打2pの時点でテンパイがほぼ確定していることがわかります。すなわち打7mはテンパイtoテンパイの手出し。
そうなると7mまわりが順子構成されているので、打8mもほとんどスライドor空切りになります。
更に、8mは自分の目から4枚見えているので、8mが空切りの線が消え、スライドである可能性が高くなります。
考えればドラが3mなので、そんな情報がなくてもスライドの可能性が高いかもしれません。4567mと持っていれば、7mを打つのが自然です。
これにて25m、36mがほぼ通ることが分かります。

一連の流れで7m周りが順子構成されていることになり、25mだとするとマンズはこの形になるのですが、これでは5mはスライド出来ずツモアガリになってしまいます。これがよく戦術本にある「スライド読み」の一種です。
36mもほぼ同様の読みで消すことができそうです。
待ちの構成要素となる45m、7mまわりの順子、を組み合わせると、3巡目打9mの時点ですでに2面子あってもおかしくない形ができてしまいます。
これでリャンメンがほぼ47sしか残っていないことが分かります。
ソウズの愚形に関しても正直可能性はかなり低いと思います。
まずペン3m否定のロジック「24p+もう1個愚形で4m持たない人が多そう」読みもありますし、
「ソウズ愚形で両面払いリーチに対してそんなに押せる?」
が非常に大きいです。
しかも平山プロはほぼドラ0、1000点の手です。マンズの78mあたりを持っていることから現物は2枚以上持っていることは明らかですし、降りきれないということもなさそう。ソウズも持っているので中筋レベルの牌も持っていることになります。
ポイント状況的に見ても、ここは私が3着より下に落ちるのを狙いたいというのが平山プロの思惑だと思いますし、今ラス目の丹プロにはツモってもらっても全然構わない、と思うのが自然な感情だと思います。
「丹プロのツモより自分のトップ率を優先できた1000点レベルの手」
そう考えると良形率はさらに上がりそうに感じます。
ということで残り両面が47sしかなく、愚形もかなり可能性が低いことから、本当に100%レベルで47sが当たると私は考えています。
最高位戦ルールはダブロンなし、頭ハネのルール。仮に丹プロが当たりでも平山プロも当たりなら1000点ですし、ここはやってもよかったと思っています。
一応愚形でも4sと7sは当たりうるので、8sワンチャンスの分4sを打っておいたほうがいいのかな?という気持ちでいます。
プロ1年目、リーグ戦の最終節で昇級がかかった大一番のオーラスに同様の場面が出現して、その時は全力で長考をかけて差し込みに成功した記憶がありありと思い出されてきました。その時はダブロンの頭ハネだったと思います。
あれから4年。大ミスは減り、麻雀は強くなったのだろうけど、ある意味で思考を止めてしまっているというか、無難な選択にとどめてしまっているなという気持ちもあります。
「当たらない1%の可能性もあるし、差し込まない方がよい」という意見も至極当然なのですが、やれることを必死に探し続けていた昔の自分を思い出して、再度頑張りたいという気持ちです。
南3局 5メンチャンをリーチしないことある!? 安定して優勝する道を探せ

南3局、平山プロに素点を稼がれているのが厄介ですが、現状は指針での「自分が2着にいること」を満たしています。
ここで入ったド勝負手。リーチを積極的に打ちたい場面ではないので、この手牌における3sの価値は普段より低くなっています。3sを残す主なメリットは56pツモで14sリーチを打てることなのですが、1sが2枚切れ、4sが3枚見え。場況はかなり良いのですが積極的にリーチを打ちたいわけではありません。

ここで入った5メンチャンの手。悩んだ末「これを優勝の決定打にしよう」と思ってリーチをかけたのですが、この点数で終わった時のポイント状況を整理すると
高倉+103.2
平山+28.1
丹△21.0
橋本△34.2
で、平山プロとのポイント差は75.1。その差は「トップラス+15200点差」で、条件が厳しい2人がいることを考えれば結構余裕がある条件ともいえなくはない条件です。ここからダマの加点を考えれば、トップラス+20000点差くらいで最終半荘を迎えられそうと考えてよかったように思います。
さらにこの5メンチャン、124sがそれぞれ3枚見えで、実はそこまで枚数が多くありません。ダマで満貫になる受けもあったため、ダマテンにする選択肢もあったと思います。
リーチにした理由ももちろんあり、
「ここで満貫~跳満をあがったときの最終半荘条件がかなり緩くなり、ダマテンとのアガリ率差がそこまでないなら決定打にしてもよいのでは?」
という考えと、
「オーラスこの点数状況で迎えたとして、丹プロに着アップしてもらってもよいと判断し、平山橋本がアガリに控えめになるのでは?」という考えがありました。そのため平山橋本がアガリに控えめになった時に、自分もあがれないときに備えて親の満貫ツモを絶対1回耐えられるようにリーチを打ちました。
ですが考えてみれば、この局も自分が流さないと誰が流すんだ状態と言っても過言ではなかったと思います。
ここは5メンチャンとはいえダマにするのもあったな、いろいろな人と検討を重ねたうえで、そういう風に考えています。

結果は最悪。この7sを止められ

ライバルの平山プロに満貫を一発ツモられ。

落胆、憔悴。この世のネガティブを集めたような顔。

結果は2着でしたが、素点差によって平山プロとの差が「2着順差+20700点差、トップラスは負け」に。南3局で、相当縮められてしまいました。
このときは本当に気が気ではなかったのですが、わかりやすく「ラス回避」という条件が付いたのも確か。自分がお世話になった天鳳で培った技術を発揮するときだ、そういう覚悟で最終戦に臨みました。
今回の検討は以上となります。
すぐに最終半荘の反省もアップしていきますので、良ければぜひご覧ください!
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